『Aさんからの紙ヒコーキ』

はじめまして、Aです。
あ、Aっていうのは偽名ですよ。もちろん。
ちょっと本名をだすのは気が引けちゃうので許してくださいね。
今日は悲しいことがあったので書いて吐き出すことにしました。
書いたものは全て紙ヒコーキにして飛ばすつもりです。
本当は何処かに張り出したりとかもしたいけど、それはちょっと腐れ外道さんに悪いような気がして…出来ないので。
では良かったら拾ってしまった貴方、ちょっと暗い気分になるかもしれませんが読んでみて下さい。
私、Aの最近あった悲しい出来事です。


「私、先生のことが、好き、です」
泣きそうになるのを必死に堪えながら、一つ、一つ、喉から絞り出した。
「Aさん…」
それが実ったと知った途端に、緊張の糸が切れて不細工に泣いてしまった。

こんな初めから間違っていたなんて、今思えば私も馬鹿ですよね。
ここから始まる先生と生徒の禁断の恋(笑)、果たして何も起こらないことはなく。

「好きなんだろう?」
「好きですけど…私、まだ・・・」
「いいから!来い!」

あんな所に連れ込まれるなんて、思いもしませんでした。
しかも写真まで撮られて・・・ただの女子高生でも、ゴシップニュースは皆の大好物ですよね。
先生は「Aがしてくれないと自殺してやる!って言った」とか嘘八百並べてくるし。
携帯って、文明の利器だと思います。私もあれがないと不便な生活を送っていましたし。
でも今じゃ、あれの所為で眠れない日々です。今日限りで何処かのトイレにでも流してやるつもりです。

学校に来た途端、囲まれ、問いただされ、呼び出しを食らった。しかも親も来た。
「もぉやだぁ・・・なんでこんな・・・」
立ち入り禁止の屋上にこっそり忍び込んで授業をふけって泣いていた時、声をかけられた。
「あぁ、やっと見つけた」
にっこりと笑いかけるその顔に、その時は恐怖しか抱けなかった。
「何?誰?貴方も私の噂の真相を聞きに来たの!?」
「いいえ、真相は分かってるから別にどうでもいいのよ」
「え・・・?」
「私は貴方とこれからの話をしに来たの」

あの時は本当に天使が舞い降りたのかと思いました。
どいつもこいつも好奇の目で私を見るのに、彼女だけは違ったんです。

「貴方、名前は?」
「腐れ外道よ」
「それ絶対偽名だよね?」
「本名よ」
「じゃあ外道さんって呼ぼうかな」
「略すのはやめて頂戴」
「分かった・・・私はA」
「もう知ってるわ」
「ですよねー」

話を進めていく内に、彼女も同じことを先生にされたと聞きました。
どうして好きだったのか今になると解かりません。でも恋とは相手に幻滅して終わっていくものだから、これがある意味本当の恋なのかもしれませんね。
なんせ、心の底から今ならば先生に「死んで下さい」と言えます。あぁ「地獄へ堕ちて」とか「世間から冷たい視線を浴びながら死んで」とかの方がいいかも知れませんね。
ただ死んでもらうだけじゃつまらないですし。ねぇ、貴方もそう思いませんか?
話がそれましたね。つまりは私の記憶から抹消したいってことです。後、腐れ外道さんは凄くいい人で・・・なんでこんな偽名を使っているのか解からないです。

「私、皆の誤解を解きたい」
「うん」
「こんな目に合わせた先生に復讐したい」
「・・・そうね。でも事実を公表したら、Aさんもきっと酷い目に遭うわ」
「いいの・・・大丈夫だから」
「え?」
「私、自主退学するんだ。今日が最後の学校生活。親まで私のことと信じてくれなかったし、もういい」
「もういいって・・・」
「もう、いいんだ。腐れ外道さんが真実を知ってくれているなら。誰か一人でも、知っていてくれたから」

腐れ外道さんはこの後、最後まで私を引き止めてくれました。何度か私もグラつきましたが、でもやっぱり意志は変わりませんでした。
私は、事実を公開します。それからどうなるのかは、唯の一つも私に知る術はないでしょう。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

腐れ外道とチョコレゐト【前】

ちょっと曲を聞いていたら色々あらぶりました(主に脳内が)
原曲様に感謝!http://www.nicovideo.jp/watch/sm13275244
素敵なPV様やらイラスト様やらに感謝!

※自己解釈小説です。

閲覧数:374

投稿日:2011/05/01 01:30:42

文字数:1,643文字

カテゴリ:小説

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