※これは前に投稿した【二次創作】家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。
【前編】の後編です。
前編をご覧になっていない方は先に前編をご覧ください※
その次の日、帰ってきて妻が倒れていた。
「ほら、起きて。今日は血のりとか使ってないんだね。」
「……。」
妻は返事をしない。
おかしい、いつもはここまで死んだふりがしつこくない。
昨日の事を怒っているのだろうか。
「どうしたの。」
妻は反応しない。うつ伏せになったままだ。
まさか。
妻をごろんと転がしてみると、妻は苦しそうに呼吸をしていた。
「おい、大丈夫か!?」
僕はすぐさま救急車を呼んだ。
病院の待合室で、僕はただ妻の無事を祈っていた。
あぁ……僕は一体何をやってるんだ。
仕事が上手くいかないからって、妻に当たるなんて……。
救急車の中で妻に話しかけている時、何故か結婚前の事を思い出していた。
徹夜してあてもなくドライブに行ったり、一緒に旅行に行ったりして、
頻繁に会っていた。
でも、結婚してすぐ、僕は初めて部下を持って、仕事がとても楽しくなった。
家で1人で僕を待つ妻の気持ちを考えていなかった。
何が君は暇だから、だ。
彼女はその《暇》が悲しかったというのに。
それなのにまた一緒に出かけたい、ともいえず、僕が仕事が楽しくなったといえば、
それはいいことだね、と自分のことのように喜んでくれたのに。
妻は僕を笑わせようと死んだふりをして待っていてくれたのに。
実際、彼女が死んだふりをはじめてから《死んだふりについて》のことで
前よりも会話が弾むようになった。
そこまでの努力を妻はしていてくれたのに。
一体、僕は何をしているのだろうか……。
僕が自己嫌悪に陥っていると、白衣を着た医者の男性がやってきた。
「奥さん、大丈夫そうですよ。」
「ほ、本当ですか!?」
「えぇ、ただの貧血だったようです。」
医者の男性がとても優しく微笑み、僕はホッと胸をなでおろした。
「どうも、お騒がせしました。ありがとうございました…!」
「いえいえ、我々はこれが仕事ですからね。」
僕は妻のいる場所へ向かう途中、晴れ渡った気分で決意した。
今度、休みを取って久しぶりに旅行に行こう。
それで結婚前みたいに、一緒に買い物してスイーツを食べて好きなテレビを見るんだ。
大丈夫、部下達も十分に働けるし、休みももらえるさ。
僕は妻のいる部屋をノックして、ドアを開ける。
「さぁ、帰ろう。」
妻の手を引いて、昔のように手をつないで同じスピードで歩いて。
色んな話をして馬鹿みたいな事で笑い合って、家に帰ろう?
家に帰った僕を待ってる妻の演技見ることが。
僕ら二人の愛の形ならば、それはそれでありだろう。
家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。
今日はどんな死に方しているのか。
期待して開けるドア。
《完》
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