「じゃ、年明け早々には、発売になるんですね」
たこるかちゃんは、スパゲッティをフォークに巻きながら言った。

「うん。なんとかね。もう、ホラ、オタク…じゃなくてさ」
ルカさんは、そう言いかけて、ライムジンジャーのソーダを一口、口に含んだ。
「んー、リンちゃんマニアの人たちの、リクエストがすごいのよ」

すると、ちょうど、ソラ君がほかのテーブルに料理を届けて、そばを通った。
「え、オタクがどうかしましたか?」
「いえいえ、マニアね。ちゃんと言い直したよ」
ルカさんが苦笑いして、言った。

彼女らが勤める「ハミングス」にあるレストラン、「カフェ・ドナ」。
このビルには、ショールームを兼ねた小さな売り場も入っているので、いつもお客さんが立ち寄る。
混んでいるときが多いが、たまに空いている午後などは、こうして、社員のルカさんやたこるかちゃんも利用している。

いまは、2人の他に、いまソラくんが料理を運んだ、若い女の子がひとりいるだけだった。


●真面目になると有能ね

「“ヲ”の人を馬鹿にしちゃ、いけませんねぇ。どうもルカさんは、そういう点、冷たいですよぅ」
そう言って、ソラくんは目を丸くしながら、キッチンに戻っていく。
たこるかちゃんが、残りのスパゲティを口に入れながら、言う。
「ウム、ルカさん、こんどのヤツはけっこうそんなファンがメインだからね、モゴモゴ」

「うん、そうね。馬鹿にしたわけじゃないけどなあ」
「ソラさんは、あれでけっこう隠れオタクだしね」
たこるかちゃんが言ったので、ルカさんはソーダを吹き出してしまった。

ルカさんは、ハンカチを取り出しながら言う。
「でもね。こんどの“「リンリン・はっちゅーね」”ね。予約申し込みがもう、すっごく入ってるんだ」
「へえー。すごいね。私もこの前、れおんさんに見せてもらったけど。可愛いじゃん、あのドールさ」
「そうなのよ。れおんさんが超はりきって作ってるし。ま、あの人も真面目になると、有能だね」
ルカさんが、お高い感じで言ったので、こんどはたこるかちゃんが笑いだした。



●どんなのを出してくるかな?

「でも、来年初めの発売だと、ちょうどテトさんの新製品と、時期がかぶるでしょ」
「そうなのよ!ガチンコ勝負なのよ」

ルカさんが、ちょっと心配そうに言う。
「あっちは、どんなのを出してくるかな。たこるかちゃんは、知らない?」
「うん。知らないなあ…でも、楽しみだよね。ちょうどライバルになるけどね」

そう言って、彼女は続けた。
「こないだ、フリマの時に、レンくんとか、ぱみゅとかと会ったんだ」
「あら、そうなの」
「そしたら、ホラ、“ニコニコ・デザイナーズ・ビレッジ”ってあるでしょう」
「うん」
「あそこがね、何か『魔窟』みたいになってんだって」

「マクツ…? あ、魔の、巣窟の窟ね」
「うん。そーそー。そこにレイムちゃんって、不思議ちゃんがいるんだ。で、そこに輪をかけて強烈なやつが入ってきたんだって」

ルカさんは、笑い出した。
「じゃ、ワンダーランドね、そこ。でも、ま、“はっちゅーね”もそこで、生まれたわけだし?」
そう言って、ふと、心配そうな顔になった。

「でも、そういう人たちと付き合って…テト、変な影響、受けないといいなぁ」…(*゜。゜)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌(217)  「リンリン・はっちゅーね」 VS 「テト・ドール・ナチュラル」!?

オタリーマンというのはありましたが、オタシェフというのも楽しいです。

閲覧数:117

投稿日:2013/12/01 15:40:16

文字数:1,369文字

カテゴリ:小説

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  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    こんにちは~♪ ようやく最新作まで到達しました!

    さてさて、あのおじさんが超はりきって作っている、

    『リンリン・はっちゅーね』

    これは名前も可愛いし、リアルにあっても、売れそうなグッズですね。”リンリン”は、Diosさんの初期のリン(レン)廃曲”リンリン・シグナル”から来ているのでしょうか?

    リンちゃん、ほんと、今のボカロ曲を聴くメインターゲット世代である、小学生、中学生、高校生に、大人気であり、リンちゃんが歌っていないのに大人気になって、コミカライズ、ノベライズした、

    ”リンちゃんなぅ!”

    で、完璧にミクさんに続いてブレイクしましたからね。他にもココロは舞台化しました。

    それでなくても、”リン廃”、という言葉があるくらい、リンちゃんの熱狂的ファンは多数いますし、まぁリアルな話をいうと、ボカロとしては調教が難しいのですけど、大人気です。

    ココロ、炉心融解、他、名曲も多く、まさに、ヲな方が、

    ”神”はミクさん

    だけど、

    ”可愛い友達”はリンちゃん、レンくん

    って感じなのでしょうね。設定も14歳って、まさに狙ったような年齢だったし。

    リンリン・はっちゅーねの、これからの展開が楽しみです!

    ではでは~♪

    2013/12/04 14:59:54

    • tamaonion

      tamaonion

      enarinさん、メッセージを有難うございます!

      >さてさて、あのおじさんが超はりきって作っている、
      『リンリン・はっちゅーね』
      これは名前も可愛いし、

      有難うございます。ちょっと年配の方だと「リンリン・ランラン」とか言い出しそうですけど(笑)、

      >”リンリン”は、Diosさんの初期のリン(レン)廃曲”リンリン・シグナル”から来ているのでしょうか?

      ご明察です。これは中の人も歌うほど、人気の曲ですね。そこでアイデアをもらいました。

      >今のボカロ曲を聴くメインターゲット世代である、小学生、中学生、高校生に、大人気であり
      >”リン廃”、という言葉があるくらい、リンちゃんの熱狂的ファンは多数いますし

      今のボカロのリン・レンのメインターゲットは、そういう年齢なんですか。なるほど。
      その世代は私たちの頃は、アイドルのファンが多かったですけど、今は追いかけるのはボカロ、なんですね。

      >まぁリアルな話をいうと、ボカロとしては調教が難しいのですけど、大人気です。

      そうなんですか。なるほど。でも、聴き専であれば、とくに若い人の聴き専の方は、気にしないポイントでしょうね。
      炉心融解はカルチャーショックでしたね。さいきん名前を聞きませんが、枝〇官房長官さんまでMADで歌わされるほどでしたね(笑)

      >”可愛い友達”はリンちゃん、レンくん
      って感じなのでしょうね

      そうなんでしょうね。
      ちょっと前、秋頃にファミマでボカロの大キャンペーンがありましたが、コンビニの「KAITO」のポスターを、小学生の女の子が携帯で撮っていたのを見て、「へえ、アイドルみたいだなあ」と感心したことがありました。

      いまは身近なアイドル、なのもしれませんねえ。

      また、感想を聞かせてください!

      では、また。

      2013/12/14 18:57:41

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