【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#05】

投稿日:2009/08/17 00:29:37 | 文字数:3,507文字 | 閲覧数:249 | カテゴリ:小説

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、書こうとおもったら、
なんとコラボで書けることになった。コラボ相手の大物っぷりにぷるぷるしてます。

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めいこさん、勢い余って双子に会うの巻。

めいこさんと双子の出会いは、よく見たらあれですね。ラブコメ漫画の王道ですね。
曲がり角で出会いがしらにぶつかるとか、よくある展開。だがそれがいい(のか?

このあたり、メールで自分のことを「Tのひと」と称するのに異様にハマりました。
それというのも、たすけさんちの短編でT氏と名指しされたのが発端。たすけさんには
「何かハムの人みたいな…」と言われましたが、結構気に入ってます!

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かいと視点の【青犬編】はたすけさんこと+KKさんが担当してらっしゃいます!
+KKさんのページはこちら⇒http://piapro.jp/slow_story

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つづくよ!

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ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、
なんとコラボで書けることになった。「野良犬疾走日和」をモチーフにしていますが、
ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてP本人とはまったく関係ございません。
パラレル設定・カイメイ風味です、苦手な方は注意!

コラボ相手はかの心情描写の魔術師、+KKさんです!

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【独自解釈】 野良犬疾走日和 【紅猫編#05】



 乗ってしまった。
 かたんかたんとこまかく振動する汽車に揺られながら、これなら手紙よりも私の方が先についてしまうのではないだろうか、などと考えていた。それは、私をとても妙な気分にさせた。
(……乗っちゃたわ)
 爽快というには、すこしだけ重くて、それでも、それはいやな重みではない。なんと表現していいのかわからないこのきもち――しかしとにかくここちよいのだ。鉄の箱に運ばれてゆく、身体の重さの分だけ、きちんとこころがついてきているみたいで。お屋敷にいるときのように、こころが置き去りにされた感じもしないし、手紙の封を開けるときのように気だけが急いている感じもしなくて。
 窓の外の景色も目に入るそばからとおりすぎてゆくようで、とてもここちよい。幾百幾千の建物、幾百幾千の人々、瞳に映っては過ぎ去ってゆく幾百幾千の景色。いろんな色が渦巻いて、めまいがおきそうなくらい、鮮やか。
 これらを総称して、ここちよいという以外に、うまいことばがみつからない。
 車内がしずかなのも、いっとうここちよい理由のひとつだ。いちどだけ車掌がきっぷを拝見、と声をかけてきた以外は、皆しずかなものだった。
 きっぷを見て、行き先の欄に書かれた地名を何度も読み返す。夢じゃない。
(乗っちゃったのね、ほんとうに)
 汽車は、とても安心する乗り物のひとつだと思う。車は揺れすぎるし、大概は気に食わないひとや知らないひとと乗るから緊張する。バスもきらいではないけれど、あれもあれで窮屈な気がする。それに、この汽車という乗り物は、確実に、とどこおりなく、敷かれた軌道(レール)に沿って、私をあの街まで導くことがわかっているから、とても居心地がいい。誰の指図も受けず、淡々と、乗客だけを運ぶさまは、なんだかすがすがしいもののように思えた。
 がらんとした車内を見渡し、私は安堵のため息をついた。
 やっぱり、私にとって汽車は、とても安心する乗り物のひとつだ。

 そうして駅に着いたとき、なまぬるい風が頬を撫でた。土ぼこりと草のにおい。あのひとのくれる手紙に染みついた、愛らしいにおいだ。
「……なつかしい」
 もう何年離れていただろうか。それでも、降り立った駅の風景は、私がこの街を発ったときとほとんどなにも変わっていなかった。ただ、改札にいる駅員さんの変わらない笑顔に笑いじわが多くなっていて、その駅員さんを最後にみたときより、その腰がすこしだけ曲がっていたくらい。
 なつかしい街、なつかしい駅。年端もいかない子どもの頃の記憶なんて、それほど鮮やかに残っていないはずなのに、ここにいると、お屋敷にいた頃の方が霞んで見える気がする。
「さて……」
 衝動とはいえ、ここまで来たのだ。車中でもどうしようかと頭を巡らせていたところだったけれど、やはり考えることはひとつだけだった。
 ここはかいとのいる街だ。私のいた街だ。それならば、することなんて決まっている。
「道、変わっていなければいいのだけれど」
 文明開化だなんだと囃し立てるおとなたちの手によって、この10年ほどで区画整理のされた地区はいくつもある。しかし、この街の駅前にある古びた掲示板は、そんなことおかまいなしの顔で平然とそこにあった。大丈夫そうね、と、思いながら、私ははたと気が付く。
 私は、かいとの家を知らない。
(うそ、そんなはず)
 いや、知らないのだ。本当に。
 かいとが家に遊びに来ることはあっても、私がかいとの家に行ったことはない。かいとが私を家のそばまで送ることはあっても、私がかいとの家まで一緒に行ったことはない。待ち合わせ場所は、瀬戸物屋さんの隣の空き地か、大通りからすこし外れた大きな橋の下の原っぱだった。
 私は、彼の家の場所を、知らない!
「……私ったら……」
 それは思いのほか衝撃的なことだった。そういえば、彼の両親の話なんかも、きいたことがない。聞いていたかも知れないが、覚えていない。すごく申し訳なくなった。こんなに想っている――と、おもっていたのに、実のところ私は、彼についてほとんど知らないのではないか。
 ここで、車中では決意がかたまっていたはずの「どうしよう」という、どうしようもない疑問が鎌首をもたげた。かいとの家の場所は知らない。いくところのあてなどない(なにせ、10年ほども離れていた土地である、私を覚えている人などすくないだろう)。
 ……でも、なんとかなるかしら?
 会えなくてもそれはそれでいいのだ。今までどおりなのだから。無理やりながらそう納得して、とりあえず、街の中を散策することにした。考えるのはきらいじゃないけれど、こういう状況にあっては、動いていた方が、気も紛れる。

 すこし歩けば、なつかしい景色の面影がちらつく。あの家の塀はこんなに低かったかしら(私が成長したからそうみえるのかしら)とか、あのお店は米屋さんだったはずだけれど、いつのまに酒屋さんになったのかしら(そういえばそこのおじさんはどぶろくが好きだった)、とか。
 そんなことを思いながら差し掛かった交差点は、飛び出しがおおいから気をつけなければいけないといわれていた場所で、どちらかというとかいとはいつも飛び出すほうだったわね、なんて、そんな些細なことすらなつかしく――
「――うわあああ!」
「きゃ!」
 角を曲がろうとしたところで、二人乗りの自転車に袖を掠めた。ハンドルを切りすぎた自転車は横転、運転していたひまわり色の髪のこどもが転げた。
 先ほど、この交差点は飛び出しが多いと思いだしたばかりなのに! カラカラと回る自転車の車輪の音を悠長に聞く暇もなく、慌ててこどもに駆け寄った。
「だ、大丈夫!?」
「いってえ……」
 く、と、腕に力を込めて砂を吐いた少年は、どこからも血は出ていなかった。そのことに安堵したが、やはり痛そうな顔――ではなく、その少年は、いやに必死な険しい顔をして、背後に向かって叫んだ。
「リン、荷物は!」
「死守成功!」
 ちいさな小包を掲げたもうひとりが立ち上がる。少年とおなじひまわり色の髪、おなじ格好、おなじ顔。肩にすこし土がついているが、こちらはとくにけがなどはしていないように見えた(というか、うしろに乗っていたはずなのに、運転していた方よりけががないとは、なんという運動神経だろう)。
 なかみだいじょぶかなー、ワレモノじゃないからだいじょぶだろー、と、少年少女はひととおり荷を確認した後、ふたりで私に向き直り、ふたりでぺこりと頭を下げた。
「ごめんなさいおねえさん」
「配達途中で急いでたんだ」
「わ、私の方こそ、前見てなくてごめんなさい、けがしてない?」
 ちょっと足打ったかなあ、ああでもこのくらいへいき、と、絶妙なタイミングで交互にふたりは言う。せめて絆創膏か軟膏かだけでも、というと、そこまでしなくていいよと笑われてしまった。でも、それでは私の気がおさまらない。そこでふと思いついたのが、
「……おわびに氷菓でもいかが? この先の駄菓子屋さん、今の時期はかき氷がでているはずよね?」
 言ってから、その店主であるところのおばあちゃんは高齢だったから、もしかしてつぶれているかも、なんて考えが過った。が、双子の瞳が輝いたのを見て、私はそれが杞憂だったのだと思いしる。
「今年はじめてのかき氷!」
「それならレモン味がいい!」
 叫ぶや否や、双子はがちゃがちゃと自転車を起こし、その籠に荷物を放った。いくらワレモノではないとはいえ、その扱いはいいのだろうか、と思いながら眺めていると、にかっと笑ったふたりと目があった。
「おねえさんって」
「いいひとだな!」
 示し合わせたかのように言葉を発する双子に、思わず微笑んだ。すると、双子は一瞬固まったあと、少年はすこしうつむき気味に、少女は若干頬を染めて、
「……おねえさんって」
「笑うととってもきれい!」
「やあね、お世辞言っても上乗せなんかしないわよ!」
 ふたりとも意外とおませさんね、と言うと、双子は、顔を見合わせて、くすぐったそうに笑った。

つんばるといいます。世の中のすみっこでしがないモノカキやってます。
MEIKOがすきです。KAITOがすきです。カイメイがすきです。

写真素材はサイズ・色調その他、改変自由のフリー素材です。お好きにどうぞ。
なにかが誰かの琴線に触れたらさいわいです。

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