真冬の風があたしたちの金髪を撫でるように、この状況をあざ笑うかのように走って行く。
濡れた瞳はその冷淡さに目を閉じてしまう。
頬を伝う光。それは私の中のどこかに溜まって、どんどん溜まって、やがて、これまでに感じた事の無い“何か”が溢れ出す。
付き合い始めて約5カ月。
2人の世界が初めて静止する。
そんな風にあたしには感じられた。
「・・・・・・」
「・・・・・・ッ」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
風も、街の音も、下校時の学校のチャイムでさえも・・・あたしたちの敵。見方には、絶対なってくれやしない。
レンの口が開きかけた瞬間。いつもの様に撥ね退けた。・・・否、いつもより少しばかり強かったかもしれない。
「・・・・・・リ」
「あたしはっ!!・・・・」
「・・・・・・」
「あたしは・・・強制されるのは嫌いよ・・・・」
「・・・・・・」
「だからっ・・・他人を強制するのも嫌いなの・・・!」
「・・・・・・」
「“キミが好きだ”とか、“何で見てくれないの”とか、“一緒に帰ろう”とかっ!!!」
「・・・・・・」
嗚呼・・・あたし何言ってるんだろう。こんなの・・・全部全部・・・・嘘なのに・・・・
こんなこと言っても、また・・・レンが困るだけなのに・・・・
しかし流石毎日毎日理屈をこねるだけある。今までどれだけ他人に口を開いてきたか、今になって思い知る。そこから飛び出す一言一言が、レンを傷つけるだけでなく、自分の感情を高ぶらせるだけなのに・・・
「正直言って、あたしそういうの束縛にしか思えないのっ!!」
「・・・・・・」
「あたしにとって、強制されるが一番嫌いなの、分かってるでしょ!!??大迷惑なのっっっ!!!」
「・・・」
「ッッ・・・」
「ッ!!」
良い切った瞬間、目から大粒の涙が溢れ出した。もともと薄情なあたしにとって、中学生になってまでこれ程泣いたのは初めてのことだった。
「リン、違うよ。さっきのは違・・・」
「触るなっ!!」
折角心配してくれたレンの腕も、振り払った。
彼の瞳が一瞬大きく揺らいだ。
その彼を目の前に、もう成す術も無く、あたしは別れを告げた。
「っ・・・今日は、一人で帰る・・・」
「リン!!ちょっ、待って!!」
腕を勢いよく捕まれる。その手は、気のせいだろうか・・・いつもよりも強い気がした。
「ホント違うんだってば!!リンっ!!」
「~っもう!!」
そんな彼の手も今は通用しない。女の子だって、本気を出せば強いものだ。
あたしは再度、思いっきり、さっきよりも断然力強くその手を振り払う。
「くどい!!強制は嫌いって言ってるじゃない!!馬鹿!!もうっ・・・」
「・・・・・・・」
駄目だ。言うな言うな言うな言うな・・・これだけは、言っちゃ・・・・・
「大ッッ嫌い!!!」
駄目・・・なのに・・・・・
それからあたしはレンと目を合わせないよう振り返り、また全力疾走した。家まで。自分の家まで。後ろなんて・・・見てはいけないの・・・
後ろを振り向けばいつだって、“彼”がいるのだから・・・
家に帰るとお姉ちゃんが帰って来ていた。お姉ちゃんのルカは私より6歳上で、その分人生経験も長い。おまけに何にも動じない包容力。相談相手としてはうってつけだし、何よりこの人のそばに居ると話さない訳にはいかなくなるのだ。
お姉ちゃんは私の変わり果てた顔を見て、驚いていた。
「どうしたの?そんな顔してっ」
「・・・別に。何でも無いよ・・・・・・・」
勿論、この人に嘘が通じる訳が無いのは承知の上だ。第一、目が赤くて鼻水もまあまあ垂れてて、全力疾走して途中でずっこけて膝を擦りむいているのだ。ばれない訳が無い。しかし今は当然話す気になれない。
「うーん・・・そう。じゃ、まずお風呂入ってきなさい」
「へ?」
「ゆっくりお風呂入って、お湯につかりながら熱唱でもして、気持ちを晴らしてみたら?あんた、いつもそうでしょ?嫌なこととか、普段とは違う事があったりすると、いつもそうしてる」
流石はお姉ちゃん・・・よく見ていらっしゃいますね;やっぱりこの人には勝てない。むしろ勝つ気も無い。核を突かれて、不敵の笑みを向けられては勝ち目はないでしょう?
あたしはお姉ちゃんの言うとおりにすることにした。
「リンがお風呂入ってる間、色々妄想させてもらうわ♪」
「御好きにどーぞ」
やっぱりお姉ちゃんが一番良い。悪いけど、レンは負けるな。絶対ね。
さて、気持ちを整理しよう。このモヤモヤはシャワーに流してしまおう。大丈夫、あたしにはお姉ちゃんと言う強い味方がいるじゃない!!
付き合ってる事も、
デートのことも、
さっきの事も、
学校での事も、
この、どこにやったら良いのか分からない妙なカンジも、
全部全部お姉ちゃんにぶちまけよう。
大丈夫、お姉ちゃんとならきっと、解決策を見つけ出せる。
ごめんね、レン。
待っててね・・・・レン。
コメント1
関連動画0
オススメ作品
ハローディストピア
----------------------------
BPM=200→152→200
作詞作編曲:まふまふ
----------------------------
ぱっぱらぱーで唱えましょう どんな願いも叶えましょう
よい子はきっと皆勤賞 冤罪人の解体ショー
雲外蒼天ユート...ハローディストピア
まふまふ
らびゅ*らびゅ2
You know ?
あの日からもう何年
色々あったね人生
アニバーサリーくらい
覚えてるのは当然
もちろんですとも マイラブ メモリーのすべてがハッピー ときめいちゃってるよね そう四六時中
ガリレオもニュートンも解けない
恋愛の法則ってね
最終定理より難解...らびゅ*らびゅ2
らいおお
Look at only me
そうやって縛りたい
そうやって依存したい
だってそれがわたしの愛だって
「既読」のまま応えない そんな甘々な術はない
もっともっともっと構いなさいよ...
抽象な対象でいいの
「愛してる」って基本嘘だから
“Why”…?
疲れてばっかのおまえで救われたことはない...【鏡音リン】愛WANT厨【オリジナル】 - Lyric
殺生ノヲト
「…はぁ………ん…ぁん、いやぁ……ぁうっ」
暗くて狭い。密閉された空間。逃げられない私は目に涙をためた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あー…蒸し暑い…
空は生憎の曇りだというのに今日はなんだか蒸し暑かった。ったく。楽歩の奴…バスの冷房くらいつけろ...【リンレン小説】俺の彼女だから。。【ですが、なにか?】
鏡(キョウ)
後悔ばかりの人生だった
取捨選択を間違い続けて
自分を持ってる振りをしながら
他人の言葉に振り回されて
綺麗事の手のひらの上
本当の自分ってなんだっけ?
差し伸べられた手を払い除ける癖に
何も無いって泣き喚く
貴方の長所はなんですか?
今まで考えた事もなかった...鍵
Kurosawa Satsuki
Hello there!! ^-^
I am new to piapro and I would gladly appreciate if you hit the subscribe button on my YouTube channel!
Thank you for supporting me...Introduction
ファントムP
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
紅華116@たまに活動。
ご意見・ご感想
はじめまして。紅華116です。今更コメントしてすみませんm(_ _)m
リンちゃんが羨ましいです…可愛いお姉ちゃんに、イケレンが彼氏で…
続きも楽しみにしてます!!
あと、友達希望です。良ければ仲良くしてくださいっ!!
2011/04/16 21:52:41
波漣
初めまして紅華116さん!ようこそおいで下さいました^^ありがとうございます!!
今更なんかじゃないですよー!!^^;;作品を見て読んで下さるだけでも私には嬉しい事なのです!!どうぞこれからもよろしくお願いします!!
はい!続き頑張ります!!
良いですよ?お友達なりましょ^^♪こちらこそ、よろしくお願いします!!
2011/04/17 00:32:09