水曜日の昼下がり。デフォ子さんがカイくんの店「キディディ・ランド」にやってきた。
彼女はカイくんに、自分たちのミク人形シリーズの売れ行きを、聞こうと思ったのだ。

●男子でもぬいぐるみ?

黒い色のミク人形「クロミク」を、トートバッグやケースなどの小物にしようと、ゼロ・ジー文具、ルートート社などの企業が考えている。
それらがいろいろリサーチしたら、なんと男の子で「ミク人形のぬいぐるみ」がほしい、という人が多かったという。

「へえ、ぬいぐるみが好きなんて、ちかごろの男の子はかわいいね」
デフォ子さんはつぶやいた。
「ソニカさんのところは、製品が文具や雑貨だから、ぬいぐるみまでは作れないって。どこか、「O・E・M」で作ってくれるところを探してるらしいよ」
カイくんは言う。

「O・E・M」とは、他の会社にたのんで製品を作り、自分の会社の販売ルートで売ることだ。
デフォ子さんには、そんな会社に心当たりがあった。

●ご本人もダークに

ちょうどその時、お店の売り場に、ミクちゃんが出てきた。

「あ、ウタさん、こんにちは」
ミクちゃんが、笑顔であいさつしてきた。
ウタとはデフォ子さんの本名だ。

「あ、ミクさん」
「どうもアリガトウ。私の描いた、あんなラクガキを、ステキなデザインにしてくれて。さすがに“つんでれ”のメンバーは、すごいなあ」
「いいえ、そんな。ミクさんのアイデアがよかったんです」
デフォ子さんのことばに、うれしそうにミクちゃんは笑う。

でも、何か、顔の感じがいつもと違う。

「おや、ミク、その口紅...」カイくんが、指さした。
よく見ると、ミクちゃんの唇の色はうっすらと黒い。
淡い黒のような、ダーク・レッドの口紅だ。

「あ、これ? やっぱり本人であるワタシも、“クロ”のイメージで行こうかな、と思って」
にっこり笑うミクちゃん。
すると、何と、歯がすべてまっ黒にぬられていた!
「あ」「うわっ」
二人はびっくりした。

ミクちゃんは、“お歯黒”の笑顔を、惜しげもなくお客さまに振りまいている。

カイくんは思った。
「もはや、おまえに勝つる人は、いないよ」(;^_^A

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌 (27) ミクちゃんが黒化粧

私は雑貨の仕事をしてます。お話は、玩具や雑貨にからんだものになってますが、出てくるお店や人や会社には、それぞれモデルがあります。
もちろん、キャラクターほどには可愛くないですけれど(笑)

◎タグ、どうもです。
一応、モデルがあります。
でも、それぞれいろんなとこで、起こってたりもします。それを関連づけたり。

これだけ密度が濃いつながりだったら、毎日楽しいですよね(笑)

閲覧数:127

投稿日:2009/10/17 10:52:19

文字数:904文字

カテゴリ:小説

オススメ作品

クリップボードにコピーしました