先に泣き止んだのは空のほう
ため息が溜まったような帰り道
水面のよう光り輝く道の上
捨てられた傘が 水たまりを泳いでいた

鞄の中の傘はお守りなのか
釣り上げた傘は僕に問いかけた
濡れたい気分だったんだ ちょうど
歩き出したらスニーカーが噴き出した

骨が二本 折れているだけ
咲かせばちゃんと使えたのに
綺麗じゃないから要らないよ
わかっちゃった 経験があるから

肩車をした子どものように
はしゃいだ黒の半球が回った
青い空は久しぶりに見た
こんな日はだいたいいつも
下を向いて過ごしている


色が変わるほど濡れた服
ワカメみたいにヨレたノート
いったいなにを見られたくない?
傾けた傘が不思議そうに尋ねた

何千年と昔から
姿変わらずここにいる
不便なところはあろうとも
これでいいんだ ちょうどいいんだ

真綿についた一点のシミが
どうしようもなく見にくく思えた
かんぺきなものしかみとめない
過去から届く紙ヒコーキは
笑われたくないと叫んでる


先に投げ出したのは僕のほう
投げたふりしてほんとは隠した
手垢も付かないこころの奥の奥のほう
捨てられた傘が ここでいいやと笑っていた

案内員はゴールに行けない
ここまでだ 置いていってくれと
ゴミ捨て場の前 そう言ったきり
骨が折れた傘に戻っていた

青い空は久しぶりに見た
そういえばこんな色だった
どんな空であろうとだいたい
下を向いて過ごしていた

大丈夫 ちゃんと見えたよ
この道を僕は歩いていく

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

あいまいがさ

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投稿日:2019/07/14 18:45:54

文字数:634文字

カテゴリ:歌詞

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