だれか覚えていて 満月の夜に埋もれた
四角い絵本の片隅の 名前すらない物語


金色の空が投げ捨てた
同じ羽色の綺麗なことり
彼女の住処は籠の中
息をするのも億劫だった

ある日だれかがやってきて
ことりにいつも笑いかけた
けれども彼女は籠の中
だれかはいつかいなくなった


「何処の誰だか存じませんが あなたがいなくなったなら
 ひどく優しいその指先を 忘れなくてはいけませんか」


なにが悲しいのか なにが嬉しいのか
きっとこれから覚える歌だったのに
歌を忘れたカナリアは
ああ まるで星屑のよう



錆びれた籠を開けたのは
同じ瞳の双子の蜜蜂
ことりのからだを導いて
真っ暗な闇へ飛び出した

彼女の代わり 月の贄
赤い羽色の小さな鸚鵡
声を持たぬからっぽ歌姫
籠の中で笑ってみせた


「あの人を探しに行って 月が全てを飲み込む前に
 わたしが鏡になって あなたの運命ひきうけましょう」


なにを手に入れたいの なにがいらないの
落としてはいけないものはどれ?
自由になったカナリアは
ああ 夜を往く逃亡者



森の道行く罪びとが
目指すは遠く 朝の扉
どこかどこかにあるという
淡く夢見たシャングリラ

しゃらり まわった蜜蜂は
ことりの金色を奪い取り
瞳の色を彼女に与え
闇に消えながらこう言った


「朝の扉を開けたなら きっとあの人に会えるはず
 美しい羽色とともに その罪はいただきましょう」


なにが苦しいのか なにが寂しいのか
こころが言葉を叫んでる 何て?
恋を知ったカナリアは
ああ なんて愚か者



 











 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

月とカナリア

悪ノシリーズ、人柱アリスに影響されまくり。
でもハッピーエンドになると思います。
幸せになってほしいんで。

主人公はミクだけど一応色々出てきます。

ちょっと書き足しました。
長く長くなりそうで困ってます…



閲覧数:374

投稿日:2008/09/12 23:29:49

文字数:687文字

カテゴリ:歌詞

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