──外の世界……めちゃくちゃハードじゃんっ!?。3人は【旅の手引書〜これであなたも立派な冒険者】の序章編を読んでそう思った。
 またニルスの村を旅立つ、いま現在まで自分たちは村の大人たちから守られていたことを実感する。

「もうお家に帰ろうよミクちゃん。あたし、旅するのが恐くなってきちゃった」

 リンは涙ながらミクに訴えていた。

「私も恐いよリンちゃん。だけど、恐い怖いモンスターたちに負けちゃダメ。私たちの旅は始まったばかりなんだから。それに、みんなお母さんから武器を装備させてもらってるはずよ」

「あっ! そうだったわ」

 リンは重要なことを思いだした。旅立つ前にお母さんから武器を渡されていたことをだ。

「あたしの武器は、お菓子作りに役立つローリングピンよっ‼」


ローリングピンの説明。
お菓子の生地を伸ばしたりするのに必要な木製の道具ではあるが、それは時として護身用の鈍器にもなりうる。
世紀末を舞台にした近未来の作品にも武器として登場する。


「母さんっ、リンになにを渡してるんだよっ!」

「文句ばかり言うレンの武器は、なにを渡されたのよ?」

「……?」

 レンは自分がお母さんから渡された武器を確認した。


木製バットの説明。
野球をするための道具ではあるがその昔、超能力が使える少年は木製バットで宇宙人から地球という惑星を守ったことがある。
温和そうな少年でもバットを持てばワンパク坊やに早変わりする代物。


「これッ! 母さんがドロボウ退治用に隠してあったヤツじゃんっ!」

「さすがあたしたちのお母さんね。バットなんかなくてもウチに侵入るドロボウなんか素手でやっつけちゃうわ」

 リンは装備品のリボンをピョコピョコさせて興奮気味に感心していた。やはり家のお母さんは強いヒトなんだと……だ。

「じゃあ…残る私の武器は、なんだろう?」

 仲間2人が装備する武器を見て、自分が渡された武器に期待が高まるミク。いや、ミクの場合は期待よりも不安が勝っていると表現したほうが良いだろう。


木しゃもじ。
ごはんをお茶碗に注いだり料理にも使える調理道具。
一家に1本あるだけで、キッチンに愛情が高まる。


 ──序盤から詰んだーーっ!?。自分が装備していた武器に対しミクは肩を落としてしまう。すると『ヒラリ』と手紙の落ちる音がした。

「…………」

 パサッと音をたてて、ミクは手紙に目を通した。


ごめんなさい私の可愛いミクちゃん。
お母さん、あなたの武器を買うのを忘れていたわ。
けど武器の代わりにあなたとお友だちにとって、ぜったいに役立つ道具を“ふくろ”の中にいれてあるの。
それは、あなたのVoltageゲージがMAXになった時に使えるわよ。
最後に旅が苦しくなったら、いつでも家で休んでね。
あなたのお母さん──サキ・F・ヴェールより──。

 ミクはお母さんの手紙で書いてあった便利な道具を確認した。


スムージーマシン。
どんな野菜や果物もコレ1つで美味しいジュースが作れちゃう必殺の調理器具。
必殺技なのでVoltageゲージをMAXにしてください。

「お母さん……」

 ──なにも状況がかわらねえーーっ‼。ミクは心のなかで、そう叫んでいた……。

この作品にはライセンスが付与されていません。この作品を複製・頒布したいときは、作者に連絡して許諾を得て下さい。

G clef Link 剣と魔法の世界へようこそ2

備えあれば憂いなし

次話
https://piapro.jp/t/8p6T

閲覧数:339

投稿日:2020/01/28 08:03:15

文字数:1,358文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました