・MEIKOねーさん視点です。







そんな子に育てた覚えはありません!



<2.とりあえず相談>




「というわけなのよルカ」
「・・・成る程」

ルカは額を押さえて呻いた。
私も全く同じ心境。なんというか、ここまで駄目な子だとは。話してみると酷さが良くわかるわ。

「いつか法規制に掛かるものにまで手を出すかもしれませんね、その勢いなら」
「やりそうね、レンだもの」
「防げればそれに越したものはないのですが」
「防げるのかしらねぇ。あの子あれで多芸だから上手いこと隠し通されそうで」

ファミレスの中で私達二人は頭を抱える。
全く、なんでこんなに悩まなきゃいけないのよ。なんか間違ってる気がする。何がって、いろいろ。

「そりゃ重症だとは思ってたわよ。一度捕まったしね、あの子」
「メイコさんと仲良くなれたのもその時でしたからね・・・」
「その節は悪かったわね、あの馬鹿が手を煩わせて」
「いえ、まあ、その、多少驚きましたが」




私とルカの出会いは一年前。
レンが警察に捕まったとき、取り調べをしたのがルカだった。






「はい・・・警察?えーと、レンが!?何で!?」
『ええ、小学生を追いかけ回しているという通報を受けまして。つきましては、身元引受人としてお姉様であるメイコさんに引き取りをお願いしたいと』
「し、小学生?・・・ええ、今行きます。ご迷惑をおかけして誠にすみません」


仕事が終わっていて本当によかった。
家の最寄りの警察署に急いで向かいながら、私の頭は混乱していた。
いや勿論レンを怒ってやる気は満々な訳だけど、なんで小学生!?あの子は確かに最近雰囲気変わったと思うけど小学生を追いかけ回すって変態じゃない!
流石にそこまで変な子じゃないでしょ?






「だからあの可愛さには神の御技を感じるんです!」








・・・あれぇー?







「特にちょっと内股気味の足とか!すべすべの肌とか!あどけない笑顔とか!」




えーと、拳を握って力説する、あれはレンなの?
確かに外見はそっくりだけど、なんか私の知ってるレンじゃない気がするんだけど。


「全てに於いて完璧な存在!それがようじょ!」


がづっ。


鈍い音がしてから気付いた。

しまった、つい手が出ちゃったわ。しかもショックのせいで得意の右ストレート入れちゃった。
警察官が見てるっていうのにミスね。ここは笑顔でごまかすしかない。よし、営業用スマイル営業用スマイル。

「あの、レンくんのお姉さんのメイコさんですね?」
「ええ・・・ってあら」

投げられた質問に振り返る(笑顔完備)と、そこには見覚えのある女性がいた。
別に私は人の顔を覚えるのが得意な訳じゃないけれど、その桜色の長い髪と色素の薄い肌には見覚えがあった。


お隣りさんだ。



「ええと、ルカさん、ですよね?お隣りの」
「はい。レン君に住所を聞いて私も驚きました」
「・・・でしょうね、すみません」

申し訳なさ過ぎる。
とりあえず後日菓子折りでも持っていこう・・・私はそう決意してレンの首根っこを引っつかんだ。

「大馬鹿、いくわよ」
「ね、ねーさ、首はやめて絞まる絞まる死ぬ」
「あんたがそう簡単に死ぬタマですか!反省しなさい!」
「後悔も反省もしてません!」
「胸を張るな!」
「ていうか十四歳ならセーフじゃないかな!」
「拳を握るな!」
「純愛だよ純愛!」
「目を輝かせるな!本当に将来が怖いわ」

なんで?と唇を尖らせるレンをとりあえずアッパーカットで黙らせて引きずって帰る。
ったく、なんでこんなことになったの?
現在の保護者としてレンの面倒はしっかり見て来たつもりだったのに。




私の周りの男は変態しかいないのかしら。
















「ということで変態のことは変態に聞こうと思って」
「ねえなんでめーちゃんってそんな直球なの?僕割と傷つくんだけど」
「硝子仕様なの?いっそ割れれば無害よね」
「なんでそんな冷たいの!?幼なじみなのに」
「あー、黒歴史」
「黒・・・!?」

青い瞳を真ん丸に見開いているヤツの顔を見て、溜息をひとつ。
こいつもねー、顔は良いのよ。
どっちかっていうと繊細で優しそうな美形。


黙ってればの話だけど。


「あのねめーちゃん。僕のはれっきとした保護者意識からなんだからね!」
「どの口がそれを言うのよ、シスコン」
「シスコン悪くない!」
「じゃあ変態ねやっぱり。ストーカーって言っても良いのよー?」
「だ、だって」

その目がきっと私を見つめる。





「あんな可愛いミクに変な虫が付いたりなんかしたらもう生きていけない!」






ああはいはい。
私はちょっと視線をずらして心の中で相槌を打った。
しかし慣れって怖いわね。カイトのシスコンぶりはそれこそ十年以上見てるから常態として認識できるようになっちゃった。

「さらさらの髪!つやつやの肌!太陽みたいな笑顔!これで虫が寄ってこないわけがない!僕の使命はミクをそれらから守ることなんだよ!」
「ああはいはい」
「ミクは可愛い!それは世界の大前提!問題はミクが可愛いことじゃなく周りの奴らがふらふら靡くことなんだ!」
「ああはいはい」
「――――ねえめーちゃん、実は僕の話聞いてないよね?」
「とーぜん」
「うわああああぁぁん!」

泣くんじゃないわよ、ハタチ過ぎた男の癖に女々しいったら。まあ違和感ないってのも問題の一つではあるでしょうけどね。
机に突っ伏して泣く幼なじみ。


・・・はぁ、こいつが泣くのは苦手なのよねぇ・・・


「んー、分かった分かった、聞いてなくて悪かったわよ。ほら泣き止みなさい」
「めぇちゃんのばかあああぁあぁぁ」
「カーイートー」
「おたんこなすうぅぅぅぅ」

あんた子供なの!?なんでそんなボキャブラリーが貧困なのよ!おたんこなすってあんまり大人が使う単語じゃないでしょ!


駄目だ。カイトを相談相手に選んだ私が間違ってたのね。

とにかく泣き止ませないと。

仕方なく私は魔法の言葉を口にした。

「アイス買ってあげるから泣き止みなさい」



ぴた。



さっき泣いた烏がなんとやら、カイトはきらきらした瞳で私を見つめて来た。

「アイス?」












決定。カイト、あんたのレベルは小学生以下。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

犯罪じゃないよ? 2

キャラをいじるのは愛ですよね。


一人称は私の頭の中では基本レンが「俺」、KAITOが「僕」です。ただし原曲次第の時もあり。

閲覧数:1,513

投稿日:2009/11/29 10:30:06

文字数:2,646文字

カテゴリ:小説

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  • 翔破

    翔破

    ご意見・ご感想

    >Ж周Ж さん
    えっ、次の犯罪?何のことですか?これは犯罪じゃないですよ?

    ども!翔破です!次はレンが宿敵の大魔王・カイトと対決する山場ですね!
    頑張って書きたいと思います。特にレンの三段変身シーンは丁寧に・・・でもそこまで行くか分からないんですが。予定は広く。



    ・・・すみません、八割はノリでした。
    でも二割はあながち間違ってない(え

    2009/11/29 21:10:12

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