1)
夢が始まった場所
遠く蓮華が揺れる
甘い蜜をふくんで
青い風を受けて立った


涙が水たまりに
弾けて跳ね返って
揺れ上がる声の
目覚めの羽根舞い上がり降った

孤独に耐える幼き心
雄弁に立つ威嚇に似た人の影を識(し)る
燃え盛る季節の海に
勇ましき産声(うぶごえ)を
喝采の中(なか)高(たか)らかに吠(ほ)えちぎった

あの日から数えてまだ足りぬ
言葉たち
「寂しい」と呼ぶその名前すらわからずに
あの日から数えてまだ知らぬ
その瞳
気が付いた月はいつも
頭上で輝きながら啼(な)いてた

2)
記憶の終わった場所
黒く濁った空
罪を背負って歩く
柔肌(やわはだ)に爪痕(つめあと)残し

無言を守る風
色を失った花
乾いた唇に
歌声が小さく零れ

罅割(ひびわ)れた鼓膜
届かないあの手紙
小さく蹲(うずくま)って
頑(かたく)なに拒んでいたって

蘇る旋律の夜
追うほどに逃げる星々の泣き声微(かす)かに
どこまで行っても終わらぬ命
いつか迎えに来ると
笑って逝(い)った人の名を
今でもまだ胸に抱きながら

あの日から数えてまだ足りぬ
背の傷は
「弱さ」と呼ぶにはほど遠く強さになり
あの日から数えてまだ知らぬ
その涙
傷負った翼には
「守りたい」と願いが刺さっていた


つまらないこの世界で
何度となく奇跡を待って
くだらないこの世界で
何度となく祈りを捧げても
命をくれてやるから


あの日から数えてまだ続く
扉には
「強さ」と呼ぶにはまだ幼い穢(けが)れ無き非情
あの日から結い続けている
糸の先
水たまりを覗きこんだあの日の二人
鳴りやまぬ鼓動

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

鏡花水月

なんか、物語を連想させる歌詞が書きたくなって。

閲覧数:4,980

投稿日:2020/08/06 20:30:40

文字数:686文字

カテゴリ:歌詞

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