ジャケット

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小さな約束【連作戯曲】

ある国の、歌姫の物語。


「小さな約束」

【 ある科学技術の発達した国】

国王は、その技術を使って隣国に戦争を仕掛けたので、
国民は反抗しました

ばらばらになった国をまとめるため、国王は賢者の
【 いかなるときも、我らの心に残るは歌】
という言葉を信じました

彼は、科学者たちに、歌う人形の制作を命じました
人間のように、反抗することのない人形を

科学者たちは、禁忌を犯しました

そして、夏の終わり・・・


生まれたときから 一緒だった 何をするにも ふたり
周りは大人ばかりだけど 寂しくはなかった

たくさん歌を 教えられて ずっと歌って 過ごした
いつまでも ふたり歌えると そう思っていた・・・

春の空に 口ずさんだ ふたりだけの 歌は
きっと 忘れることはない 胸の奥に 刻み込んで・・・

「あーっ、きれーい!」
「まっきいろだあ」
「これをね、こうするとね・・・ほら!はいっ、あげる!」
「わあ、ありがとう・・・!」
「えへ、えへへ・・・」
「はは、あはは・・・」


たとえば誰かが ふたりのことを 引き裂いても 離れはしないよ
繋いだ手だけじゃなく もっと深く 心の中 繋がってるから


「しかし、差が出てきましたな」
「やはり、女の遺伝子をコピーした際」
「ミスがあったのでしょうな」
「男の処分は、いかに?」
「ふん、【劣化コピー】など、捨ててくれるわ!」


どんなに辛いことが あったときも ふたり歌えば、すぐ笑えるよ
綺麗な花も 流した涙も 全部分かちあっていけるから

「おっきなつき!」
「あしたも、はれるかなあ」
「あしたも、あそんでくれる?」
「きかなくても、あたりまえだよう」
「ずっと?おおきくなっても?」
「うん、ずっと、ずーっと」
「じゃあやくそく!はい!」
「ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーますっ」
「じゃあ、またあしたね」
「うん」
「おやすみ」


次の朝、少年が目を覚ますと、隣に少女はいませんでした
少年は知らない世界に、ひとり取り残されていました

「ここは・・・」

少年は、生きるのに必死でした

「このクソガキが!」
「また残飯を漁ってやがる!」
「待てコラ!」
「うあっ!」

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投稿日:2009/05/04 13:49:14

長さ:02:52

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カテゴリ:音楽

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