7-2.
翌日。
寝たのが遅い時間だったせいか、海斗さんが目を覚ましたのはもう十時を過ぎた頃だった。
寝ぼけたままの海斗さんの腕の中から何とか抜け出して、海斗さんの要望通りにコーヒーをいれる。
実は私は一睡もできなかった。恥ずかしくて、緊張しすぎて眠れなかったっていうのもあるけど、寝てしまったら、それこそおとぎ話みたいにこの幸せな夢が終わってしまうんじゃないかって思っちゃったせいでもある。
一晩中、私は海斗さんの寝顔を眺めて過ごした。海斗さんはやっぱり疲れてたみたいで、ベッドに入るとすぐに寝てしまった。でも、ちっとも退屈じゃなかった。だって、あの海斗さんが今、私の手の中にいるんだもの。私の目の前で海斗さんが寝ているのを見てると、私は自分がどれだけ幸せかを実感できた。
「未来……? あー、おはよう。ふぁ……」
ベッドの端に座って、あくびまじりでコーヒーを飲む海斗さんは、なんだか新鮮な感じだった。
「未来……こっちきて」
私は苦笑して、また海斗さんの両足の間に収まる。
海斗さんはコーヒーを飲み干すと、カップをテーブルに置いて私を抱き締める。海斗さんに抱き締められるのは、すごく気持ち良かった。……でも。
「や、ちょっと……あっ……海斗さん、どこ触って――!」
「んー……?」
寝ぼけてるのか本気なのかわからない。いや、その。海斗さんならいいんだけど……でも、ちょっと待って。急にそんな。私、まだ心の準備ができてない。
と、そこで海斗さんの瞳の焦点が合い始める。やっぱり、寝ぼけてたみたい。
「あ、あー……ごめん、未来」
手を引っ込めて、ちょっとバツが悪そうに海斗さんが謝る。
「わた、私、は……か、海斗さんなら……」
顔を真っ赤にして言った言葉は、最後まで言えずに尻すぼみになって消えてしまった。
海斗さんが、改めて私をギュッと抱き締めてくる。
「俺だって、男だからね? そんなこと言ってたら……」
耳元で、本当に小さな声で「我慢できなくなるでしょ」って囁いた。
私は振り返って海斗さんを見ると、また顔が赤くなるのがわかった。昨日の夜から、顔が赤くなってばっかりだ。
「海斗さんなら、私は――」
それから先は、恥ずかしくて言えなかった。今度は私から唇を重ねて、ベッドに倒れ込む。
……結局、海斗さんの家を出たのは昼過ぎになってしまった。
ロミオとシンデレラ 35 ※2次創作
第三十五話。
「恥じらいの素足をからめる」
「黒いレースの境界線 守る人は今日はいません」
この歌詞がある以上、そういうシーンは避けて通れないと思っていましたが、流れが悪くなりそうだったので、ちょっと誤魔化してしまいました。
とはいえ、それでも二人のラブラブ具合は感じられると思うので、勘弁してください。
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おにゅうさん&ピノキオPと聞いて。
お2人のコラボ作品「神曲」をモチーフに、勝手ながら小説書かせて頂きました。
ガチですすいません。ネタ生かせなくてすいません。
今回は3ページと、比較的コンパクトにまとめることに成功しました。
素晴らしき作品に、敬意を表して。
↓「前のバージョン」でページ送りです...【小説書いてみた】 神曲
時給310円
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ご意見・ご感想
周雷文吾
ご意見・ご感想
> つんばる様
お久しぶりです。文吾です。
またのメッセージありがとうございます。
どうやら、何とか共感してもらえるようなストーリーになっているのかな、と胸をなで下ろしている次第です(苦笑)
とはいえ、早速43話も長々と書いてしまうあたり、大作というよりも長くてごめんなさいとしかいいようがないです……。
文庫本で30ページくらいのつもりで書き始めたはずが、単純計算で160ページ近くに……。
読みやすい、綺麗な文章が書けるようにがんばりたいです。
ええと、更新状況ではあと8話残ってますので、ご期待に添えるようがんばりますー。
2009/08/23 22:06:56
つんばる
ご意見・ご感想
こんばんは、毎回続きをうきうきして待っているつんばるです。
とりあえず、海斗ちょっとその役俺と代わr(人様のコメント欄でなんてことを!
ここまではストレートにモノを書くのがお上手な方だなと思って読んでいたのですが、ここにきて
なかなかどうしてお話の濁し方も素敵な方じゃないか! と思った次第です。
もうそ……想像が掻き立てられます!(言いなおしてもばればれ
……あ、こっちのロミシンも読んでいただけていたようで……! 嬉しいやら恥ずかしいやら
複雑なきぶんです……ありがとうございます、楽しかったと言われて有頂天です!(笑
でも、あ、あんまり参考にはしないでくださいね、反面教師的なノリで扱ってください。
最終話予定が43話ということで、その大作っぷりにぷるぷるしながら、つんばるでした。
次の更新も楽しみに待たせていただきますー!
2009/08/22 19:37:33