私は歩いていた。ひどく熱い、アスファルトの上を。
私は何も履いていなかった。靴も、靴下も。
足の裏は真っ赤になって激痛が走っていた。
ところどころにある小石を踏みつけ私の歩いた道には血のついた足跡が点々と残っていた。
それでも尚、歩き続けた。この先に終点があると信じて。
この道は、酷く寂しかった。
一本の道路がまっすぐ続き、それ以外はすべて荒野だった。
道しるべは何もなく、ただただ歩くしかなかった。
空にはかんかんと太陽が照っていた。雲はなく、雨は降りそうにもなかった。
周りには生き物もいなかった。そう、ありの一匹さえも。
はるか遠くに地平線が見える。地平線は、熱気で少し曲がっていた。
もう意識は遠のくかと思った時だった。目の前に突如、蛇口が出てきた。
私は駆け寄って、それを捻った。鉄の磨かれた綺麗な蛇口は太陽の光で輝いていた。
そこから水が滝のように出たきた。
私は喜んで手でお椀を作り口に運ぼうとした。だが、いくら汲んでも何も感じない。冷たい感触もない。口に入れるマネをしても何も入ってこない。
そこで気付く。ああこれは、私の作り出した幻影なんだ、と。
幻を横目で見ながら、私はまた終点を目指して歩き出した。

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  • 非営利目的に限ります
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歩く女

ゴールのない道って辛いですよね。。
と言うより、夜中にやるとダメですね・・・。

閲覧数:104

投稿日:2010/09/12 02:45:18

文字数:513文字

カテゴリ:歌詞

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