瞬間移動の力を使い、レンは家へと戻った。
が。
「?」
誰もいないはずの部屋に、明かりがついている。
一人暮らしだから、同居人というのはない。
だとすれば誰が?
「やっほー、レン君。勝手にお邪魔してるよ?」
そのあまりに能天気な声に、レンはため息をついた。
生前の記憶や人格がほとんどなく心が空に近いからそれだけですんでおり、普通の人間なら頭を抱えて悶絶するくらいはしている。
「勝手に上がりこまないで下さいって言いましたよね?」
もっとも、それはもう諦めている。
「カイト先輩」
そう、勝手に後輩死神の家に上がりこんでベッドでくつろぐその人こそ、臓器移植をはじめて行った元医者の死神・カイトである。
レンと同じ黒いマントの中にあるのは、海色の髪とレンよりも濃い(らしい)青い瞳。良くしてくれるし死神の事を色々と教えてくれるが文字通り神出鬼没で後輩をからかうのが趣味な彼の扱いを、レンは無視という形で通している。
とはいえ、今日は勝手が違った。
「カイト先輩。今日、私はある少女に会いました」
そう前置きしてレンはカイトにリーリアの話をした。
死の間際でもないのに、自分の姿が見えた事。
彼女を見た途端、懐かしいような奇妙な気持ちになった事。
自分には分からないが、彼女いわく自分の顔が彼女にそっくりだという事。
自分達二人は同じように孤独で悲しい存在だからと、友達になった事。
「・・・という訳なのですが、この気持ちは何なのでしょうか?」
レンは安楽椅子の上に体育座りをして、ぎっこんばったんと椅子を揺らしていた。
揺れる度にミシミシと床が軋むのは、カイトへの当てつけの意味もある。
「レン君。それはきっと“恋”じゃないかな? 彼女と一緒にいたいという気持ち。離れたくない気持ち。それはたぶん、恋だよ。・・・まあ、“成長する死神”なんていう規格外な君だから、完全にそうとは限らないけど」
“成長する死神”。
レンの身体は緩やかに成長していた。だが死神というモノの時計は死した時から止まっており、成長する事も老いることもない。
それはつまり、レンの年齢は外見と同じわけで。
14歳の少年が人の死を看取る死神になるのは酷だと分かっていたが、カイトはそれをレンに告げられなかった。
彼を死神にしたのは、他ならないカイトだから。
それを選んだのはレンだが、その選択肢を提示したのはカイトだ。
カイトのそれは罪であり、罰として彼が死神であり続ける年数が増えた。
時折カイトは、本当にそれでよかったのか悩む。
そんな時はレン本人に会いにいくのだが、登場の仕方もあって彼には悪印象しか与えていないらしい。
感情の薄い彼が表情を変えてくれるのなら、カイトは道化を演じる。
レンの胸に湧き上がった想いが“恋”ではないと知りながら―――
【白黒P】鎌を持てない死神の話・5
カイト兄さん登場。
ごめんやっぱり微妙にギャグだったw
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