BATTLELOID「STAGE2 停止不能」-(1)

投稿日:2014/05/25 20:00:46 | 文字数:4,561文字 | 閲覧数:187 | カテゴリ:小説 | 全3バージョン

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※BATTLELOID「BEFORE GAME」を参照してください。


前夜からリン、レンと行動を共にしていたミクだったが、彼女は二人を信頼できないままでいた。
そんな中、新たな相手が、ミクのもとにやってくる…。

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TEXT
 

[A区画 街‐2エリア]
「ふわわ…」
 ミクは大きな口を開けてあくびをする。
 あのあと。動かなくなったメイコをそのまま置いておき、ミクたち三人は近くのベッドがある建物へ移動し、同じ部屋で三人眠った。
 …だがさっきの例もあって、ミクは全然眠ることができなかった。それがそのあくびに現れていた。
「…全く、ミク姉、しっかり寝ないとだめだよ」
 リンがたしなめる。…そういえばリンもレンもこの状況でぐっすり眠っていた。
 二人には…私に襲われるんじゃないかという不安はなかったのだろうか…?
 注意深く二人を観察するも、特に心境が分かるわけでもない。リンはその様子を見て「?」と首をかしげた。
「…そうだよミク姉、ミク姉がしっかりしないと…」
 レンはフォンを操作しながらバナナをほおばっている。
ちなみにこのバナナ、近くのコンビニからとってきたものだ。お金を持ってはいないがレジなどに人はいない。中にあるものは好きに持って行ってよい、という事のようだった。
「全く、レンはさっきから何いじくってんのよ…」
「みんなの動向をうかがってんだよ」
 リンのあきれたような問いにレンは手をひらひら振って答えた。
 ミクはそんな二人を尻目に、ミクは部屋に目をやる。いつの間にやらテーブルにはサンドイッチやおにぎりなどが置かれていた。リンかレンが持ってきてくれたのだろう。
「あ、ミク姉、どれでも好きなの食べていいよ?」
 ミクの視線に気づいたリンが笑う。
「…いいの?」
「うん、食べて食べて。これから一緒に戦うんだから」
 一緒に戦う…か。
 ミクは思いながらおにぎりを一つ手に取った。
 はたしてこの二人…信用できるのだろうか。
 昨夜はミクの不安は実現しなかったわけだが、それでも不安はぬぐえない。
「…ミク姉?…大丈夫?」
 心配そうに問うてきたリンにミクは笑顔を返したが、無理があったことを自覚する。
 寝不足もあって、食欲は皆無だった。だがミクはおにぎりを食べた。これから何が起きるかわからないから、無理に押し込んだ。
「…ん、リン、ミク姉」
 不意にレンが、ちょっと苦い表情で二人を呼んだ。怪訝そうにレンを見る。レンは冷静に言った。
「どうやらカイト兄さんが…こっちに向かってるみたいだよ」
「え」
 リンが固まる。
「いや…間違いないよ、さっきまでC区画にいたはずなのに…」
 レンが指し示したフォン。現在のカイトの位置表示は『A区画 町‐2』と示されていた。C区画との位置関係から察するに、カイトは電車に乗ってこちら側に向かっているのだろう。
「ど、どうするの?」
 リンが焦る。
 カイトが先日勇馬を脱落させたことは、三人はすでにメールで知っていた。ということはカイトは皆を脱落させ、自分の願いをかなえるべく戦っていると考えるべきだろう。
 そして。今、ミクたち以外に、A区画には誰もいない。
…つまり、明らかにカイトはミクたちを狙ってこっちに来ている、ということだ。
狙われる理由だってある。
「私が…メイコ姉さんを倒したから…」
 ミクが呟いた。間違いなく…それが原因だろう。
「わわ…どうしよう、早く逃げないと…」
 リンが慌てる。レンもいつでも動けるように準備を始めた。
 だが…ミクは動かない。何かをずっと考えているようだ。
「…ミク姉…早くいかないと追いつかれてちゃうよ?」
「…いや、」
 ミクは首を振る。
「私はカイト兄さんに会いに行く」
「「ええ!?」」
 双子が同時に叫んだ。
「やめよ、逃げようよミク姉!」
 リンが止めるがミクは再び首を振る。
「逃げるなら二人で逃げてって。私はカイト兄さんと話がしたいの」
「…何を?」
 レンが問う。
「大したことじゃないよ。大丈夫だから…」
 ただ、ミクはカイト兄さんの誤解を解きたいだけだった。あれは不可抗力だったんだと。
 そして、もう一つ。私に対する立場がよくわからないこの双子から早く離れたかった。
 …だが、そうもいかなかった。
 二人は一度顔を見合わせたあと、揃って言った。
「「じゃあ、私(俺)たちもついていくよ」」





[A区画 街‐1エリア]
 カイトはまだA区画を東に移動中のようだ。
 三人は電車を降りる。ミクが最初に出た街に、戻ってきた。
 駅を出て、すぐにミクはすぐ近くの建物の間の陰に移動した。
「…ここで、待っててね」
 ミクは二人にそういった。
「…なんで?私たちも一緒に…」
「リン」
 反論しようとしたリンを、レンが止めた。
「二人で、話すんだね?」
 レンが静かに尋ねた。ミクは頷く。
「分かったよ。ここで…待ってる」
 レンのその声を聞いて、ミクは返事をせずすぐに後ろを向き、駅前へ歩き出していった。


 日が高く上った、お昼時。
 ミクがその場で待ち続けて十分くらいだろうか。駅から青髪、青マフラーの男が出てきた。
「…カイト兄さん」
 ミクがその名を呼んだ時、一陣の風が吹いた。
 カイトは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに暗い顔に戻り…マイクを構えた。
 その表情…憎悪。
「ミク。こっちに来たから何を考えてるのかと思ったけど…まさか逃げも隠れもしないで待ってるとはね…。まあいいや…はじめ」
「待って…話があるの」
 カイトが歌いだそうとするのをミクは止めた。
「ねえ…戦うのはやめよう?…私…本当は戦いたくないの…」
「…じゃあなんでメイコを倒したんだ」
 ミクの切実な声。だがカイトは表情を崩さず、質問をぶつけてきた。
「あれは…仕方なかったの!だって…メイコ姉さんが…襲ってきたから…」
 ミクは祈るような声で言う。
「お願い、信じて…」
 カイトはそんなミクを見てはあ、とため息を一つつくと、一旦マイクをおろした。
「…ミクの切実さは、分かったよ。そこまでして言うなら…それが真実なのは信じてやってもいい。でも…戦わないことは…無理だ」
「どうして!?」
「考えてみろ。ミクや俺がそれを言って誰が信じる?俺たちは一度、相手を倒してしまってるんだぞ?いくらミクが説得しても…何の意味もないんだよ」
 ミクはその言葉にはっとした。そうだ…私にはもう、メイコ姉さんを倒してしまったという、汚点があるのだ。ミクを信じてくれる人は…もう、いない。
「俺もミクも、暴走り出してしまったんだ。もう…止まれないんだよ!」
 その言葉が…ミクの胸に突き刺さる。
 カイトは再びマイクを構えた。
「覚悟を決めな。もう今のおまえは…めーちゃんの敵でしかないんだ。いくよ」
 カイトが歌おうとした時だった。
「「『廃都アトリエスタにて』!」」
 カイトの右サイドから閃光が放たれた。
「…く!」
 だがカイトの反応も早く、すんでのところで直撃を免れた。標的を失った閃光は反対側にあったビルの壁に激突、大きな焦げ跡を残した。
「くそ、やっぱりリンとレンもいたのか!」
 カイトが叫ぶ。
 双子は陰から出てくると、リンはカイトと対峙し、レンはミクの元へ向かった。
「『月光ステージ』!」
「『Pane dhiria』!」
 カイトとリンの戦いが始まる。一方ミクの元に来たレンはミクを路地裏に連れ込んだ。
「やっぱり、カイト兄さんとは戦うしかないんだよ」
 諭すようにレンが言う。
「でも…でも…私はこれ以上…」
「ミク姉!!」
 優柔不断なミクに、レンは怒鳴った。
「メイコ姉さんも言ってたろ!?このゲームはそんなに甘くない、そんな戯言が通用するような状況じゃないんだよ!」
 レンの剣幕にミクはひるむ。レンは一つ息を吐くと、打って変わって優しい口調で言った。
「大丈夫、俺たちがカイト兄さんの動きを制限するから…ミク姉はマイクを壊すんだ」
 それでも、ミクに戦う気持ちはわかなかった。だが先ほどのカイトの言葉が後押しをする。
 もう私は…止まれない。
 そして、もう一つ不可解なことがあった。
 戯言が通用しないというのに、リンちゃんとレン君がことあるごとに私に協力するのは…なぜなの…?


「『恋するアプリ』!」
「『わすれんぼう』!」
 カイトとリンの戦いは続いていた。レンとミクが表に出ると、ちょうどカイトの背中が見えていた。
 リンはレンたちがカイトの背後に来たのを確認すると、ニッと笑った。
「これで終わりよ!『天樂』!」
 リンが一際大きい声で歌い、それに伴い大きめの光線が生まれた。
 …だがそれはカイトの右側を抜けて行ってしまう。
「…馬鹿め!」
 カイトが言ったが、彼はすぐ背後の気配に気づいた。
「『イケ恋歌』!」
すぐさまレンが歌う。
だがそれも振り向いたカイトの右側を抜けてしまう。双子はどちらも馬鹿なのか?
…違う。
「…しまった!」
今の二つの攻撃で、カイトは左右に身動きが取れなくなってしまった。
「今だ、ミク姉!」
レンが叫ぶ。
…ごめん、カイト兄さん!
「『ずれていく』!」
ミクの攻撃は見事にリンとレンの攻撃の真ん中を走り、カイトの持つマイクを見事に捉えた。
「「やったあ!」」
 双子が同時に叫んだ。


 しゃがみこんでただ壊れたマイクを見ているカイト。彼もそのうち、メイコのように動かなくなってしまうのだろう。
何か声をかけたほうが…?
 と考えたミクが何か言おうとカイトに近寄った時だった。
 不意にカイトが顔をあげた。その手には、もう一つのマイクがあった!
「『千年の独奏歌』!」
 …え?
 何が起きたかわからぬまま…気付いたらミクの身体は宙を舞っていた。


 体が地面に落ちる、だがそのまま一度バウンドし、建物の壁に後頭部をぶつけた。
 頭がくらくらする。幸いマイクはしまっていたので被害はなかったし、一度地面にぶつかっていたおかげでまだ普通に立つことはできた。
 なぜ、カイト兄さんは二つ目のマイクを…?
 レンが素早く壊れたほうのマイクに目をやる。丁度コード番号が薄れて消えていくところが目に入った。
 コード番号…『Y‐2』。
 これは…カイト兄さんのマイクじゃなかったのか!
「気付いたようだね…レン」
 驚愕の表情を浮かべたレンに、カイトは不敵な笑みを送った。
「そう、ミクが壊したのは勇馬のマイク。いざって時のために、ずっと自分のマイクで戦っていたのさ」
 カイトがマイクを見せた。浮かんでいる文字は『C‐2』。正真正銘、カイトのマイクだ。
「形勢逆転…かな?『しねばいいのに』!」
 カイトがミクに向かって攻撃を仕掛けた。だが双子が素早く反応した。
「『ベンゼン』!」
 レンがカイトの放った光線を横から相殺しに入る。光線の軌道が変わり、その直後爆発を起こす。
 煙が上がった。だがカイトはさらに攻撃態勢にはいいっている。
「『m9』!」
 だがリンがカイトの足元めがけて光線を撃った。
 カイトはジャンプでかわしたが、地面にあたった光線は大きな衝撃と土煙を生んで、空中のカイトの視界を消し、体勢を崩させた。
「…この…!」
 カイトはすぐ態勢を立て直して着地し、煙の中三人を探したが…見つからない。
 煙が晴れたころ、三人の姿はどこにもなかった。

しがないボカロ小説書き。生粋のミク廃。
書くものはなぜかバトルものばかり。
みんなを楽しませることができればなあと、思う。

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