この文章はカイメイ(のつもり)です。
オチはありません。
ご注意ください。
※カイト視点です。
「あれ?めーちゃん?」
歌の練習を終えたある日の晩。珍しくもその日の練習内容に非常に満足しながら鼻歌交じりに廊下を歩いていた僕は、リビングでひとり焼酎片手にぼーっとテレビを眺めていためーちゃんを見かけた。
めーちゃんがお酒を飲みながらテレビを見ているのはいつものことなんだけど。その日だけはいつもと様子が違っていた。僕の位置からじゃめーちゃんの後ろ姿しか見えないんだけど、さっき通り過ぎ様に、めーちゃんがほんの少し、涙ぐんでいるように見えたような気がした。
……あの、めーちゃんが。
一瞬、見間違いかと思った。
だって!『あの』めーちゃんが!!『泣いてる』だなんて、一体誰に想像ができるというのか!
でもその日は、いつも笑い上戸でケラケラ笑いながらテレビを見ているめーちゃんの笑い声が聞こえなかった。
……どうか、したのかな?
思わず足を止めてしまった僕は、何だかすごく気になって、めーちゃんの傍へと歩み寄った。
「……めーちゃん?」
恐る恐る声をかけながら、そっとめーちゃんの顔を覗きこむと、めーちゃんはその気の強そうな大きな瞳にかすかに涙を浮かべていた。
!?やっぱり!!!
「ど、どーしたの、めーちゃん!どっか具合でも悪いの!?」
「……あんたそれ、どーいう意味よ」
めーちゃんは涙を浮かべながらも、じと目でこっちを睨んできた。
…ほら、怖い。
手に持っていたコップの中身を一気に煽ると、だんっと勢いよくテーブルに置いて、傍らに置いてあった焼酎の瓶を僕に差し出した。
「たまには付き合いなさいよ」
「……ねぇ、めーちゃん。一つだけ聞いてもいいかな?」
「何よ?私のお酒が飲めないわけ?」
「そーじゃなくて……それ、何本目?」
僕は脇に転がっている焼酎の瓶をちらっと横目で見ながら、めーちゃんの持っている瓶を指差した。
「五本目」
………………。
駄目だ。逆らえない。
焼酎の瓶を四本も、それもストレートで空けて、恐らく泥酔状態であろう今のめーちゃんに逆らうのは、ほとんど自殺行為だ。よく潰れないな。
僕は黙って小さくため息をつき、食器戸棚からコップを一つ出してめーちゃんの隣に座った。
「……私にだってねぇ、たまには感傷に浸りたい時だってあんのよ。悪い?……ったく、なによ。皆して私のこと何だと思ってんのよ」
「何かあったの?」
「っあったも何も!!明日、あんたと一緒に歌う筈だったデュエット曲、今日いきなりマスターから『やっぱりミクとカイトで』って言われたのよ!信じらんない!!そりゃあミクは私にとってもかわいい妹よ?でもっだけどっ!!何でよ!?ってなるじゃない!」
「え?そーなの?僕、明日ミクと?」
「そうよ!!」
「……そっかぁ。めーちゃん実は誰よりも歌うの大好きだもんね。歌えなくなって悲しかったのか」
僕は隣で膝を抱えてしまっためーちゃんの頭をそっと撫でた。するとめーちゃんは膝に頭を埋めて小さな声で何か呟いた。
「え?なに?めーちゃん」
「……違うわよ。自分の歌ならいくらでもミクにあげるわ。かわいい妹だもの」
「???」
じゃあ何で泣いてたんだろう?
「でも、明日の歌はあんたとのデュエットでしょう?久しぶりの。私……すごく楽しみにしてたんだから」
そう言って少しだけ顔をあげためーちゃんは耳まで真っ赤になっていた。
「!?」
な、なにこれ、何なのこのかわいい生き物っ!!
僕は思わず隣のめーちゃんを力一杯抱きしめた(というより抱きついた)。
「めーちゃん!めーちゃん!!……めーちゃんかわいい!」
「ちょっ…なっ…か、カイト!!離しなさいよ!」
「やだー。かわいすぎるめーちゃんが悪い」
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