朝の光がカーテンの隙間から差し込み、目を覚ますと同時にイヤホンを耳に装着する。スマートフォンから流れる音楽が、まだ眠る頭の中をゆっくりと覚醒させる。私は最近、この「音の海」に身を委ねる時間が何よりも大切だと感じている。日々膨大な情報にさらされ、文字や画像に追われる生活の中で、音楽だけに集中する時間は、まるで自分だけの世界に潜る感覚に近い。
音楽を聴きながら、私はよく物語を思い描く。特定の曲が奏でる旋律に合わせて、色や光景、登場人物の感情が次々と浮かんでくる。現実には存在しない風景でも、頭の中では鮮明に動き、呼吸し、存在する。音楽と想像力が交わる瞬間、時間の感覚は途端に曖昧になる。5分が数秒に感じられたり、逆に1時間が永遠のように思えたりする。この状態は、没頭に近い感覚だ。
ピアプロで活動している私は、この感覚を創作に応用している。曲の旋律から浮かぶ物語の断片を言葉にしていくと、自然にストーリーが形作られていく。音の波に乗りながら文字を紡ぐ作業は、まるで海の中で泳ぎながら宝物を探すような感覚だ。無意識に手が動き、感情が文章に反映され、思考は深く自由に漂う。こうした時間が、創作の質を押し上げるのだと実感している。
また、音楽に集中することは、自分の内面を知るきっかけにもなる。どの曲に強く反応し、どの旋律に心が揺さぶられるのかを観察すると、自分の感性や価値観の輪郭が見えてくる。外界の刺激に惑わされず、内側の声に耳を傾けることが、創作だけでなく日常生活における判断や行動にも影響する。
先日、静かな夜にお気に入りのアルバムを流しながら、物語を紡いでいた。旋律に合わせて文字が生まれ、気づけば3時間が経過していた。時間を忘れ、音楽の中で泳ぐ感覚は、どんな情報よりも心を豊かにし、創造性を刺激する。日常の雑音から離れ、音の海に身を委ねること。それが、私にとって今最も興味深く、価値のある体験なのだ。
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