私は、これで最後にしようとたまたま流れてきた最後のネギトロに
手を伸ばそうとしていた。
席の端っこでとろうとしてたので、そこで取ろうとしたらもう一つ手が
伸びてきた。
「あっ」
私とその人は同時に言った。
よく見えないけど、緑っぽいような水色っぽいような色で、私よりも長そうな
髪をしていて、青っぽい目をした女の子が私の目線の先にいた。
「ご、ごめんなさい」
彼女はそう言った。
その時。
「うそ・・。何であなたがこんなところに」
め~ちゃんさんがそう言った気がした。
でもそれよりも私も申し訳なく思ったので、彼女に
「私こそ、ごめんなさいね。取ろうとしてたやつを」
だけど彼女は律儀なのか、
「いえ、私が悪いんです。すいません・・」
深々と謝ってくれた。
そこまで謝られると逆に困っちゃうんだけど・・。
どういうタイミングなんだかまたネギトロが流れてきた。今度はちゃんと
二つある。
だけどまた二人して片方のネギトロに手を伸ばしてしまった。
「あっ」
これじゃキリがないから、私が二つ取って一つを彼女に渡した。
「どうも・・。」
め~ちゃんさんが言った言葉が気になった。
め~ちゃんさんは、この人を知っているのだろうか?
でもそんなことも、マサさんが、
「二人とも、もういい?」
の一言で、意識的に遠くに行ってしまった
私がネギトロばっかり食べたのにも原因があるのかもしれないけど、
マサさんは、男の人にしてはあんまり食べていなかった。
「私はいいわよ。ビール飲めなかったのは残念だけどさ」
「まだまだ先は長いんだから、ここで酔っちゃだめだよ。め~ちゃん」
マサさんはそう答えた。
「わかってるわよ。しばらくは我慢するわ。」
「ルカはもういいの?」マサさんに聞かれて、
「はい。たくさんいただきありがとうございます」
と答えた。
「ボクじゃなくて、食べ物に感謝しなきゃ。ボクや、め~ちゃんや、ルカが
これ食べれることは奇跡に近いんだから」
そう言われた。
マサさんは、私を人間だと思ってる。だけど私は人間じゃない。
さっき感じた気持ちがまたこみあげてきた。
空しいというか、疎外感と言うか・・。よく分からない・・。
そのあとマサさんがお金を払って、私たちはお店を出た。
私は、さっきの気持ちをまだ引きずっていた。でもそれがいけなかった。
さっきの駅前の信号に戻ってきた。
私は下を向いて歩いていると、何かが迫ってる音がした。
ふと顔をあげると、車が私の方に向かって走ってくる。
「ルカ、危ない!」
マサさんがそう言った気がした次の瞬間
「ドッ」
鈍い音が聞こえた。
・・マサさんが私の前で倒れている。何が起きたのか分からない。
「・・、マサ!マサ!」
その声で何が起きたか理解した。
(マサさんが私を助けようとして車にぶつかった)
「あ~あ。結局こうなっちゃったのか~。でも、これも歴史なのよね」
その声に振り向くと、さっきの水色っぽい髪の人が立っていた。
「なんですって?」
め~ちゃんさんは、彼女にそう言った。
「あなたも、未来が・・。いや、今はまだいい。まだ早すぎるわ。
それよりも救急車呼んだから。病院まで付いて行きなさい。あなたたちも」
そう言ってその人は立ち去った。
でも、ある事に気がついた。彼女の耳の所には、ヘッドホンみたいなのが
付いていた。
(まさか・・。)
いやな予感がした。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

LUKA’S STORY第二章第一話「悲」

何やら訳ありの展開になってきました。

閲覧数:152

投稿日:2009/02/07 22:36:30

文字数:1,400文字

カテゴリ:小説

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    >>麻生みさ様
    見ていただきありがとうございます。
    約半年ぶりの生存確認的コメになってしまいましたが、
    続けていくつもりです。
    本業が忙しくなかなか進んでいませんが、しばらくお待ち下さい。m(_ _)m

    2009/09/21 14:41:45

  • あくる

    あくる

    ご意見・ご感想

    続きはあるんですか?

    2009/09/20 22:39:43

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