彼女と出会ったのは、隣国へ行ったときのこと。

リンの大好きな果実を買いに行ったんだ。

いつもなら使用人が行くのだけど…

今日は散歩したい気分だったから僕が引き受けた。



「我が国の神よ 民に救いをさしのべたまえー…」


広場から聞こえた透きとおるような綺麗な歌声。

声のする方を見ると、綺麗な緑の髪の少女だった。


周りの人は彼女の声に癒され、幸せの表情を浮かべていた。


歌が終わると、盛大な拍手が彼女に贈られた。

「最高だよっ ミク!!」

「女神だ!!」


「ありがとうございますっ」


満面の笑み。

その笑顔に僕は恋に落ちた。



「あっ…」

見とれていると、果実が1つ紙袋から転がった。


「あら、大丈夫?」

足元に転がった果実を拾いさしだす彼女。


「ありがとうございます。」

「これ、カシュの実よね?この地区では特産品だものね。」


初対面にもかかわらず、笑いかけてくれた彼女。

「…どうしたの?」


固まったままの僕に、不思議そうにのぞきこむ彼女。


…僕はいまこんなことをしてる暇はないんだ。

城ではリンが待ってる。


僕は彼女から果実をもらい、国に帰った。

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  • 非営利目的に限ります

悪ノ想イ[自己解釈 小説] 2

閲覧数:97

投稿日:2012/11/06 21:25:23

文字数:514文字

カテゴリ:小説

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