「水を求めて」第五話~難所~

投稿者: usericonYUUNOさん

投稿日:2019/12/05 14:58:42 | 文字数:1,681文字 | 閲覧数:20 | カテゴリ:歌詞

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あらすじ:
オクト山の麓での長い戦乱が終わってちょうど十年。
心優しくも父親(名はラベル)譲りの剣術と槍術、そして母親(名はナル)譲りの馬術の腕前を誇る、十六歳の騎士の少年カリム。そして、同じく父親(名はリトラ)譲りの剣術と母親(名はリリー)譲りの背中の白い翼と、賢さを持ったカリム同様十六歳の剣士の少女ルーナ。
カリムとルーナはそれぞれの両親が同じ国の騎士だった為、このような術を小さな時から教え込まれた。
二人の家族はお互い七歳の時にオクト山山頂の今の五つの村の一つである、ト-ア村の馬小屋と水車小屋に移住してきた。
戦乱が終わりを告げた時だった。
カリムの父親は戦死し、母親は戦乱後引退して家庭の母として、ルーナの父親は山頂の五つの村の同盟騎士団長に、母親はカリムの母同様、引退して家庭に入った。
そんなようやく手にした平和の時間を、揺さぶる出来事が起きた。
オクト山山頂のカルデラ湖からの水が途絶えたのだった。
 最初はルーナの父親が上流まで様子を見に行ったが、連絡が途絶えた。
それでもなお、止まった水車小屋で沢の水汲みをしてしのいでいた、トーア村の下流の人々だったがルーナの父親が旅立って一年後、その同盟騎士団長が殺されていたという噂が上流の村人から流れてきた。
それは山頂の村々で生まれる新たな争いの始まりだった。

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TEXT
 

第五話~難所~
(何故だ?)
カリムは自分に問いかけていた。
体が重たくなっていた。カリムとルーナは小さい頃からの修練と若さで、普通の戦士より何倍もの体力を持っているが、思うように体が動かない。
その為、あまり経験したことのない辛さを突き付けられていた。特にルーナの消耗が激しい。空人族のルーナは時に道を飛んでいくため、剣ができても元々基礎体力がカリムのような普通の戦士より少ない。それが一番のカリムの不安の種だった。毎日続く渓谷の岩場や時には水たまりの水しか得られない水分。食糧も岩場の隙間に生えている見たこともない野草の葉だけ。食べることは出来たが、およそ人間が食べるものではなかった。
ここはオクト山山頂トロル湖近くで、トーア村の外れにある難所だった。
 オクト山の地形ができた頃の地層がむき出しになっている土の無い地帯だった。
地図によればこの地帯をルーナの父親は二週間も越えた計算になる。
 馬はもう降りて手で引いていた。馬も可哀想な位痩せていた。けれど二人が飼い主のため、心細いのか二人から離れる様子はなかった。
(何故だ?)
 カリムはもう一度自分に問いかける。
(何故、同盟隊長であるルーナの父はたった一人でこんなところを越えられたんだ?)
カリムは自分の力を思い知れ、と言われているようだった。
(こんなにも自分は非力だったのか・・・? 自分は本当に騎士なのか・・・? いや、騎士であることを信じるんだ! ただ歩いているだけじゃないか! 一歩ずつ先に行けばいい! 信じろ! 信じろ!!! 信じろ!!!!!)
「カリ・・・ム?」
横でルーナの苦しそうな声がした。ルーナも同じ事を考えていたらしい。
 自分自身への過信だ。
そう、もっと考えなくてはならなった。同盟隊長と自分たちのような騎士になりたての全てにおいての“力”だ。
同盟隊長はオクト山山頂のドーナツ型の五つの村を魔物や飢えや災害から守る番人のような存在だ。時には昼夜問わず、伝令に行くことだってある。それなのに・・・。
(何故だ? どうして体がこうまでいうことをきかない!)
ただの騎士ではこうも違うのか? 追うだけで、歩けなくなるのか?
ドサッ!!!
ルーナがついに倒れてしまった!
「ルーナ!しっかりしろ!!!ルーナ!」
ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・・と、ルーナは荒い息をしている。カリムは自分のマントでルーナに枕の代わりを作ってやり、そこでルーナを休ませてやることにした。
あとはとりあえず水と食べるものだ!温かいものもいる!
カリムは鎧の右についている道具袋を見た。数日前に狩りをした際の干し肉があった!
少しだが、これをルーナに食べさせれば!
 ランプの油はいざという時のために出発の時、食用油にしたかいがあった。
残るは水と火だ!
水は獣の肉の血抜きに使うスポイトと小鍋が馬の荷袋にある。岩場の隙間にある水をスポイトで採って小鍋で湯を沸かせばなんとかなるかもしれない。
カリムはふと、油で干し肉を焼こうとも思ったが、水分があの呼吸では失われているはずだ。
煮込んだ肉のスープの方が温まるしいい、そう思った。
・・・それからに約十分後。カップ一杯分の水が集まった。今日は霧が多く、湿度が高いのが後押しとなった。
 やがて干し肉のスープが出来上がった。ルーナの顔は真っ青だ。カリムはルーナを抱き起し、少ないものの、食べさせることができた。
ルーナは、一口一口味わうようにゆっくりと食べた。
「ありがとう・・・カリム・・・あったかい・・・。」
「そうか。よかった。」
「好きだよ・・・。カリム・・・。」
「え?」
カリムに抱きかかえられながら静かに寝息をたて始めた。
もう日が落ちていた。これ以上の行動は危険だ。ルーナの持って来たランプの油は食用でないため、そちらの方をルーナの近くに置き魔除け用に使って、カリムはまた十分程かけてランプの周りの水をスポイトで集め白湯にして、夕食がわりにし、その日は休むことにした。
                  ―――第五話~難所~―――

コラボにいらしてくださった方ありがとうございます。
初めてコラボ立ち上げます。
宜しくお願いします。
最終的にはニコニコ動画やYouTubeへのアップを目指しています。

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