「か…可愛い……!」

何度目かの台詞。
ソファに座る彼女が言った。
視線の先の机にはモカとコウがいる。
黒ゴマイトがその横でため息をつく。

「マスターさっきからそれしか言ってないですよ」
「しょうがないじゃん。クロより断然可愛いんだから」

それを聞いて拗ねたように、顔を膨らませる黒ゴマKAITO。
それでも彼女は黒ゴマKAITOの方は見ようとはせず、モカとコウを眺めている。
久しぶり、というわけではないが相変わらずの二人だ。
初めて会う彼女の姿に戸惑いを見せていたモカとコウも、時間が経つにつれ慣れてきたようだ。
コウに至ってはコミュニケーションをとろうとせっせと何かを訴えている。

「みみーみ!」

何を言っているかは全くわからない。
モカが訳すよりも早く、次から次へとコウが口を開くので通訳出来ていない。
モカが可哀相で止めた程だ。
それでも彼女は付き合って相槌を打ってくれている。

「あーもうほんっと可愛い!クロはこんなちっちゃい頃なかったからなー、普通のアイスにしとくんだった」

…普通のアイス?
KAITOの種を植えている以上、普通のアイスじゃないのだろうか。
確かに黒ゴマアイスは珍しいと思うが、氷よりは普通だろう。
それに小さい頃がなかったとは、どういう意味なのか。
気になり尋ねてみる。
すると驚くべき解答が返ってきた。

「業務用の、しかもちょっとでかいやつに植えたんです」

業務用…というと何キロとかいう単位のはずだが。
何となくのイメージは浮かぶが、それ以上に疑問が出てくる。
普通に売っているようなものではない気がする。

「親のコネで手に入ったもので。でも正直黒ゴマアイス、特別好きなわけでもなかったんで、植えてみたんです。で、丸一日経って蓋を開けたら幼稚園児ぐらいのクロがいたってわけです」

それは…何と言うか、凄いな。
初めに植えた時のアイスの量、もしかして成長に影響するのだろうか。
聞いたところ黒ゴマKAITOは生まれてから半年ほどらしい。
それで普通のKAITOの大きさまで育っている。
黒ゴマKAITOの成長が早いのか。
モカとコウの成長ペースを考えると半年で黒ゴマKAITOと同じ大きさになるとは考えにくいのだが。
種を植えてから大分起つが、まだまだわからない事だらけだな。
無知は罪とさえ言うのだからもう少し知らなくては。
なんて考えているとふと思い出した。
買い物に行かなくては。
アイスを含め、買わなくてはいけないものが沢山ある。
モカ、コウ、買い物行ってくるがアイス何食べたい?
アイスと聞いた瞬間コウが即座に反応した。
大声で叫ぶ言葉をモカが訳す。

「……………チョコミント……らしい…です……」

モカは?

「…………………ミルク…」

了解。黒ゴマKAITOは何がいいんだ?
聞いた途端、彼女がぶんぶんと手を振った。

「気にしないで下さい!っというか私達おいとました方がいいですよね、帰りますっ」

ああいや、むしろ二人の様子を見ててくれた方が助かるんだ。気にしないでほしい。
すると彼女は少し黙って、黒ゴマKAITOに向かって言った。

「あんた何食べたいの?」
「え!?えーとえーと……」
「遅い。勝手に決める」
「ええ!?」

立ち上がり彼女は玄関へと向かう。
うろたえながら黒ゴマKAITOが声をかけると、振り返り言い放った。

「留守番と、モカ君コウ君のこと、頼んだわよ」

そのまま返事も聞かずに出ていく。
どうしようもなく、黒ゴマKAITOに一言言って、大人しくその後に続いた。


午後の日を浴びながら二人で歩く。
何を話せばいいのかわからずにいると、彼女の方から口を開いた。

「呼び捨てでいいですよ?」

唐突な発言で、反応に困る。
笑いながら彼女は続けた。

「呼び方に困ってるみたいでしたから。美鈴、で構いません。皆そう呼びますから」

確かに、困っていた。
同い年でもない彼女をどう呼ぶのが適切なのか想像がつかないでいたのだ。
しかしいきなり呼び捨てとは。
それはそれで困るのだが。
彼女はそれ以上言わなかったが、目が口ほどに物を言っていた。
特別睨まれているわけではない。
それなのに妙な威圧感があった。
…これはどうするべきか。
実際呼び名がないのは不便だ。
本人が言ってくれているのだからそうした方が得策だろうか。
悩んでいると、彼女は話題を切り替えてきた。

「モカ君、元気そうで良かったです」

え、ああ。
突然の話題の変わり方に驚きながら返事を返す。
そういえば、彼女にはかなり借りがあった。
正直彼女が電話で教えてくれていなければ、もっと大変な事になっていただろう。
いくら感謝しても足りない程だ。
何かお礼をしたい。
そう告げるといいんですか、と言われる。
勿論。
頷くと彼女はにっこりと笑った。

「じゃあ、美鈴って呼んで下さい」

理解するまで少々の間を要した。
………やられた。
頭を抱えたくなった。
彼女を甘く見ていたようだ。
人の悪そうな笑みを浮かべながら彼女は隣を歩く。
こうなる事を予想して、彼女は話題を変えたのだろう。
こうなるともう勝ち目はない。
呆れ半分で、彼女の名を呼ぶべく言った。
黒ゴマKAITOにも今見たいな事やってるのか、美鈴。
美鈴はどちらともつかない、見事な笑顔を浮かべた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

KAITOの種19(亜種注意)

美鈴こえぇ……。
現在マスター二人のために書いております。
第一弾は友達になりましょう、ですw

脳内で二つ程新しい種が育ちました。
……どうしよう…。



書き忘れてたけどこっちは本家様です。
http://piapro.jp/content/?id=aa6z5yee9omge6m2&piapro=f87dbd4232bb0160e0ecdc6345bbf786&guid=on


6月6日 22:03
チョコミント食べたことないって言ってんのにww
食わず嫌いな気もするけどミントが苦手なんだよなぁ…。多分苦手。
誰がうまいこと言えとwww吹いたwwww
確かに黒い。見た目黒いのと中が黒いのと。
いやー驚いたわww

閲覧数:701

投稿日:2009/06/03 00:13:41

文字数:2,215文字

カテゴリ:小説

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  • 霜降り五葉

    霜降り五葉

    ご意見・ご感想

    エメル様
    モカイトも氷菓イトもゴマイトも、成長速度は設定があります。
    書く予定はあります。でもモカイトと氷菓イトは秋までおあずけです(長すぎ)
    ゴマイトはチャンスがあれば何時でも書けますが、一番設定がしっかりしてませんw考えてるのが迷信の一種なのでwww
    50㎝ですか…成長速度も皆バラバラですね。
    あ!まだマスター互助会の存在を知らない!!←
    エメル様宅は賑やかで羨ましいです。
    そして相手が二人だけでもエメル様勝てn(ダマレ
    美鈴、何者でしょうw一筋縄じゃいかないようですねww
    まぁマスターじゃ美鈴に勝てそうにありませんでしたし。………マスターがどんどん駄目な方に…。

    サターン様
    どうしましょう!自分チョコミント食べたことないんです!(ぇ
    メッシュは不良の始まりですかww
    チョコミィト君…不良だったんですねwww
    美鈴の本領が発揮されたようです。怖いです。
    大好きですか!ありがとうございますv
    モカイトはミルクとか多分好きです(多分かよ)


    閲覧&コメントありがとうございました!

    2009/06/04 00:47:18

  • エメル

    エメル

    ご意見・ご感想

    こんばんわ~

    黒ゴマKAITOは業務用アイス生まれ・・・しかも生まれてから半年とは、すごく驚きました。てっきり1年くらいたってると思ってたよ~w
    うちのショコは100mlですよ。ずいぶん差がありますよねwでも3ヶ月で5cmから50cmまで成長してる設定です。
    よし、マスターさん無知を嘆くなら互助会入りましょう!その方が話が振りやす・・・ガッ
    海疾「久々のマスターお仕置きタイム♪」
    ショコ「またひとことおおかったれしゅね、ましゅたーw」
    ・・・・・・・今日は2人だけ?
    海疾「あれ?星疾はどこいった?」
    ショコ「みくもいないれしゅ」
    美句はレッスン疲れ、星疾は自己嫌悪真っ最中ってとこかな~形勢は断然こちらが有利!
    海疾「ハッ、このためにあんなことを!」
    ショコ「ずるいれしゅ~」
    いやーまさか星疾にあんな属性があったとはw詳細は次回の小説中で。
    海疾「宣伝するな」
    ショコ「もはやかんそうじゃなくなってるでしゅ」
    あ・・・すみません

    美鈴さん強いです。相手に有無を言わせないとは・・・それこそゴマイトくんに対しては女王様並だしwww
    マスターさんさえ言いくるめられちゃったしね。負け知らずっぽいですねw

    2009/06/03 23:24:04

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