A
大きな川の流れに
魚が泣いた
手を濯ぐ少女
B
洗って 洗っても
後から後から溢れるもの
黒いそれを川下へ流した
S
罪の記憶を背負って歩く
砂に埋もれたように息をしていた
その名前も何も分からないならば
掬った水に私を透かした
A
大きな川の流れに
鳥が飛び去った
まだ沙ぐ少女
B
願って 叶っても
何かが 何かが違う気がした
それでも歩こうとする私は
C
縹が遮る夕景
苦し紛れの声
何をしても変わりはしないなら
私はその手を掲げた
代わりはしない、と風景
裸のままの心
成した罪は流せやしないなら
それすら 全部が私だ
S'
罪の記憶を背負って歩く
砂に埋もれたように息をしていた
その名前をいつか拾い上げたら
掬ったそれが輝いていた
SS
誰かの声を紡いで消える
いつか心臓も流した少女
その名前も失くし 鳥に 魚になれたら
横たわる流れに濯ぎ続けた
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