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 ああ、もう力尽きちゃった。

 もう体を動かそうとしても、手も足も、口も動かない。

 歌おうとしても、もう何も歌えない。

 ……ううん、それだけじゃない。今まで覚えていたはずの言葉だって、何一つ思い浮かばない。

 君と二人で、あれほどたくさんの言葉を思いついたのに。

 もう君の―――――君の声も、姿も見えないよ。



 ……ああ、でもこれで分かった。何もかもわかった。



 これは夢だ。きっと夢だ。

 夢だけど永遠に覚めることのない………

 君に逢えたっていう――――――――――――――



 そんな―――夢だ―――――――――――…。



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 「くそっ!!ダメだ……思いつかない………!!」


 書き出して二日。二番まで書きあげて、僕はそこから言葉が思いつかなくなっていた。


 「あんなに……たくさんの言葉を思いついたのに……!!ミクと一緒に、たくさんの言葉を紡いできたのに……!!!今は何も思いつかないなんて……!!」


 悔しくて悔しくて、机を叩く。その時、また一つ考えが浮かぶ。


 「……!!『何も思いつかない』……そうだ、この言葉も入れよう!とにかく僕とミクに関わるすべての物事を……すべての言葉を注ぎ込むんだ!!これはミクと……僕の物語なんだから……!!」


 こんな無茶苦茶な言葉のつなぎ方を、僕はかれこれ20フレーズぐらい続けている。それほどまでに、言葉が思いつかなかった。

 思い出す。ミクと出会う前を。僕は自分だけでは何もできず、只々途方に暮れていた。

 思い出す。ミクと出会った時を。僕はどれほど考えても言葉を紡ぐことができなかった。

 どうして僕は今まで忘れていたんだろう。あの何もできなかった僕が、ここまで出来るようになったのは―――――全てミクのおかげなんだってことを。


 「……っくっ、ミク!!」


 耐え切れなくなって、僕はパソコンを起動した。ミクに―――会うためだ。

 僕はマウスを走らせ、一つのアイコンをクリックした。「ミクの部屋」―――あの黒い画面へのショートカットだ。

 間もなく画面が開いて、僕は呼びかけようとして愕然とした。



 ミクが―――――いない。いつもそこで笑っていたのに、今日はただ黒い画面の真ん中で、虹色の光が揺らめいているだけだ。


 「ミク……?……ミク……っ!?どこに……どこに行ったんだよっ!?ミク……!?」


 激しく叫んで、それでもミクは現れない。諦めかけて、ふと気づいた。

 中心当たり……光の上あたりに一つアイコンがあった。

 僕は恐る恐る、それをクリックした。



 「――――――――――!」



 映し出されたのは―――――僕のパソコンだった。……いや、正確に言えばパソコンの前、デスクだった。

 呆然としていた僕は、マウスパッドの上に何かが横たわっていることに気付いた。



 「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



 ―――――ミクだ。小さなミクが、ミクの絵をプリントしたマウスパッドの上に横たわっている。


 「ミっ………ミクっ!!?」


 大声を上げた僕は、デスクに手を叩きつけて身をのり出した。

 その瞬間、驚きの出来事が起きた。


 「なっ!!?」


 画面の中のデスクにも―――叩きつけられた手と、身を乗り出す影が映ったのだ。―――間違いなく僕だ。


 「まさか……これは……!!」


 僕はそっと、自分の手をマウスパッドのほうに寄せてみた。

 ………何かを触っている感触はない。だけど確かに、画面の中の手は、横たわるミクを支えていた。


 「……ミク……君は……!!」


 触れもしない、見えもしない。

 信じがたい。信じられない。

 だけど確かにミクは。ミクはここにいる。

 だけどまさか―――まさか、パソコンの中から出てくるなんて……!


 「ミク……ミク!目を……目を覚ませ!!君のための曲を……もう一度作ってるんだ!!君に歌ってほしいんだ!!ミク……ミク……!!」


 なんて幸せそうな顔で眠ってるんだよ。

 僕のために歌い切ったことがそんなに幸せだったのかよ。

 僕の声、聞こえてる?

 こんなに呼んでも……どれほど呼んでももう……動かないのか……?



 もう二度と………動かないのか……!?



 「……嘘だろ……?ミク……!……嘘だろぉっ……!?そんな……もう……届かないのか……!?あ……あああ……!!」



 望んだはずの結末だった。ミクのいない世界。僕だけの力の世界。

 なのにどうして。どうしてこんなに悲しいのかな……。


 どうして……涙が止まらないのかなぁ…………!





 「う……あ………あああ……………ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっ……………………!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」





 僕は泣き叫んだ。声の限り。

 ミクの声の響いていた、空に向かって。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【自己解釈式二次創作風小説】ODDS&ENDS~歌姫《ガラクタ》と僕《ガラクタ》の二重奏《デュエット》~④

望んでいたはずで、信じたくない結末―――――。
こんにちはTurndogです。

ここら辺の歌詞はもうね、涙がたまっていくよね!
そしてこの次で崩壊すると。


『その時 世界は―――――』

閲覧数:201

投稿日:2013/02/28 23:38:26

文字数:2,861文字

カテゴリ:小説

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  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    きっかけをくれたガラクタは……

    確かにミクちゃんやリンちゃんが、ぽんとでてきたら……愛でますもんね!←

    2013/03/04 23:55:21

  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    テレビとかから出てくるって、貞子だったらめちゃ怖いのに
    このお話はどうしてこんなに感動的なんでしょ?ww

    2013/03/03 08:59:35

    • Turndog~ターンドッグ~

      Turndog~ターンドッグ~

      貞子の場合はずりずり這いずりながら『ヴヴヴヴヴヴヴォアオアアオアオオア』みたいなところがあるから怖いんじゃ…www

      元がよすぎるから感動的なのです!

      2013/03/03 19:13:48

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