「サウー？もぉ、急に出てっちゃって何処行ったのー？サウー？」

最近弟の様子が変、何が変なのかはよく判らないけど、時々すっごく手の込んだお菓子とかバリスタ施したカフェオレとか作ってるし、かと思えば落ち込んでたり、寝不足っぽかったり…。

「マイ？何してんの？こんな所で。」
「あ、居た！サウが急に出て行っちゃうから探したんだよ？」
「ああ、ごめん、ちょっと…。」
「チェシャ猫さん、ごめんなさい、携帯見付かっ…。あ、話し中かな？」
「今行きます。…それじゃ、俺行くから。」

あれは…メオさんとフノオさん?!あれぇ？何かあの人ってメオさんを脅かして帽子屋さんのお気に入りに酷い事したとか聞いたのに…何でペア組んでるの？それにサウまで…むむむ?!これはもしかして…!!

「昼ドラ展開?!」
「痛っ…!!」
「ん？…わぁああ?!ごめんなさい！ごめんなさい!!」

振り回した手でうっかりアッパー?!あああ、これじゃ私が犯人確定！ここはトドメを刺した方が良いのかな？あれ？この帽子と髪は…。

「ナス君！」
「ナチ！」
「そうそう、ナチ君。何だかお久し振りー。どうしたの？顎押さえて涙目だけど…
　も、もしかして泣いてた?!」
「いや、今のアッパー裏拳が…。」
「うんうん、青春って涙と汗がセットだよね…。」
「怒って良いかな？」

だけど溜息とちょっと浮かない顔と、それに何だか悩ましそうな目…。やっぱり何か困ってるっぽい？あ、そう言えばナチ君はメオさんと結構良い感じだった気がする！あれ？でもさっきメオさんはフノオさんとペアっぽかったよね？…となると…。

「頑張って！ナス君！私協力するよ！リアルで昼ドラな展開が見れるなんて
　貴重過ぎる～～！」
「清々しい程脳内が駄々漏れしてますよ。それとナチです。」
「困ってる事とか無い？ほら、ちっちゃいメモをコッソリ渡したりとか、寮の庭の木
　に登ったりとか！」
「無いよ。」
「つまんなーい。」
「…あ！あるある！困ってる事あった！」
「え?!私で欲を満たすのは駄目よ?!」
「違う！課題のペアだよ！頼む人居なくってさ。協力してくれるんなら『人形』
　やって！」
「メオさんに振られたから私で妥協するのね?!判った！私頑張る！」

目の前にナス…じゃないナチ君が『Orz』な格好で激しく落ち込んだ。直球過ぎたかな？

「ナチ君、ナチ君、冗談だから泣かないで？」
「無理…。」
「キャラメル食べる？泣きたい時は甘い物が心に染み入るんだって。」
「もう好きにしてくれ…。」

ドレスと昼ドラ楽しみだなぁ～わくわくしちゃう♪