『さあ踊りましょう 軽やかに華やかに
月明かりに舞う 黒揚羽(あげは)のように
さあ歌いましょう 清らかに高らかに
紡ぎ奏でるは 金糸雀(カナリア)のロンド』
創り出された 私の居場所は王宮
誰をも魅せる 象牙のオートマタ
満席の紳士淑女方 そこに
微笑みたたえ 貴方がいた
『さあ踊りましょう 艶やかに華やかに
星影に咲いた 紅薔薇(ばら)のように
さあ歌いましょう 朗らかに高らかに
紡ぎ奏でるは 金糸雀(カナリア)のロンド』
“お前の歌は春が来たよう”と笑う
心優しき かの人は末王子
病がちの身で 国を想う
その温かさに 恋が花咲いた
ルビーの心臓(こころ) その色ほどに熱く
視えぬ涙の露 零れゆく
夜に囁く “つくりものの身だけれど
神様 この祈りをお聞きください…”
雪降る朝 弔いの鐘が鳴った
想い人は森に葬られ
城にひとり 残された人形
ルビーの心臓(こころ)は 砕け散っていた
愛失くした 哀しき歌姫(カナリア)
花の容貌(かんばせ)は 今どこに眠る
忘れがたき 麗しい歌だけが
月夜の霊廟から聞こえるという
『…さあ歌いましょう 清らかに高らかに
紡ぎ奏でるは 金糸雀(カナリア)のロンド…』
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