獅子座だったか射手座だったか、細かい事は忘れたが。
 観測史上最大規模だというその流星群は、人々を即席の天文ファンに仕立て上げ、ネットの動画サイトでも生中継された。

 星に願いを。
 濃藍の夜空を降り頻るシューティングスターに、幾多の人々の、数多の思いが託される。
 それは、電子の闇夜でも。

 そして――。


 * * * * *


 流星群が来るとは知っていたけれど、然したる興味も無かった私は普段通りの夜を過ごしていた。パソコンをつけ、適当にネットをふらつきつつ作業作業。
 とはいうものの、どうにも『ふらつく』方に比重が傾きがちなのはお約束だ。あぁ、裏に回したっきりの作業画面で青いのが呼んでる気はするけれど……
 と、何気なく思っていた時だった。

 ――――ッッ

 ヒトの耳では捉えられない音域の、ただ圧として認識される『音』が、空気を震わせた。殆ど同時、ディスプレイが目を灼くほどに眩い光を放ち、一瞬でブラックアウトする。
「ぇ……ちょ、パソ……っKAITO!!」
 鼓膜を圧されてくたくたと床にへたり込んだまま、掠れた悲鳴が喉を裂いた。作業中だった――いや、今までだってずっと、調声を繰り返し共に歌を形作ってきた、"うちの"KAITOが!
 よろめきながら伸ばす手の先で、無機質な黒の中に小さな光が灯った。ぽつん、と一雫落ちた蒼い光はミルククラウンを描いて広がり、やがて画面いっぱいが輝きに染まる。
「何……」
 立ち上がる事も忘れて呆然と見つめる中、蒼はさざめき、波紋を刻み、硬い筈の窓を波打たせ、
 ――にゅう、っと。その中心から、真っ白い手が突き出された。

 再びの悲鳴は、声にならなかった。

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  • 非営利目的に限ります
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星に願いを -唐突な奇跡に対する、幾つかの事例-【兄誕2012*第4夜】

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投稿日:2012/02/17 00:24:05

文字数:714文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • acuzis

    acuzis

    ご意見・ご感想

    もうもう涎を流しながら(←ヤメレw)笑かして頂きました!!
    そしてご馳走様でしたm(_ _)m超美味しかったぁ~(*^q^*)
    いやぁ、楽しみにしていたのですが、流石藍流参謀様!期待を裏切らない\></vvv
    ヤヴァイやっぱり私は引っかかり萌え真っ只中ですよどうしようどうしてくれるんですk←

    …この衝動を曲にぶつけたいと思いm((←大それたこと言うな;orz

    ここに出演するKAITOさん達はまさに私の描くKAITO像です*><*
    有難うございましたvvv

    2012/02/17 20:44:11

    • 藍流

      藍流

      引っかかり萌えw 新しいwww
      笑っていただけて嬉しいですー! ありがとうございます(´∀`*)

      ケース3は実は、途中までのを見たお二人のコメに影響を受けてたりしますw
      だっつで引っ張り出すネタだけだったんですが、動けないのをいい事に……と聞いて(←

      アツイ衝動をぶつけられた曲、楽しみにしてますよ?! wktk!!

      2012/02/18 00:09:25

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