<おいでませ! 木之子大学・部室棟へ♪ 第1話 初音ミクの部活動>

(都内某所・私立“木之子大学”・体育館 入学式)

校長:えー、今日は君たち新入生の大学生活1日目であるからして~・・・

男子大学生:(“墓火炉 升太”(以下、升太)、2浪してやっと入れたんだ!、この都内屈指の名門校“木之子大学”・・・)

校長:えー、本校は学業だけでなく、部活動にも力を入れておりまして~・・・

升太:(学業は勿論手を抜かないよ。だがな、大学といえば“部活動”!。素敵な部に入って、合コンなんかして、素敵な女の子に出会って、つきあって、あれこれ・・・・うへへ)

司会:えー、それではこれにて入学式を終了致します。

升太:(おっしゃ!、友達に事前に教えて貰った、大学名物“部活動勧誘合戦”。受けてたとうではないか!。)

升太は退場する生徒の列に従って歩き、散り散りになる“体育館の入り口”まで進み、外に出た。

(木之子大学・体育館前)

男子野球部勧誘部員:き、君!、白球に青春を賭けてみないか!。大学野球で青春の汗と涙を流し!、根性根性ど根性で鍛えた肉体をプロスカウトに見て貰い、将来は、夢のプロ野球!、いや、“大リーーーーーーーーーグ”でMVPを取っちゃったりするかも!。
升太:あ、いや、その・・・・。
男子サッカー部勧誘部員:いやいやいや、時代は“サッカー”だよ!。ロンゲOK!、大学生の若い汗をコートに散らし、華麗にプレイして、そこをスカウトの人に見て貰って、将来はJリー・・・いやいやいや!、日本代表だよ!!!!。さぁ、今からでも遅くはない!。君も“熱いイレブン“になるんだ!!!!。
升太:だから、その、まだ・・・・。
男子テニス部勧誘部員:何を言ってるウサギさん、大学の部活といえば、テニス!。練習はしっかり!、でもそれ以上に合コンの嵐!、女子テニス部との甘い合同練習!。キング・オブ・ブカツといえば、テニス部で決まりでしょうが!。
升太:いや、その、考える時間を・・・

男子野球部勧誘部員:なんだとこのやろう!。キング・オブ・スポーツは、野球だっての!。
男子サッカー部勧誘部員:今はサッカーの時代だって!!。
男子テニス部勧誘部員:美味しいテニスを理解できないなんて、不憫な人たちだ。
男子相撲部勧誘部員:キング・オブ・スポーツは、相撲でごわす!。お前らひよっ子なんぞ、おいどんのツッパリで一撃でごわす!。
男子野球部勧誘部員:やるか!、この野郎!。

ポカスカポカスカ!!

升太:・・・・・失礼しま~す・・・・。

そそくさ

升太は部活勧誘部員のいない“体育館裏”に逃げてきた。

升太:はぁはぁ、危なかった・・・・。まさか大学の部活勧誘があんなに凄いとは・・・。ってか、勧誘したいんなら女の子の一人でも連れてこいっての!。まったく・・・ついていけなかった・・・ん?。

さらさらさら・・・・

花びら舞う、4月の満開の大きな桜の木の下で、プラカードを持った女子大学生が一人、ゆったりとたたずんでいた。髪は赤色、縦ロールで、両目はカラーコンタクトなのか、深い赤い色だった。

升太:(こんな所で勧誘なのかな?・・いや、そういう感じじゃないよな・・・なんというか“積極性”が感じられないんだよね・・・。でも・・・すっごく可愛いなぁ・・・・声、かけてみようかな・・・)

升太:あ、あの、そこの君・・・・

! スタッ かきかき・・・・

その女の子は升太に気づいたのか、ゆっくりと起きあがり、ホワイトボードが貼り付けてある“支持棒を持っていたプラカード”に、黙ってなにやらペンで書き示した。

プラカード:『入学おめでとう 私は重音テトと申します。』

升太:テトさんですか・・・。いや、その、あの、もしかして喋れないんですか?。

ふきふき かきかき

テト(以下、変更があるまでセリフは全部プラカードに書いた文章です):『いえ、風邪を引いてしまって、声が出ないんです。すみません。』

升太:は、はぁ。それで“筆談”ですか。ま、まぁいいや。で、テトさんはここで何を?。やっぱり部活動勧誘とか。

テト:『ちょっと違います。“部室棟案内係”です。』
升太:・・・は?。
テト:『この大学には、部活動用の部室を集合させた“部室棟”という建物が別にあるんです。新入生にそれを紹介するのが、私の仕事です。』
升太:ふ~ん。特定の部に属して無くて、“案内をする係り”か~。高校の生徒会みたいな所の委員なのかなぁ。あ、でも、なんか僕の今のニーズにぴったりだな、それ。あのゾンビみたいな勧誘部員連中より、ずっとこっちのほうがいいよ。それにテトさん、可愛いし。

テト:『ポッ♪』

升太:(あああああ!、“ポッ♪”だって!。墓火炉 升太、大学生活1日目にして、彼女ゲットか!!!。いける!、いけるぞ!。)
テト:『で?、どうしますか?。』
升太:あ、ごめん、一人で盛り上がっちゃった。うん、ちょうどいろんな部活を見てみたいと思っていたから、是非とも紹介してくれるかな?。

テト:『了解しました。では、私に付いてきて下さい。』
升太:うん、わかったよ。

とてとてとて・・・・

桜の木をあとにし、升太はテトの後ろをついていく事にした。

***

(木之子大学・スポーツグラウンド奥の森の中・部室棟)

テト:『着きました。』
升太:ふ、ふ~ん、随分“静かな”所にあるんだね。あ、そうか、文化部もあるから、環境には配慮しているんだね。
テト:『まぁ、そんなところです。では、入りますか?。』
升太:ま、まぁそのために来たからね。案内頼むよ。

二人は入り口のドアをくぐって、1Fに入った。

(部室棟・1F入り口付近)

テト:ここが入り口になります。横にあるのが、1階に入っている部の内訳です。
升太:は、はぁ・・・。

升太は言われるままに、部屋の名前と部の名前が書かれた札が集まっているボードに目線を移した。

***

<木之子大学 部室棟 1F案内表>

101号部屋 料理研究部 部員・初音ミク(部長)、プリマ(部員)
102号部屋 技術研究部 部員・鏡音レン(部長)、亞北ネル(部員)
103号部屋 模型研究部 部員・鏡音リン(部長)、ローラ(部員)

升太:へ~、ここは“文化部”の部室なんだ。あ!、この料理部なんていいかな。入学式が終わってちょうどお腹がすいたから。見学でなんか食べられるかも。

テト:『では、そこから“スタート”でいいですね?。』

升太:“スタート”?。

テト:『出口を閉じます。』

テトの声と共に、入ってきた1Fで1つだけの出口が、なんと消えてしまった!!。

升太:ちょ・・・・ちょっと!!!!!。どういうことですか!、テトさ・・・・・・・。

升太の前に立っていたのは、清楚な服のテトではなかった。小悪魔のビンテージ服を着て、死神の鎌を持った、ちょっと大胆な容姿のテトだった。

テト:さーて、“部室棟脱出ゲーム”の開始と行きましょうかね。あ、私はテトで同じ名前だから、宜しく。
升太:お、おまえ・・・あのプラカードは、“死神の鎌”だったのか!。それに声も出せるし!。
テト:まぁ、カモフラージュってヤツかな。あ、私の本職は見ての通り“死神”よ。というわけでゲームもスタートしたし、はりきっていこー♪。
升太:ここから出せ!。
テト:だ☆め☆。もうゲームはスタートしちゃったんだから、貴方がここから出るためには、ここの全ての部活に勝たないとだめなのよね。まぁどこからスタートでもいいんだけど、あなたの希望って事で、この“ミクの部活”からって事で決まったみたいね。
升太:い、一応訊くが、脱出できなかったらどうなるんだ?。
テト:死ぬわ。んでもってゲームオーバーって事で、私があの桜の木の下に埋めるのよ。毎回運ぶの大変なんだから、あなたが“最初の成功者”にいい加減なってよね。
升太:最初の成功者って・・・、もしかして誰も脱出できてないのか?。
テト:そう。みんな死んでいるよ。というか、最後の部活まで到達した人すら、まだいないのよね・・・。
升太:“お前がここのガイドをする“事に、確かに違いないが、あの世までのガイドまでしているとはな・・。
テト:あの世までのガイドになるか、ならないかは、貴方次第ね。それと、“大学生活1日目で出来たカノジョが小悪魔姿の死神だったなんて、なんてついてないんだー!“って、心の中で叫んでない?。
升太:ギクッ・・・・・。心が読めるのか?。
テト:いいえ、現実世界でのあなたとの会話で、最後の“ポッ♪”であなたが照れて、一人で盛り上がっていたから、すぐわかったんだよね。生きて出られたらの話題だけど、可愛い女の子には、いつも棘があるのよ?。これ人生教訓。うんうん。
升太:くぅ・・・・・・・言い返せない・・・・・。

テト:さーて、ここでだべっていても始まらない!。貴方が選んだ最初の部活は、“初音ミクさんの料理研究部”ね。さぁさ、頑張ろう!。
升太:なんて、軽いノリの死神なんだ・・・・。

二人は、『料理研究部』と書かれた札のある、101号部屋に入っていった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

おいでませ! 木之子大学・部室棟へ♪ 第1話 初音ミクの部活動

☆オリジナル作品第8弾である、「おいでませ! 木之子大学・部室棟へ♪」の第1話です。

☆今回は年齢を上げて大学です!。でも学校生活ではなく、異世界の部室棟を舞台にした脱出劇です!。

☆今回はとにかく明るいストーリーにしました。そして初めて主人公を“とあるボカロマスター”にしました。

☆部長が全部和製ボカロのため、案内役はテトちゃんに頼みました。でも小悪魔+死神ですけど。

☆今回も、宜しくお願いいたします!。

******

hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『causality』:http://piapro.jp/content/c0ylmw2ir06mbhc5

☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

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投稿日:2010/03/02 21:16:24

文字数:3,782文字

カテゴリ:小説

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  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    ayuu様、こんにちは!

    > どうもayuuです

    毎度、どうもです~♪。有り難うございます!。

    > まさか主人公がボカロじゃないとは思いませんでした

    今回は初めてですね。ボカロの誰かを主人公にしているのが通例だったので、今回はちょっとノリを変えました。主役の雰囲気は”KAITO兄さん”なんですが、今回は初めて”マスター目線”で行こうと思いましたので、こうしました

    > しかもいきなり変なゲームに巻き込まれていくストーリーが思いつくなんてすごいですね

    有り難うございます!。嬉しいです!。というか、商店街、スーパーヒーロー、小学校、の感じでこれで4回目です。作りやすいので、つい使っちゃうんですが、前と同じ展開にはしないようにしますね。

    > それにしてもあの主人公運がいいですね

    ツキだけで生きているようにも思えますが、2浪してここに入ったので、努力家の一面もあり・・・あると思います。たぶん

    > ミクのネギへのよく分からないこだわりがなければいきなり終わっていましたね

    長ネギLOVEなミクさんです~。料理を失敗したので、食べ物への懺悔のつもりで負けたというわけですね。

    > また次の話が出たら見に来ますね。  ではでは~♪

    有り難うございます!。シナリオとかいろいろ構成しながら、続きを書いてます。次はレンの技術研究か・・・・・レンと言えば・・・・・。

    このたびのご閲覧、コメント、有り難うございます!。

    2009/10/17 14:13:59

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    nai☆様、こんにちは!

    > 今度は、ボカロキャラではなく、なお且つ、男の子が主人公

    はい。そういえば鏡音時空探偵社以来ですね。また主人公がボカロではないのは初めてです。いろいろ違ったシチュを試してみようと思いまして・・・

    > “升太”、ず~っと“ショータ”

    ショータの方が人気取れそうですね。でも今回の主人公の設定は、”とあるボーカロイドマスター”→”ボカロマスタ”→墓火炉 升太、としたので、ショタ(レン)を連想する感じとは、また違った趣にしてます

    > あ、いえいえ、半ズボンはいた主人公のショタレンなお話

    さすがに大学舞台なので、大学生でショタってs・・・・・・んー、こっちの方が良かったかな?。いやいや、それだとミク対決の時やこれからのお笑い対決に向かないし・・・。うーむ。

    > 結局巻き込まれていくんですねwww

    はい、もうお約束です

    > 何かワケがあるのか? それとも単なる死神小悪魔テトの気まぐれなのか?

    これはおいおい開示していきますね。それにしてもこの部室棟、ちょっと雰囲気が違いますね

    > いやぁ、危なかったぁ>< ミクのミョーなこだわり

    確かにミクさんの長ネギへのこだわりはちょっとミョーですよね。一言で言うと”長ネギLOVE”ということかも。とりあえず第1戦で”2回戦、3回戦”はやめました。文字数的にも2話構成ならともかくプロローグ入れているので。

    このたびのご閲覧、コメント、ありがとうございます!。

    2009/10/17 14:04:09

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    nonta様、こんにちは!

    > ほのぼのとした平和なお話に…と思いきや

    いや~どうしてもそういうノリの作品になってしまうのです~。勿論、コレまでの異世界脱出物と同じにはしませんよ~。

    > まずはネギ料理限定の大食い競争部(違

    いやいや、ほんと、そんな名前でいいと思う部活動だと思います。料理部なのに、対決方法が大食い・・・。ちなみにここはミクといい、前に勝った人物の名前といい、主人公の必殺技といい、鏡音時空探偵社のあの話をちょっと元にしてます。立場が逆ですけどね(ミクとヴォルフガングさん/主人公とミク)

    > 運の強さに助けられて、それでこそ主人公ですよね

    そうですよね、まともに勝った負けただとお話が作れないので・・・。やはりある程度”変化と意外性”を持たせないといけなかったので、こうしました。

    > どこかで聞いたことあるようなお名前

    Gですね。あの人の気合いなら、なんでも突破しそうです。

    > たとえ負けても一つ一つしっかり味わっている分だけ遅くなった

    このミクさんは、”長ネギ”にちょっと違った”リスペクト”(尊敬の念)を持ってます。なので、生焼けとか逆に焦げてしまった料理とか、料理として完成してないアクシデントがあった場合、負けをあえて選びます。なので、テトが調べたとおり、クリアープレイヤーがいたり、部活対決では簡単な方、と言っているのは、そういうことだと思います。

    > 主人公の運命は、そしてこの謎の部室棟とは一体?

    この部室棟と入っている部活、そして死神小悪魔テトの事、まだまだ謎はありますよ~♪。

    > 楽しみにさせていただきます

    有り難うございます!。今回もはりきって作っていこうと思います。そうそう今回は主人公がボカロではなく、とあるボカロマスターで新しい設定ですので、賛否両論かもしれませんが、これで行ってみようと思います。ノリ的には”KAITO兄さん”なんですが、ある事情で兄さんを使えませんでした。

    このたびのご閲覧、コメント、有り難うございます!。

    2009/10/17 13:52:43

  • ayuu

    ayuu

    ご意見・ご感想

    どうもayuuです。
    まさか主人公がボカロじゃないとは思いませんでした。しかもいきなり変なゲームに巻き込まれていくストーリーが思いつくなんてすごいですね。
    それにしてもあの主人公運がいいですね。ミクのネギへのよく分からないこだわりがなければいきなり終わっていましたね。
    また次の話が出たら見に来ますね。  ではでは~♪

    2009/10/16 18:32:54

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