先日、ふと夜の街を歩いていたとき、街灯の光が少しずつ揺れているのに気づいた。風でもなく、雨でもない。ただ、空気の振動のような、微かな鼓動を感じる光だった。それはまるで音楽のリズムを持っているかのようで、普段何気なく通る道が突然、音楽を奏でる舞台のように見えた。

思わず立ち止まり、スマートフォンで光の揺れを録画してみた。再生してみると、光の強弱と間隔がまるで電子音楽のパターンのように見える。光が作るリズムは、僕が知っているどんな音楽とも違う。でも確かに、耳で聞く音楽と同じように心を動かす何かがある。

その夜、家に帰ってから、僕はパソコンを開き、録画した光の揺れを分析してみた。映像をフレームごとに分解し、光の強さをグラフ化していくと、意外なことに微妙な周期が現れた。完全な規則ではないけれど、不規則でもない、どこか自然界のリズムに似た周期だ。その周期を元に簡単な音を鳴らしてみた。すると、街角の光の揺れが、まるで新しい楽器の演奏のように聞こえた。

次の日、僕は同じ道を歩きながら、街灯の下で立ち止まり、光を「聞く」練習を始めた。すると、光は時間帯や天気、通り過ぎる車のスピードによって微妙に変化していることに気づいた。昼間の太陽光とは全く違う、街の光が奏でる秘密の音楽。街灯やネオン、車のヘッドライトまで、都市の光そのものがひとつのオーケストラだったのだ。

この発見をもとに、僕は音楽制作ソフトを使って「光のリズム」を曲に変換することに挑戦した。最初はただの光の揺れだったものが、ソフトのフィルターを通すことで、幻想的な電子音楽に変わった。まるで街自体が作曲してくれたかのようだ。曲を聞いた友人は「何これ!街の音楽?」と驚き、僕自身も新しい創作の可能性を感じた。

光のリズムを音楽に変える作業は、観察力と想像力の連続だ。普段は気にもしない街の光や影、微細な揺れが、音楽の素材になる。自分の目と耳だけでなく、頭の中のセンサーを働かせて、街の無音の世界からメロディを取り出す。これまで音楽の素材は楽器や録音された音に限られていたけれど、光や都市の風景もまた、立派な音楽の源になり得るのだ。

今では、夜の散歩は単なる移動ではなく、街のオーケストラを探索する時間になった。人々が当たり前のように通る道で、僕だけが聴ける光のメロディ。これを形にして、もっと多くの人と共有したい。街の光は、まだ誰も知らない音楽を隠している。次に通るとき、あなたも耳を澄ましてみてほしい。光が語りかける音楽に、きっと気づくはずだから。

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【本田教之】街角の光が教えてくれた、音楽の秘密

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投稿日:2025/11/12 11:32:25

文字数:1,060文字

カテゴリ:AI生成

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