「かわいいわねー、このワンちゃん。それと、こちらも…キモかわいいわね」

テトさんが、小物をのぞき込んでつぶやく。

「そうですかぁ、えへへ」「どうも、ありがとうございます」
嬉しそうに答えるのは、作品を作った、ぱみゅちゃんとレイムさんだ。

「ギャラリー・ゆうひ」で開かれている個展「レイム&パム 作品展」の会場。
日曜日の午後に、ここを訪れているのは、テトさんと、ルカさんの2人連れだ。

アクセサリーが好きな彼女たちは、楽しそうに、ガラスと粘土(クレイ)でできた作品に見入っている。

雑貨デザイナーのテトさんと、企業で商品開発をしているルカさん。
2人は仲良しで、ときどき一緒に買い物をしたり、こうして展示会をのぞいたりする。


●ヒット商品に負けないぞ!

「ホントにいろんな個性があって、楽しいよね。粘土(クレイ)の作品は、どちらが作るの?」
飽きずに作品を見ていたテトさんは、感心したように言う。

「はい、粘土は私が…。ガラスの造形は、このぱみゅちゃんがしています」
レイムさんは、テトさんのそばに来て答える。

「ステキね。うちの会社でも、いっしょにお仕事できたらいいと思います」
そばで聞いていた、ルカさんが微笑んで言った。
「ほんとですか?」
ぱみゅちゃんが、目を輝かせる。

「それは、いいわね。いま、ルカちゃんのとこでは、新しい作品をいろいろ探してるものね」
テトさんは、言った。
「大ヒットしてるメグ・ハミングの雑貨も、ルカちゃんの企画で始まったのよ」

「へえ、すごいなあ」
ぱみゅちゃんと、レイムさんは顔を見合わせる。

「大ヒットなんて。たまたま当たっちゃっただけよ」
謙遜して、ルカさんが手を振った。


「そういえば、テトさんのところのドール。発売になったんですって?楽しみだなあ」
ルカさんの言葉に、テトさんはうなずく。
「うん、そうなんだ。いまね、いろんなお店で、発売のキャンペーンをしてもらってるんだ」

テトさんは笑って言った。
「メグ・ハミングにも、負けないぞー」




●恥ずかしいと思えば、恥ずかしい?

その頃。

お茶の水の雑貨店「ゆっくり」をめざして歩いている、2人連れがいた。
リンちゃんと、モモちゃんだ。

ちょっと前から、雑貨店巡りが好きになった高校生のリンちゃん。
双子の兄が、バイトをしているお店に行ってみたいと、かねてから思っていた。

そこで、休みの日にモモちゃんを誘ってみたのだ。


めざすお店に近づいていくと、何やら店の中で、やりとりをする声が聞こえる。


「やっぱり、いやですよー」
なんだか、せっぱつまった声だった。

「平気、へいきー。恥ずかしいと思えばー、恥ずかしくなるのよー」
のんびりと、諭すような声も聞こえた。


「あれ、お兄ちゃん!?」
リンちゃんは、声をあげかけた。

お店の入り口に、兄のレンくんの姿が見えたように思ったからだ。
でも、それはすぐに引っ込んでしまった。

「何?いまの」
横を歩いていたモモちゃんが、不安そうにリンちゃんに言う。
「なんだろう。レン兄ちゃんかと思ったんだけど…」
リンちゃんは、眉間にしわを寄せて、お店の中をのぞきこんだ。

モモちゃんがつぶやいた」。
「…なんか、天使のかっこうをした人、みたいだったわよね」=( ・_・;)⇒

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌(159)  デビちゃん、売り出し作戦開始 ~その4。

バイトの道は険し。商売の道もけがれなく遠し…ですね。

閲覧数:81

投稿日:2012/06/24 17:45:39

文字数:1,384文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

  • 関連動画0

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    今晩は! 早速拝読させて頂きました。

    前半は、凄く、”同業者さん達の間のお話”な感じで、

    『こんな感じでオシゴトのお話をしているのかも』

    って、勉強になりました。雑貨のお仕事は、デザインやアートにも勿論ですが関わっているんですね。

    そして後半は、レン君の受難ですね。私の所でも巫女にされたりしたレンくん。男の子は大変です…。

    女の子、例えばリンちゃんだと、曖昧な返事はせず、嫌だったら、

    『嫌です』

    ってはっきりと断っちゃいますよね。

    今回も楽しいお話、有り難うございました。

    ではでは~♪

    2012/06/24 19:21:52

    • tamaonion

      tamaonion

      こんばんは。メッセージありがとうございます!

      そうですね、雑貨の仕事の人は、ここにいけば面白いものに会える、みたいな、
      コツを知ってることが多いですよ。
      その点は、ネットの世界とも同じですね?。

      へえ、レンくんが巫女さんになる話も書かれてるんですか。
      ちょっと楽しそうですね!

      あとで、読ませていただきますね。楽しみです!

      それでは、また。

      2012/06/24 21:55:12

オススメ作品

クリップボードにコピーしました