たがーる(多賀モトヒロ)さん作品一覧

私は身体で表現する事が苦手である。
次いで口に出して表現する事が苦手であり、
絵に描いて表現する事など以ての外である。

だが普段思う事を身体に溜め込められるほど出来た人間でもない。

その結果文字を言葉を紡いで表現するのだ。

近年の活動 :ゲーム系のブログ運営
       二次創作小説の作製
主たる活動域:よさり-深遠なる夜、魅惑の月-
http://blogs.yahoo.co.jp/mysterious_summer_night

恥ずかしながらツイッター始めました。お気軽にどうぞ。
@tagamotohiro

もっと見る

    作品にコメントして たがーる(多賀モトヒロ)さんを応援しよう!

    コメントする(登録無料)

    【結月ゆかり】怪盗☆ゆかりん!#4【二次小説】

    前のページへ
    1
    /1
    次のページへ
    TEXT
     

    4.女子高生、怒りの鉄槌

    世間の話題になりつつある怪盗ゆかりんではあったが、今は損壊犯として警察に追いかけられ、怪盗と名乗ったばっかりに盗みを働いているのが世間のイメージだった。厄介事が増えそうなので止めてしまっても良かったが、自分のせいで警察の人材が割かれ、友人のずん子が痴漢被害に苦しむのを間接的であれ目の当たりにしてしまった。このような事案ならもちろん女子学生が単独でどうこうできる問題ではないが、指名手配犯であれ、怪盗ゆかりんになら今すぐにずん子を救える。現実的に考えて警察が動くには時間が掛かっる。犯人逮捕までの間、ずん子の登校が遅れるようなら、彼女の未来への扉が少しずつ閉ざされていく。黙って見過ごしたくは無かった。
    そんなゆかりが目指したい怪盗ゆかりんの今後の方向性は、弱い者の味方、だ。出来れば義賊として活躍し、世間のイメージを少しでも良い方向に持っていけば博物館の壁の一件もお咎めが軽くなり、ダイヤを守った件をきちんと評価してくれると考えた。
    とはいっても、都合良く怪盗が活躍できる舞台などそうそう整うはずもない。名声を得るにはまだ早いが、未使用のうさりん怪盗スキルの試験運用も兼ね、痴漢騒動を鎮圧し、手の届く範囲で活動すると決意を新たにするのだった。

    一夜明け、ゆかりはいつもより三十分早く起き、登校の支度をしていた。母親からは何事かと問われたが、友人より勉強を教えてもらう為だと嘘を吐き、朝食もほどほどにそそくさと家を出た。
    いつもより早く出た朝はどうにも騒がしい感じがする。ゆかりの持論として、早く出なければと焦燥感に駆られており、いつもより落ち着かず、ぴりぴりと緊張している状態にあるから、周りの音がいつもよりも多く入って来てしまう。
    まだ肌寒い空気ではあるものの、昼間になれば制服を脱ぎたくなるほど暑くなるのはなんとなく見当がついていた。いつもは父親の車で最寄りである葛流鉄道の国府田駅まで送迎してもらっているのだが、本日は出発が早いため徒歩。おまけに向かう駅もずん子が付けられ始める駅の為、乗車する駅もいつもと違ってくる。
    徒歩で国道六号線を越え、いつも利用しない国鉄西葛流駅へ。二十分ほど歩いて駅舎に入り、小銭を出して切符を買う。普段乗りなれない国鉄。いつでも空いている葛流鉄道とは比べ物にならないほどの人がすし詰め状態だ。高校に進学してから、ゆかりは満員電車を経験した事が無かったので、この修羅場に飲まれてしまう。だがずん子はこのすし詰め状態を文句言わずに乗り越えて、朝の教室で物腰柔らかな優しい調子で挨拶を交わしてくれる。その裏には親に迷惑を掛けたくない一心でだ。ずん子はああ見えて芯の強い子なのだと、乗換え駅へ向かう列車で押し潰されながらも感心していた。
    下車駅は白木駅。大きい街で私鉄も乗り合わせている為人の出入りが激しい。流れるように多くの人が降りる中、ゆかりも流されるがままホームに降り立った。そしてポケット携帯電話が震動した。取り出して画面を開き、メールの着信を確認して、メールの内容を開いた。
    『ひとまずトイレの個室へ』
    差出人はゆかりの肩掛けバッグの紐につりさげられている黒ウサギ、うさりんからだった。指示の通り、ホームから改札へ向かい、その付近にあるトイレに駆け込んだ。幸い個室が空いていたため、誰かに取られぬ間に入室し鍵を掛けた。
    『お疲れさま。そしたら、例のアレを』
    ゆかりはバッグからジッパー付きのポリ袋を取り出した。中には白いティッシュが入っていた。
    『ねぇ。本当にこれで大丈夫なの?一歩間違えれば痴漢野郎と大差ないんだけど?』
    『まだボクの力を信じていないようだね。まずはそのティッシュをボクの口元に中てて』
    ゆかりは言われるがままに、ジッパーを開けてティッシュを取り出し、うさりんの口元に当てた。うさりんの口元からは微弱な光が照射しており、しばらく当てているとその光が消えた。待つ事数分。ゆかりの携帯電話が震動する。
    『準備オーケー。ゆかりもちゃんとやるんだよ。これで君は東北ずん子なんだから』
    うさりんがそう言うと、一瞬ずん子の気配がしたような気がしたが、トイレの個室でずん子が目の前にいるはずなど無い。
    『どうかな?ずん子がいるみたいでしょ』
    『うん。一瞬だけどそんな気がした。これがうさりんチャームってやつ?』
    『ゆかりが東北ずん子の家に行った時に採取した生体サンプルを元に、彼女の匂いを生成した』
    『ずん子ちゃんの目を盗んでゴミ箱を漁ることくらい造作もないけど、一歩間違えれば私が変態さんなんだよ!』
    『分かってるよ。それで今回は痴漢が寄って来易いように人間の性フェロモンも合成したよ』
    『ちょっと!性フェロモンとか私に酷い事しようとしてるのね!エロ同人誌みたいに!』
    『ゆかり・・・。そういう言葉の使用は控えた方が身のためだよ。性フェロモンと言っても、ずん子に興味の無い人間に効き目は無いよ。それに人間は本能よりも理性が強いから、君がずん子で無い事が分かった時点で犯人は我に返るから』
    ゆかりはホッと胸をなでおろした。
    『だからほら!』
    個室のドアに付いているフックに、怪盗ゆかりんの時に着用していた黒いパーカーが光りながら現れた。
    『顔を見られないようにこのフードを被って。これで犯人を電車におびき寄せて、触られた所にお縄を掛ける。名付けて、フェロモン偽装痴漢ホイホイ作戦!』
    『いまいちね。それ』
    『う、うっさい!さっさと着替えて、電車を乗り換えて!』

    ずん子が痴漢に付けられていると感じるのが、常総新線の葛流小高駅からだという。今いる白木駅の改札を出て、私鉄東葛鉄道に乗り換え、常総新線の走る葛流小高駅にて下車した。さすがに今の時点で痴漢本人はいないだろうが、ゆかりは黒いパーカーのフードを目深にかぶり、周囲への警戒を怠らなかった。もちろんうさりんにも警戒の指示を出した。そして自分が東北ずん子の雰囲気をまとったとしても、外観が完全に本人とは異質。彼女自身ずん子になる必要があった。
    普段のずん子は背中にまっすぐな棒でも入っているかのように、背筋がピンとしている。彼女の凛とした雰囲気の源は日常の生活態度から違っていた。ゆかりは意識的に背筋に力を入れ伸ばしながら胸を張った。だがそれだけではない。あのおしとやかさは無駄な力が抜けているからこそ為せる技。背筋に力を入れるのに精一杯だったが、ずん子の歩行像を強くイメージすると、ゆかりのしなやかな筋肉はイメージ通りにトレースを始めた。うさりんは心身ともに東北ずん子になった事を確認すると、自らの機構に搭載された合成フェロモン剤の散布を強めた。先ほどゆかり自身は嫌がってはいたが、外観をずん子に似せた変装とは異なるため、トレースをより強固にするためのものだった。
    常総新線の駅は下車したホームの一階層上にある。一度改札を抜ける必要があるのだが、その改札をくぐろうとした辺りから妙な視線を感じていると気がついた。明らかな害意が向けられている。ゆかりは改札口に切符を投入し新線のホームに入場したが、身体にまとわりつくような視線が外される事は無かった。
    普段のゆかりなら気持ち悪がり、感情を吐露しているところだ。瞬間的であれ、このトレースを解いて感情的になりたい気持ちも込み上げてきた。ただこれを解いてしまっては、餌に食いついた獲物をみすみす逃してしまう事になる。ここぞというタイミングで取り押さえ無ければ全てが台無しになってしまう。
    転落防止柵の仕掛けられた常総新線のプラットホーム。青い鉄骨に支えられた波状屋根。駅の両サイドには解放感溢れるガラスが敷き詰められており、上り列車側からは駅と同時に建設された大型ショッピングセンターが垣間見えた。ゆかりはしばらくホームを歩き、等間隔に設置された青い柱の脇に立ち、間もなく到着する列車を待った。痴漢は柱二本離れた所でそれとなくこちらの様子を窺いながらも、列車が来るのを待っていた。ずん子は昨日学校を休んでしまったため、痴漢は登校ルートを変えられてしまったと残念がっていたのだが、また戻って来てくれた事で、いつも以上に興奮しているし、それも相まって非常に嬉しかったのだ。今までは尻を触るだけに留まっていたが、今日こそたわわに実る豊満な果実に手を出そうと決意を固めた。
    銀色の各駅列車がホームに入ってきた。ずん子はここから学校の最寄り駅である南葛流までの約八分もの間、わいせつ行為を繰り返し受けているのだった。列車が停車し、ドアが開く。乗換駅でもある為多くの人が降車するが、それと同じくらい多くの人が乗車する。ゆかりの脚が前に出ると、男の脚がやや速足となり彼女の背後を捉える。列車から遠い位置にいたためか、乗車した際乗降口付近にどうにか居場所を確保出来た。乗客を満載した列車から押し出されそうになるが、持ち前の根性でどうにか持ち堪えると、発車のベルと共にドアが閉まった。電車が動き出すとともに、人混みの重圧が四方から押し寄せてくる。本日二度目の満員電車だった。ずん子はお金があるにもかかわらず、よくも大衆にもまれながら毎日登校していたものだと、改めて感心する。窓際に追い詰められながらも、ゆかりは痴漢への警戒を怠ってはいなかった。奴はすぐ後ろにいたからだった。いつ手を出してくるのだろう。言い難い恐怖心を抱えながら、痴漢が釣り針に食いつくのを待った。
    尻に纏わりつくような熱い違和感。それは突然襲ってきた。痴漢が遂にゆかりに食いついてきたのだった。触られたと思った次は、舐めるように撫でまわす。ゆかりは接触される直前から感じていた恐怖心が今も継続していた。鬱積している悪意を薄汚い性欲に変換し、女のデリケートな個所で解消させる手前勝手な行為。ずん子は燃えたぎる悪意に油を注ぐような事がしたくなかったがために我慢していたと言うが、その熱に因って彼女の心は燃え尽きた。一方のゆかりは利己的な男に例えようのない怒りを感じていた。着火剤ならずん子の被害や自分への叱責で十分散布されていた。着火源は触られた事に因る怒り。その後も男はゆかりの尻を揉みしだく。さて、どのタイミングでこの男を痴漢呼ばわりしよう。先ほどの怒りは入れ替わってはいたが、この男を逃がさずにお縄に着かせる事を考え始めた。ところが、ゆかりの思考よりも早く男の手が次の行動に出た。
    ゆかりの尻から男の手が離れたところで、彼女自身に隙が生まれた。いわゆる拍子抜けという奴だ。その瞬間、この男を現行犯で捕まえる事が出来ないと思ってしまった。次にゆかりが予想だにしない所を手がまさぐってきた。ゆかりの腋の下だった。これにはおぞましい物が全身を貫き、得体のしれない行動に混乱。そして先ほどとは比較にならない、予測できなかった大いなる恐怖として心に刻まれた。これがずん子が戦っていた物だったのか。先ほど感心していた満員電車などではない、メンタルでの圧倒的に不利な立場での戦い。それは男の底の知れない恐怖と己の甘さや弱さが、電車を降りた後でも容赦なくずん子を責め立てていた。そんなずん子になりきっていたゆかりも、彼女同様、怒りの炎が消えかかっていた。
    男の手は更に進み、ゆかりの乳房に手が届いていた。男の目的はなんとなく分かっていたし、うさりんの「チャーム」の影響もあり男がいつもと違う様子で有るのもなんとなくわかっていた。だが欲の赴くままに好き勝手にやり始めた男に蔑みすら覚えた。いい加減、奴を痴漢呼ばわりして事態を収拾しようとしたその時、男の胸を触る手が何かを探すような動きに変わった。スカスカと空を切る手は、まるで「無い!有るはずの物が無い!」と言わんばかりの慌てぶりだった。
    電車は三分の時間を経て、葛流中央公園駅に電車が停車した。無い物探しを終えた男の手が停車と共に引っ込むと、ゆかりは後ろを振り返った。その男は黒ぶち眼鏡を掛け、頭皮が少しだけ見え始めた短髪。セットしている様子は無く、分け目もなく自然に前に流れる。身長はやや低く、年齢が三十後半から四十歳。中年太りし始めたのスーツを着た男。目つきが細く、一見ぱっとしない印象があるものの、普通のサラリーマンといったところ。男は素知らぬふりをしようとしたが、ゆかりの眼から恐ろしい物が発せられている事に気がついた。だが男には社会的立場があるのでそれを守らんと、飽くまで知らぬふりをし、ゆかりに背を向けたのだ。するとゆかりは何を思ったのか、素早く屈んで男の腰に抱きつくように手をまわした。
    「まな板で・・・」
    低く恨めしい声でそうつぶやくと、ゆかりは男の腰を両腕で思い切り締めあげて叫んだ。
    「悪かったなあああああああああっ!」
    車両の扉が開くと共に、男が黒いパーカーを着た女にジャーマンスープレックスをされて強制下車させられ、ホームと列車の間に見事な橋が掛かった。今から乗ろうとしていた乗客も身の危険を感じ後退した。ゆかりは男の背中をホームに叩きつけるように投げ飛ばす。男が受けた痛みなど、自分が受けた屈辱とコンプレックスを踏みしだかれた爆発的な怒りに比べたら安い物だった。
    ただ場内は一種異様な光景に、乗客全員状況が飲み込めていなかった。列車の乗降口でジャーマンスープレックスする女とされる男。突発さと非現実さが相まって、誰しもがその光景に唖然とし、携帯電話のカメラに手が伸びる者などいなかった。ゆかりは技を解き、外れかかったフードを抑えながら立ちあがると、倒れ込んでいる男を指さして言った。
    「痴漢、捕まえました」
    すると誰かしらから拍手が始まって、伝染するかのように拍手が大きくなっていった。ところが発車ベルが鳴り始めると、全員一気に現実に引き戻され、止まっていた足で通勤通学を再開させた。
    「お嬢さん、痴漢されたなら一緒に着いていってあげるけど?」
    五十代くらいの見事に禿げあがった中年男性にゆかりは優しく声を掛けられた。痴漢された事を気遣っての厚意だった。同時に、ホームで大の男が倒れている光景が駅員の目に止まりこちらに近づいてくるではないか。
    「駅員さん!この子が痴漢されたって言うんだよ」
    中年男性は駅員を呼び寄せると、駅員は走ってこちらに向かってきた。だが、ゆかりは物事が大きくなる前に逃走を試みた。
    「じゃあ、あとお願いしますね!」
    そう言って、ゆかりは電車が発車したばかりのホームドアの上に飛び乗り、そこから更に屋根に飛びあがって行った。
    「あれって・・・怪盗ゆかりんじゃね?」
    誰かが指さして言うと、皆いそいそと携帯電話のカメラを起動させたが、ゆかりんの姿はもうそこには無かった。

    ver.2 / 2

    「☆BO☆U☆SA☆TSU☆ もう身体が持たないよ・・・。」

    怪盗☆ゆかりん!の動画を観て筆を執った第四回です。
    歌詞のイメージを壊さず・・・に書いてみました。
    週一のペースで投稿したいです(十分遅れる可能性有り)。

    原作:【結月ゆかり】怪盗☆ゆかりん!【ゲームOP風オリジナルMV】
    http://www.nicovideo.jp/watch/sm21084893

    作詞・作曲:nami13th(親方P)
    http://piapro.jp/nami13th
    キャラクターデザイン:宵月秦
    http://piapro.jp/setugekka_sin

    著:多賀モトヒロ
    http://blogs.yahoo.co.jp/mysterious_summer_night

    作品投稿にあたり、快くご承諾下さったnami13thさん、宵月秦さんの寛大なご対応に感謝致します。

    前回:3.肉体派女子の苦悩な日々
    http://piapro.jp/t/uMpD

    次回:5.音楽少女の奉仕な週末
    http://piapro.jp/t/Ytfg

    ライセンス:

    投稿日時:2013/08/17 04:56:13

    閲覧数:1,988

    カテゴリ:小説[編集]

    作品へのコメント0

    ピアプロにログインして作品にコメントをしましょう!

    新規登録|ログイン
      ブクマ
      この作品を○○してみた動画を繋げてみましょう
        関連する作品をつなげよう
          ▲TOP