その日の帰り道。
初めてかなぁ？ライヤと一緒に下校とか―――


「っはぁ！？バカ！ユウタのことなんて好きなわけないじゃん！」

当たり障り無い会話をしていたら、
いつの間にか恋愛の話になっていたのは事実。

「いや(笑)この前アピールしてたなーって思って(笑)ちげーの？」
「違うよ！　…私、他に好きな人いるもん」
「へー、女ってわかんねー。　で、誰？」

何気なく聞かれた【誰？】の一言は
私の胸を大きく高鳴らせた。

いっつも喧嘩ばっかりだけど、これは
告白の大チャンスなのではないかと、私は確信した。

「っえ…！？本気で聞いてる？」
「おう。いいだろ！どーせ聞ーたって俺には関係ないだろーし(笑)」

「………………っあ、ライヤが言ってくれたら私も言うよ。」
「え、まじで？内緒だぞ？」
「…うん、みんなには秘密にしておく。」

私は心の中で静かに期待した。
ドキドキ、ドキドキ…　ライヤが口を開いた瞬間、


「…ミライが好き。」


私は硬直した。

え？ミライって…　あのミライ？
私の双子の？

うそ。


「え。まさかーっ！……………ねぇ、ホンキ？」

冗談混じり混じりで聞き返すつもりだったけど
最後のトーンはかなり暗くなった。

「本気。あいつ可愛いし性格良いし、好きになってもおかしくないだろ。」
「私の双子のミライ、…？」

「おう。」



頭が真っ白になった。

まさか。まさかあのミライのことが好きだったなんて
想像もしなかった。夢にも思わなかったよ。

私は、嘘をついた。

「…ごめん、私の好きな人、やっぱいないんだ。」
「はぁ！？ウソだったわけ！？うっわー(笑)」
「……っごっめん(笑)…ライヤの好きな人聞きたくてさっ」

「セコッ(笑)やっぱミライとユメは違うなー！」


…なんでだろ。

さっきから、ライヤの一言一言が
私の胸に重く突き刺さる。


「送ってくれてありがと。私もう帰るから！」
「え、えっ！？ちょ、待てよユメ！」

私を追いかけるライヤの足音が聞こえるけど
もう、いい。
私は全力疾走して、家に帰って即鍵をしめた。


―私は今日
初めてミライを恨んだ気がした。