「へえ、面白いね。ウタちゃん、おめでと!」
「うん、ありがと」
テトさんの言葉に、照れくさそうに笑うデフォ子さん。

二人が座っている「ニコビレ」のロビーの、机の上にあるのは、「アノニマ・マガジン」という雑誌だ。
この雑誌で、来月から4コマ・マンガがスタートする。
タイトルは、「マイティ・デフォ」だ。

アーチスト支援施設の「ニコビレ」に入居中の、“みなみさん”が描くこのマンガ。
同じ入居者で仲のいい、デフォ子さんたちの日常のドタバタを描くそうだ。


●4コママンガに出演!

「ふぅん、ここの村長さんがねー」
テトさんは、自動販売機でいれたコーヒーをすする。
「そうなんだ。村長の風祭(かぜまつり)さんが、雑誌の出版社の人と知り合いでね」
デフォ子さんは「アノニマ・マガジン」を裏返す。
そこには小さく、「トレジャー・アイランド出版」と書かれている。

「じゃあ、毎週、ウタちゃんが、4コマに出演するんだ」
テトさんが目を丸くする。
「うん。登場するのは、私と、ルナちゃん。あとなぜか、モモちゃん」
「え?モモちゃんも?」

デフォ子さんは、自分で淹れた、コーヒーのサイダー割りをすすった。
「そう。作者のみなみさんは、サンセットギャラリーで、モモちゃんと知り合いなんだって」
「そう。なんだか、楽しみだわね」テトさんが言う。
「ありがとう。でも、そんなに発行部数は多くないんだけどね」
デフォ子さんはまた、照れくさそうに笑った。


●いやいや、ピッタリなのは...

デフォ子さんと会った、次の次の日。
テトさんは雑誌社のジー出版社で、仕事の打ち合わせがあった。

「へえ、トレジャー・アイランド出版で...」
応接室で、野呂間さんが聞いた。
「ええ。連載は、来月からだそうです」
テトさんが答える。

「あそこは、ウチのライバル会社だからなぁ」
野呂間さんがつぶやく。
「なんでも、ほのぼのマンガらしいですよ」
テトさんが言う。
「ほのぼの?」
「ええ、ニコビレとか、ギャラリーのアーチストの日々を描くんですって」

「ふうん、まったり系か。でも、デフォ子さんなら、ドジネタも、こと欠かないね」
彼の言葉に、テトさんも思わず笑った。
「ほんとですねー」

野呂間さんは笑いを止めて、テトさんに言った。
「どうかな、ひとつ、ウチでも、君を主役にマンガでも作ろうか」
「えー、ほんとですかぁ。じゃ、ひとつ悲劇のヒロインで」

彼は、さらに大声で笑った。
「いやいや、テトさんなら、ほのぼのでなく、スーパーギャグアクションだろう」m( ̄ー ̄)m

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌 (94) 4コママンガ「マイティ・デフォ」

●ふつうに暮らしていて、はたから見てると面白い人...とてもトクですよね(笑)。
●デフォ子さん、誕生日おめでとうございます。

閲覧数:91

投稿日:2011/03/05 21:12:06

文字数:1,077文字

カテゴリ:小説

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