人の目に映らない姿となった死神の耳に、女性の泣き声が飛び込んできた。

リーリアが、死んでいた。

伯爵夫人、つまりレンの母である女性が遺体に縋り付いて泣いていた。すぐ横で立つ父である男も、静かに涙を零している。獣のような慟哭の声に、レンは顔を歪めた。
かつて自分が死んだ時も、二人はこうして泣いてくれたのだろうか?
もう泣く事も怒る事もない彼女は、それでも最期、晴れやかに笑っていた。

死神は少女の頬に手を伸ばす。
「貴女の笑顔、決して忘れません。永遠に―――この世界が果てるまで」
その声を聞く者は、もういない。
死せる娘の胸に、市場で買った銀の首飾りが掛かっていた。
それを見た死神は、声もなくただ静かに泣いた。
自分に涙が残っていた事に、驚き戸惑いながらも。
『寂しくない』
耳に蘇る、リーリアの最期の言葉。
無事に“鎌”の手によって冥界へ渡った少女を思い、静かに涙を流し―――そして、笑った。
「私ももう、寂しくないですよ、リーリア。おやすみなさい」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

【白黒P】鎌を持てない死神の話・15

『鎌を持てない死神の話』、本編終了です。
短いですねw

閲覧数:302

投稿日:2011/06/04 21:32:01

文字数:431文字

カテゴリ:小説

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  • matatab1

    matatab1

    ご意見・ご感想

     読ませて頂きました。
     レンとメイコは似ているのか……。見てみたい気もします。
     人間だった者が『自分はもう人じゃない』と認めるのは、本人も他人も辛いですよね。カイトはその辺り上手くやってそうですが。
     レンもカイトに似て、誰かの願いを聞いて罪を増やしていくような気がします(笑)
     楽しく読ませてもらいました。ありがとうございます。 

    2011/06/08 20:53:11

    • 零奈@受験生につき更新低下・・・

      零奈@受験生につき更新低下・・・

      ありがとうございます!
      レンとメイコは芯の強さとか内面が似ています。
      カイトは善い人過ぎて生前から苦労が絶えなかったものの、結局なんとかなってます。
      彼はお節介で罪を増やすけれど、レンはあくまでも求められて罪を増やします。
      リンレンが双子というのは当初から考えてましたが、レンが『自分はもう人間じゃない』と言うシーンは打ち込んでいるときに思いつきましたw

      楽しんでくれたなら幸いです。これからもよろしくお願いします。

      2011/06/10 18:38:54

  • 星蛇

    星蛇

    ご意見・ご感想

    読ませて頂きました。
    カイトのその後の話が気になりますね@@;
    レンの鎌の名前から、メイコも何らかの罪を負って鎌として生きているのでしょうか?
    カイトと二人でそれを償っているのかな?
    ↑間違っていたらすみません。

    レンの罪が許されて、その後リンとどこででもどんな形でもいいので出会えることを切に祈ります。
    美しいお話ありがとうございました。

    2011/06/05 05:46:08

    • 零奈@受験生につき更新低下・・・

      零奈@受験生につき更新低下・・・

      感想ありがとうございます!
      メイリアンヌとメイコは別人です。メイリアンヌには黒髪のミクを割り当ててくださいな。
      カイトは結局のところお人よしなので結果的に罪がどんどん増えてますw
      彼女の元へ行った時、褒められはするが正座で説教でしょうね、きっと。
      リンレンもちゃんと最後には巡り合せるつもりです。

      「捜し屋と僕の三週間」も、よろしくお願いしますoyz

      2011/06/05 18:54:24

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