【小説】サーチライト 序

投稿日:2009/12/28 21:09:44 | 文字数:1,783文字 | 閲覧数:143 | カテゴリ:小説

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初のボカロ小説。思いつくままに書いていきます。まだオチは決まっていません。

ミク:「魔族」の中でも、人間の二倍以上の寿命と癒しの歌声(魔力)を持つ「奇跡の歌姫」。十数年前、レンに助けられた。彼を探しに旅に出る。絶世の美貌の持ち主。
リン:レンと酷似した容姿を持つ少女。記憶喪失。ミクを助ける。身体能力が非常に高い。
ルカ:ミクと共に旅に出た「魔族」の女性。実年齢はミクの半分程度。魔力は強くないが、身体能力が高い。
レン:十数年前ミクを助けた、「魔族」の中でも脅威的な寿命を持つと思われる少年。ミクを助けた後、姿を消した。

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TEXT
 

 歌声が響く。高く澄み渡る声は自由な小鳥のようで、しかしその声の主は狭く暗い部屋の中にいた。
 扉には重い錠。窓には鉄格子。歌いつづけるのは、まだ十にも満たないような幼い少女。時折窓の外から差し込む月明かりに、翠の髪が淡く反射する。幼いが、「可愛らしい」という形容が似合わないほどの美貌であった。

 ふと、少女は歌うのをやめた。窓に何かがあたる音がしたからだ。少女は立ち上がり、用心深く窓の向こうを覗き込む。
 鉄格子は、この鳥かごに美しい少女を閉じ込めておくためのもの。そして同時に、迫害を受ける「魔族」の少女を守るためのもの。窓の向こうへの憧れはあるが、それ以上に恐れもあった。

「誰かいるの?」

 ほんの少し震えた声が、部屋の中の空気を震わせる。窓の向こうに誰かがいるのだと思ったが、よく見えない。それはきっと夜の闇のせいであり、同時に少女の背丈のせいでもある。
 少女が首を傾げるのとほぼ同時に、鉄格子の間を、白く華奢な手がすり抜けた。少女は、驚いて後ずさりする。少女にすれば大きな、しかしまだ子どもの手であった。傷ひとつない、きっと良い身分なのだろうと思わせる手。

「おいで」

 窓の向こうから、声が聞こえた。幼く性別すら分からない、にも関わらず大人びた柔らかな声。白い指先が触れた窓ガラスが、小刻みに振動している。

「あなたは、誰?」

 少女は、再度問いかけた。窓の向こうは恐い。それだけは、少女もよく分かっている。そうでなければ、大人しくこんな部屋に囚われてはいない。

「おいで」

 窓の外の人物は答えず、ただそう繰り返す。手の震えが大きくなる。きっと必死で背伸びをしているのだと、少女は気付いた。互いの背丈のせいで、窓ごしに姿が見えないのだ。
 それが分かったところで、相手を信用する理由には分からない。

「だめよ、そんなことしたら、怒られる」
 ご主人様は、怒ると恐い。何をされるか分からない。だけど、殺さないだけ、外の人間よりずっと良い。

 そう続けると、それだけで声が震えてきた。そう、外は恐い。

「僕は、君を殺さない」

 強い言葉だった。抗えないほどに。少女は戸惑い、そっと、窓ごしに手を重ねた。

「それでも、無理よ。ここからは、出られないわ」

 鉄格子、開かない窓、狭く暗い部屋。ここは鳥かご。

「君が外へ出たいと望むなら、不可能なんてないよ」

 少女は、窓の向こうから聞こえる静かな声に、ただ戸惑っていた。

 生まれてからずっと、両親の元で当たり前に生きていけるのだと思っていた。しかし、その日々は唐突に終わりを告げた。少女は魔女狩りにあった。普通の人間の二分の一以下のはやさで成長した彼女は、「魔族」と呼ばれる突然変異種だった。
 裁判の後、処刑の場で、その美貌を権力者に買われた。ここに来てから、幼い足で逃げる必要はなくなった。
 外は恐い。両親や友人の裏切りを思い出す。裁判所を、処刑場を思い出す。だけど、この鳥かごも、本当はつらい。寂しい。

「あなたは、誰なの。どうして、私なの。どうして私をここから出そうとするの」

 白い手が少女の手から離れ、音もなく格子の向こうへ、闇の中へと消えていく。少女は、闇の中へ手を伸ばした。

「――待って!」

 ただ必死で、消えていく手を掴む。あるはずの窓なんて、もう思考の外だった。無心で掴んだ手が、優しく、しっかりと握り返してくれる。そのことにほっとした瞬間、少女はバランスを崩した。

「きゃ……っ!」

 硝子も鉄格子も壁も、何もかもの感触がなく、気付けば芝生の上、誰かの膝の上にいた。驚いて飛び退ると、後ろにあった壁にぶつかった。そこは、部屋の外だった。真上に、鉄格子が見える。呆然とする少女の頭を、誰かが優しく叩いた。

「あなたは、誰?」

 もう一度、少女は訊いた。月明かりが、相手の顔を、美しい金髪を映し出す。少女よりわずかに年上の、しかしまだ十代になるかならないかほどの、幼い外見。しかし、外見の倍以上の時間を生き抜いてきた少女は思う。目の前にいる人物は、自分よりずっと、外見の差の何倍も、年上なのだと。きっと、両親よりも。

 その人物は――少年は、もう一度、座り込んだままの少女に、手を差し伸べた。
 少女は、今度は迷わなかった。

とりあえずいろんなことに手を出しまくってる鏡音廃です。巡音も買ったようです。

マイリス→http://www.nicovideo.jp/mylist/18736642

オリジナル曲の二次創作・派生作品等は、ボカロやPIAPROの規約の範囲内でご自由にどうぞー。

小説の更新が滞ってますが、プロットはちゃんと出来てますよ><

http://hozue.blog-fps.com/

http://sns.cv02.net/?m=pc&a=page_f_home&target_c_member_id=2229
http://v-nyappon.net/?m=pc&a=page_f_home&target_c_member_id=12234

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2010/2/17 追記
HNを秋穂(あきほ)から穂末(ほずえ)に変更しました!

2010/7/18 追記
ニコ公開三曲目となる「水鏡プリテンス」で、P名を頂いてしまいました(ありがとうございますっ)。

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一応、お仕事やコラボのことに関して書いておきますね。以下の文章は、状況によってコロコロ変わります。

現在、曲・絵の新規依頼は受け付けておりません。交流のある方(複数回のメッセージ交換が目安)からの依頼ならば検討しますのでご一報お願いします。
作詞ならば依頼を受け付けられますが、依頼理由はきちんとお書きください。

一つの作品を仕上げるまで根気強く手伝ってくださる(ここ重要)絵師さん、動画師さんは常に募集しています。
また、作品ごとにイラスト募集を(突発的・〆切あり)することがあります。

コラボはお互いに本気じゃないと自然消滅するだけですので、やるなら本気でやりましょう。一報したうえでの延期・降板は受け付けますので。

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