レシピを読ませた者が、2人のもとへきた。するとボウルのなかに拡がる解いた小麦粉の姿を見てこう言った。

「ブラーヴォ! バンビーナ。コノ生地から、ジャンキーなセカイが伝わってクルネ♪」

※Bravo=イタリア語で素晴らしい※

「あっ、わかってくれる?。これはあたしがする、スイートマジックなのよ♪」

 リッシモ料理長は、リンのした行動に賞賛してくれた。イチゴタルト用のベースのできが良かったのであろう。

「イイねっ! 君がローリングピン持っていることに感じタ、お菓子作りのサイノゥ、よければ城のパティシエールになラないカ?」

 なんとリンは料理長から、フォレスタ・キングダム城の専属お菓子職人にならないかと誘いをうけた。

「それは残念だけど、このマジックリンちゃんは旅を続けないといけないの。ヒトびとに陽気な笑顔を届けていくという夢があるのよ」

「ジョッバーナッ、それなら仕方ないネ。モシ、気が向いたら、いつでもワタシにいって。じゃあ、この生地を焼いてクルネ」ボウルを手に取って次の調理をはじめていくリッシモ。

 リンは勧誘を受けても、自分たちに与えられた使命を忘れていなかった。旅を続けないといけない──その言葉にミクは好感を抱く。

「すごいね。私にはできないことよ」

「お姫さまがさ、同じ女の子だったら食べたいお菓子を作っちゃうのがあたしなの」

 こうして、姫様への甘いお菓子作りは続けられていく。今回はシャインマスカットの盛り合わせに酸味を積み上げて、サクサク食感に焼いたイチゴタルト。飲み物はレモンティーと、初恋の甘酸っぱさが体験できるメニュー構成。

 お菓子が完成した後、片付けなどの仕事を一通り終えたあと、料理長のリッシモがこう言った。

「今日のおカシ作り、終わりマス。解散シテ、休憩してから次の仕事にウツってくだサイ」と説明があるようにキッチンのシェフたちへ休憩を促した。

「休憩だってミクちゃん。とりあえず庭へ行こうよ」

「うん、そうしようか」

 ミクとリンの2人はお城のキッチンから、兵舎のある庭へと足を進めた。緑色をした芝生が生い茂る庭へ向かうと丁度、もう2人の仲間が他の騎士たちに混じって休憩している姿を見つけた。
 借り物の片手剣を装備するレン、自分に似合う武器と言ってレイピアを装備したフーガ、2人は芝生の上に腰を掛けて足を伸ばしている。

「レンくん、フーガさん」

 リーダーが名を呼ぶと2人は反応した。

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G clef Link 姫様へのカラメーラ・ドルチェ5

次話
https://piapro.jp/t/zCS4

甘い奇跡とは食べる側への思いやりで生まれるモノである・・・たぶん。

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投稿日:2020/02/01 15:21:54

文字数:1,034文字

カテゴリ:小説

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