―――――こんなにも、好きなのに。

     どうしても…素直になれない。
 
     だから、この想いは伝えられないんだ。

     それは、ふわりと舞い落ちる粉雪のように、

     積もっては…悲しく融けてゆく ―――――





<<【解釈小説】粉雪【ぽルカなんです】>>
 





――息が白い。

この日、街には粉雪が降っていた。

冬はただでさえ寒いのに、雪が降っていると、もっと寒くなる。

だから、私はマフラーをした。そして出かける。

そう、あの人が待っている所へ。


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その人とは、駅前で待ち合わせしていた。

私はその人のもとへ、走る。


「…遅くなってごめんなさい。」

「あ、ルカ。大丈夫、あまり待ってないから」

「でも、神威さんを待たせてしまったのには変わりないです…」

「そんなことないって。俺、来たばかりだから全然待ってないよ」



そして、一緒に歩きだす。

神威さんは、高校で知り合った。

一応、神威さんは一つ上の先輩である。



――今日こそは、伝えるんだ。

「神威さんが好き」って、伝えるんだ。



神威さんと二人で出かけるたびに、そう決意する。

でも、いつもタイミングを逃してしまい、結局は伝えられない。



「今日こそは」って思うのは、もう何回目?

ただ一言、言えばいいだけなのに。

たった一言なんだから…簡単でしょ?

彼は、目の前にいるのに。

その簡単なことが、どうして出来ないの?


(ずっと、伝えられないのかな…)



そして、私は彼に見られないように顔を背け、表情を歪める。

この先ずっと「想い」は伝えられない、不安な表情に。



「――ルカ、どうしたの?さっきから顔色が悪いけど…」

「あ、え?な、なんでもないです…」

「そう?具合が悪くなったら言ってね」

しまった、彼に見られていた。

彼には、余計な心配をかけたくない。



そういえば、出会ったころに比べて、私たちは笑わなくなった。

毎日が楽しかった頃のあの笑顔は、二人の間から消えてしまった。



ふと周りを見れば、笑顔の人たちばかり。

その中には、カップルも混じっていた。



―― もっと可愛い子を、演じれば…また、笑ってくれるかな… ――


ふいに、そんなことを思った。


でも、どうせ気持ちだけが空回りするだけ。

思ってみても、始まらない。



埋まらない、この距離は何?

いつまでもこの距離なんて、悲しいよ。



出会った頃の、「二人」のように。

ただ、素直に笑い合える日は、来るのかな…

降り積もる「想い」は…また、手のひらで、融けてゆく。



そう、まるで粉雪のように。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【解釈小説】粉雪 【ぽルカなのか?】

本家様 http://www.nicovideo.jp/watch/sm13385986
ちなみに続きません。

閲覧数:1,302

投稿日:2011/09/23 13:31:57

文字数:1,218文字

カテゴリ:小説

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