同じ顔が鏡の映ったように見え、レンは目を丸くした。
「始めまして」
 入ってくるなりそっけない挨拶をして、ソファに座った少女は、リンと名乗った。
 彼女はどのくらいの地位になっているのだろう。随分と態度がでかいが――。
「この度は、本当にスミマセンでした。ウチのメイドが、とんだ勘違いをいたしました」
「――君さ、この国ではどれくらいの地位にいるの?」
「…知らないの?…あ、知らないんですか?」
 あわてて訂正した。
「俺、この辺りに来るの、初めてだからさ」
 相手の口調からして彼女はまあまあの地位にいるのだろうこともわかりながら、レンの口調は変わっていなかった。その口調に少し安心したのか、リンの口調も堅苦しい敬語から、タメ口になった。
「私、この国の『お姫様』なの。偉いんだ」
 胸を張るように言ったあと、リンは少しうつむいた。
「…だから、堅っ苦しいお城に押し込められているけど…」
 その気持ちはレンにもよくわかる。
 昔から城の中で生活していたレンは、よく脱走を企ててはキカイトやアカイトに捕まって説教された記憶がある。それでも次の日には脱走の方法について考えているのだったが、何度やっても捕まることに疑問を抱かなかったこともあった。実際は城中に監視カメラがついていて、二十四時間、年中無休で監視されていたのだ。
「俺、鏡音レンって言うんだ。よろしくな、リン?」
「…私、鏡音リン。よ、よろしく…」
 にこっと笑ったレンを見て、リンも同様に笑顔を見せた。
 笑顔を見せたリンに安心し、レンはリンに近づいて耳打ちをした。しばらく大人しく聞いていたリンも、レンの告白を聞いて言葉を失う。
「ヴァ…ヴァンパイア…!?」
「あんまり大きな声で言われるとちょっとまずいかな」
「な、何でヴァンパイアがこんなところにいるの!?」
「お宅のメイコさんが間違って引きずってきたから」
「…確かに。…じゃあ、私、逃げたほうがよくない?」
「当のヴァンパイアに相談してたら終わりだけど。別に血はすわないよ。おなか減ってないから」
 当然のように言うレンに、リンが少し困ったようにしてレンを見ていた。相手が困っていることはよくわかっているが、その困惑顔がどうも面白くてたまらなかった。
 ヴァンパイアとて底なしの胃袋ではない。どちらかといえば人間より胃のサイズは随分と小さいはずだ。血を吸う対象の血も限られているわけで、一度に大量の血を吸うと、血を吸われた人間は一瞬で死に陥ってしまうだろう。そんなことになってしまえば、日に何人もの人間を殺すことになり、非常に効率が悪い。
 だから、ヴァンパイアは食が細いものが多いといわれている。勿論、人間と比べてだが。
「おなかすいたら吸っちゃうかも」
「え。私、そういうのはメイコ姉に報告しなきゃいけないんだけど?」
「すれば?さっさと退散するから、気にしなくていい」
「でも…ヴァンパイアなら、家がないんじゃないの?」
「…どうにかするからいいよ」
 その場しのぎで言ってそっぽを向いたレンを見て、リンは少し考えてから、ふっと唐突に提案した。
「内緒にしといてあげよっか?」
「え?」
 意表を突かれ、レンが素っ頓狂な声を上げる。
「内緒にしておいてあげる!かわりに、私の友達になってっ!」
「とっ、友達ぃ?」
 突拍子もない話にレンが思わず聞き返した。
「私、友達がいないの。ホラ、お城の外に出られないでしょ。だから、友達になって!」
「何で俺が人間なんかと!」
「メイコ姉にバラしちゃうから。即公開処刑決定!」
「乱暴!」

「早急に部隊の派遣をっ!!」
「王子一人のために人間たちの餌食になるものたちを増やすわけには行かないだろ!?」
「…うるさい」
「ふぇ…ごめんなさぁい…」
「ぼ、僕が見てくるよ…。皆、そんな怖い顔しないで。ニガイトが怖がってるじゃない」
 その場の空気を和ませようと、カイトが言ったのを聞き逃さず、その場の重い空気をかもし出していた二人がカイトをにらみつけた。勿論、その二人というのはキカイトとアカイトのことだった。
「五月蝿い!!」
「すみませぇん!」
 泣きそうになりながらカイトが即座に謝った。
「…まぁ、カイトが行くなら俺はいいけど?別にカイトなら死んでも戦力ダウンにはならないし」
「そうですね。私も賛成です。彼なら頼りになるでしょう…多分?」
「何か二人の理由が凄いひどい気がするんだけどなぁ。悪意がこもってるよ」
「そんなこと、全っ然ない(ぜ?)(ですよ)!」
 二人が声を合わせて言った後、カイトは深いため息をついて立ち上がった。
 人間界に降りる準備を始めることにしたのだった。
「そういえば、カイト、君、人間界に友人がいるといっていませんでしたか?」
「相手が覚えてるかどうか、分からないけどねぇ?」
 少し怪しげな言葉を返し、カイトは荷物をまとめ始めた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

遠い君 3

こんばんは、リオンです。
今日はリンレンからお話があるそうです。
リ「こんばんわっ!」
レ「どーも」
リ「今日はミク姉の設定についてちょっと困ってるんだよ!」
レ「ミク姉以外は設定が決まってるんだけどね」
リ「そ・こ・で!皆さんに意見を貰いたいんだよ!!」
レ「ま、意見がなかったらミク姉は出てこないということになるだけだよ」
 だ、そうです。
多分この後もあったけど、リンレンに任せるとはなしが脱線しそうなので、この辺で打ち切り。
それでは、また明日!

閲覧数:429

投稿日:2009/12/04 22:54:55

文字数:2,022文字

カテゴリ:小説

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  • リオン

    リオン

    その他

    こんばんは、みずさん!
    王子様でもレンはレン、お姫様でもリンはリンですよ。
    次の日には結婚なんじゃないですか(雑。

    メイコの姉妹…隣国のお姫様…レンの婚約者…悪役…っ!どれも素敵だ(キラキラキラ)!!

    お久しぶりでしたが、これからもよろしくお願いします!

    2009/12/05 21:19:35

  • リオン

    リオン

    その他

    どうも、Ж周Жさん、こんにちは。

    ヴァンパイアと人間のハーフですか、わかりました!

    不適切でもいいです!もうなんでも!
    リンちゃんはお姫様でも純粋な子だと思います。

    では、ちょっと時間がないので、この辺で!

    2009/12/05 16:07:36

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