BATTLELOID「STAGE6 絆の真偽」-(2)

投稿日:2014/06/28 22:38:31 | 文字数:4,330文字 | 閲覧数:189 | カテゴリ:小説 | 全3バージョン

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注釈はBATTLELOID「BEFORE GAME」を参照してください


ミクとがくぽの決戦。
そして別のところでは、グミが猛威を振るっていた…


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TEXT
 

「どこからでもかかってくるがよい」
 そんなミクの思考を知ってか知らずか、がくぽはマイクを構え、いつミクが仕掛けてきてもいいようにミクを見ている。隙を感じさせない。
 だがミクは…。
「…貴様…!?」
 がくぽに背中を向けた。
 どういう事か、当然行動を起こした本人であるミクは承知している。
「お主…リン殿とレン殿を見捨てるというのか!?」
 がくぽが叫ぶが、ミクは気にしない。
 そうよ、レン君は言ったじゃない。ルカ姉の味方になっておけばよかったって。
 ならばそれでいいと、ミクは思ったのだ。
「勝手にすればいい。私はもう…いいの」
 そう言って歩き出す。後悔なんてない。
 だが、がくぽはそうはさせなかった。
「お主、二人に助けられたのではないのか?二人の協力に、感謝したりはしなかったのか!」
「…いいじゃない。がくぽさんは二人をルカ姉のとこ連れてくんでしょ?そうすれば、二人はめでたしめでたしよ」
 今のミクに希望はない。マイクも出さず、がくぽのほうに向きなおろうともしなかった。
「貴様…!『御手繋ぎ』!」
 がくぽが怒りをあらわにし、歌う。光線は身構えもしていなかったミクの背中をとらえた。
「…っ!」
 あの時は叫んだが、今は違う。虚無感が、ミクの心を満たしていた。
 広場の端へミクは飛ばされ、何度か地面に体を打ち付けて止まる。
 それを見て、がくぽが畳み掛けるように言った。
「カイト殿達を倒しているのだから、我はさすがミク殿だと思ったのだがな。…おぬしの性根は、そんな腐ったものなのか!?」
 言われたい放題。
 だが、ミクは倒れたまま構わず聞き流すだけ。
「…もう良い。貴様には失望した。我は貴様と真剣に戦う事、侍として心より望んでいたのだがな」
 そして、マイクを構えたその時…。
「ミク…姉?」
 リンが、目を覚ました。
 気付いたがくぽが歌おうとするのを止める。
 リンは状況を察知すると言った。
「ミク姉、逃げて!」
 だがミクはすぐに動こうとはせず、ゆっくり、体を起こしただけだった。
「逃がしはせん。ここでミク殿と戦うのが我の使命」
 がくぽはマイクを構えたまま言った。
「ミク姉…早く…私はいいから!大丈夫だから!」
 リンが必死に叫んだ。その言葉に、ミクは少し引っ掛かる。
 大丈夫だから。
 昨晩もリンはそう言っていた。一体、リンちゃんは私に…。
 そんなことを考え始めるミク。何が、大丈夫…?
「ミク姉!」
 再び声。だが、今度はリンじゃなく、レンだ。
「ミク姉は…俺の知ってるミク姉はこんなんじゃない!ミスしたところでずっとくよくよするようなミク姉、俺は知らない!ミク姉は、まだ戦える!」
 レンの言葉がミクに突き刺さる。この前はつい感情的になって突き放してしまったが、今のミクは冷静にその言葉の真意をとらえた。
 …あの時だって、レン君はずっと励まそうとしてくれていただけじゃないか。リンちゃんも、私にずっと声をかけ続けてくれていた。
 …このゲームに仲間はいない。普通は。
 …けど、私は違う。
「『喪失モノクローム』!」
 このままじっとしているわけにもいかないと、がくぽが仕掛けてきた。
 …私には…仲間がいる!
「『崩壊歌姫』!」
 ミクは歌った。光線はがくぽのそれをきれいに弾き飛ばし、そのままがくぽへと向かう。
「うおっ!」
 がくぽはぎりぎりのところで左に動いた。
「『イージーデンス』!」
 すかさずミクが追撃に入る。これにはがくぽは対応できず、正面から受ける。
「…ふふ、それでこそミク殿、だな。だが我も負けぬ!」
 がくぽは少し安心したような表情を見せたが、すぐもとに戻ると、体勢を立て直す。
「『Dr.リアリスト』!」
「『タイムマシン』!」
 ぶつかる光線、相殺。
 二人の真剣勝負。
 がくぽが一瞬早く次のモーションに入る。
「バタフライ』!」
 だがミクの反応も遅くなく、ステップで右にかわした。
 いったん互いに攻撃をやめる。絡み合う視線。
「『リンネ』!」
「『Paranoid Doll』!」
 放った攻撃は衝突。爆発音と爆風が起きる。
 だが、相殺はされず、光線の軍配はミクに上がった。
がくぽはそれを察知し、一旦光線の進行方向からそれた…が。
「『ライフライン』!」
 よけた先に別の光線が襲いかかってきた。
 そう、がくぽは忘れていた。彼は特に双子を束縛するようなことを何一つしていなかった。
 意識を取り戻した彼らはすでに…自由。そしてここぞと、リンが攻撃を仕掛けたのだ。
「ぬうう!」
 だががくぽはそれを寸前で伏せてかわすことに成功する。
「『orange』!」
 続けざまにレンが動く。だが彼は想像以上に素早く、ジャンプでかわした。
 まるですべて見切っていたかのような行動。俊敏で、華麗だ。…だが、彼は空中に出てしまった。もう、逃げるのは難しい。
「ミク姉!」
 リンが叫ぶ。それでもミクはまるで双子とすべて打ち合わせていたかのように、攻撃の準備は整っていた。
「『ローリンガール』!」
 予定調和のように放たれたそれはまっすぐがくぽへと向かっていく。
 だが、がくぽの行動も早かった。
「『ダンシング・サムライ』!」
 空中にいながらも抵抗を見せた。
 だが、準備をしていたミクと、とっさの対応だったがくぽ。その違いは見事に威力に表れた。
「ぐわあああ!」
 断末魔に近いがくぽの叫び。
 粉々になったであろうマイクの破片が、からんと音を立てて、地面に落ちてきた。

『I‐1 神威がくぽ
 C‐3 初音ミクにより、脱落』

「ミク姉…」
 様子を窺うような双子に、ミクはにっこり笑った。
「ごめんね。もう…大丈夫だから」
 ミクがそう言って笑って見せた、その時だった。
「「「わ…!」」」
 ごうん、と。
 まるで地震のような感覚で地面がゆれた。
 三人の仲直りムードは一瞬で消え…不安気に顔を見合わせた。
 …一体、今のは?





[E区画 草原エリア]
「こんなものなのかしら?」
 透き通っていてかつ、強みのある声が一帯に響く。
 その余裕ぶった声とは裏腹に荒い息をし、相当な疲れを見せる三人がいた。
 余裕ぶったその少女は黄緑の髪に、同じ色を基調とした服、大人びたようで幼さも見せる顔立ちに、さらに額にゴーグル。…グミだ。
 一方の三人は、白髪であほ毛が目立ち、男だが中性的な顔なピコ、黄色い髪と遮断機を彷彿させる衣装、整った顔のリリィと、某有名キャラクターもモチーフとした緑の幼い少年、リュウトだ。
 …最初はピコとリリィの戦いだったのだ。だが、直後に漁夫の利をとリュウトが参戦してきて、三つ巴の戦いになった。
 そして、戦い始めて丸一日経とうとした頃…このグミがやってきたのだ。
 グミは戦いつかれた三人を一気に責め立て、ものの数分でこの状況にしたのである。
 分かっていたけれど。リリィは思う。彼女は私達、インタネ組ではとびぬけた才能、人気を見せていた。でも同じだと思ってた。
 けど。次元が…違う!
「『シルバーバレット』!」
 なりふり構わずグミは攻撃を発射。特に誰かを狙い撃ちしたわけではなかったが、光線はリュウトにクリーンヒット。
「わあああ!」
 響く幼い断末魔。
 マイクは壊れなかったが、吹っ飛んだリュウトがドサ、と地面と音を立てて止まった直後、なったのは三つ分のバイブ音。
 ピコとリリィは恐怖の顔を浮かべた。
 動かないリュウト。それは…数分後の自分かもわからない。
「『チェックメイト』!」
 そんな二人の思いもつゆ知らず、グミは次なる攻撃に出ようと歌う。
 もし、これが決まっていたら二人はここで脱落していただろう。
 だがそうはならなかった。
「うわ…!?」
「え…!?」
「な…!?」
 響いた三人分の声。
 ゴゴゴ、と大きな地響きがあたりを支配する。
 同時にバリバリと、空から大きな音がする。
 まるでこの世の終わりのような状況に揉まれること数分、あたりは何事もないように静まり返った。
「今のは…」
 ピコがあたりを見渡すも、特に周りの様子に変化は見られない。
 しばらくは三人呆けていたが、グミが動いてその状態は終わる。グミが再び戦闘に移ろうとマイクを構えたときだった。
「待った!」
 リリィが叫んだ。
 ピタッと、グミの動きが止まる。ピコもリリィのほうを見た。
「…これ」
 リリィはフォンを差し出す。画面には皆の位置情報。そこには…ミクたち三人が、隣のエリアにいることが載っていた。
「…もしかしたらさ、今のは…彼女の仕業じゃないのかな?」
 リリィは言った。
…ちなみに、これはでたらめである。グミの性格を熟知していたため、こうすればうまくこの場を回避できるのではないかと思ったのだ。
ピコは特にそんな狙いには気づいていないようで、ただ黙ってグミを見る。
はたしてグミは口を開いた。
「…なるほど…」
 その目は光っていた。獲物を見つけた虎に近いかもしれない。
「そこで、よ」
 かかった、といわんばかりの勢いでリリィが話しかけた。
「今、ミクちゃんにはリンちゃんレン君の味方がついてるわ。お互いこの三人は厄介者だろうし…一時的に手を組まないかしら、三人で?」
 一気に言い終える。グミはふむ、と考え始めた。
 リリィは黙ってグミを見る。ピコも緊張感を漂わせていた。
 このグミの回答が二人の、少なくともこの場の生死を左右すると言っても過言ではない。
 はたして、グミの回答は。
「…そう、ね…まあ、味方は多いほうがいいだろうし。いいわ。行きましょう」
 その言葉を聞き、二人はほっと息をついた。そうしてそのまま二人は倒れこんでしまった。
 この場の命の保障ができたおかげで、長らく続いていた緊張感から解放されたのだろう。
「…まったく…」
 もしかしてリリィにしてやられてしまったか、ともグミは一瞬考えたが、それは正直どうでもよかった。彼女の脳裏に浮かぶ、ツインテールの少女。
 初音ミク。
 私がデビューしてからずっと憧れていた存在。どんなに追いかけても、正直、まだまだ彼女にはかなわないんじゃないかとずっと思っていた。
 でも、このゲームで同じ土俵に立った。彼女は確かにここでも猛威を振るっているけど。
 私は勝つ。勝って人間になる。そのために…憧れのミクを…超える。
そう決意するグミの上、空は…裂けて何か黒いものがむき出しになっていた。だが、すぐに裂け目は閉じ、通常の空に戻っていた。

しがないボカロ小説書き。生粋のミク廃。
書くものはなぜかバトルものばかり。
みんなを楽しませることができればなあと、思う。

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