BATTLELOID「STAGE4 錯乱」-(1)

投稿日:2014/06/08 00:45:35 | 文字数:3,611文字 | 閲覧数:148 | カテゴリ:小説 | 全4バージョン

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説明は「BATTLELOID BEFORE GAME」を参照してください


人間になる、と決意したミクはずんずん突き進む。
だがさっそく計画が狂い始め…?


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TEXT
 

[B区画 町‐1エリア]
 次の日、朝早く三人は起きた。そして例によってコンビニなどから持ってきたもので朝飯を済ませ、すぐに電車に乗って移動を始め、この場にやってきた。
 早く言って奇襲すれば軽々行けるのでは、というのが三人の考えだった。
 …だが。
「いない…?」
一人になったところを狙われるのはまずいので、三人一緒に行動していた。だがもともと、町というエリアはそこまで広いものではない。つまり、三人が周囲を警戒しつつ回れば、普通に見つかるだろう…と三人は考えていたのだ。
だが…見つからない。
「…やっぱり、分かれない?」
「…そう…だね」
「危なくなったらさけぼうよ、それでなんとか…」
 結局、ばらばらに手分けして探すことにした。
 ミクは静かな道を歩く。聞こえる音はあまりない。しばしば後ろを振り返りながら進む。
 もしやと思い、道に並ぶ家一軒一軒見て回る。もともと無人なので、勝手に入ったところで誰も何も言わない。
 …それでも。
「いた…?」
「いや…」
「全然…」
 ミズキを見つけることができなかった。だが、フォンが指し示すミズキの場所は変わらない。
 どうしようかと思っていた、その時だった。
♪♪♪
 急にミクのフォンがなった。驚いてミクは飛び上がる。
「ミク姉…それ、マナーモード見たくバイブレーションに変えられるぜ…」
 あきれたようにレンが言う。
 ミクは苦笑いしながらフォンを見て…固まった。
 その様子をみて、双子も画面を覗く。それはいろはからのメールで、こう書いてあった。
 『街‐2 城で待つ』と。
「これって…」
 三人は顔を見合わせた。
 宣戦布告。それ以外に何があるだろう。
「…これ、どうするんだ…?」
「なんか、危険じゃない?」
 双子の反応は消極的だ。
 まあそれはそうだろう。たった一人で、こちらの三人に宣戦布告。よほど何か作戦がない限り、できるものじゃない。
「…いや、行きましょう」
 それでもミクは冷静に言った。
「え…?」
「このままミズキさん探してもらちが明かないわ。せっかくあっちが行くって言ってるんだから…。売られた喧嘩は買うのが礼儀、でしょ?」
 言ってることはなかなか物騒なのだが、ミクは屈託のない笑顔を見せた。
 やってやるわ、と燃えているかのようだ。
 その表情を見て、双子も安心したようだ。
「そうだよ、ミク姉と私たちがいれば勝てるよ!」
「だな。よし、気持ち切り替えて、行きますか!」
 三人は駅に戻る。丁度電車が来たので、それに乗り込んだ。


 盲点。人がうっかり見落としてしまうもの。そう、ミクたちもまた、その盲点に引っ掛かっていたのだ。
 確かに三人は町を隅々まで探索した。だがいなかった。
 じゃあどこにいたのか?
 …答は、駅だ。
 三人がここに来た時も、ここから出ていくときも、ほとんど構内は素通り、周りを見もしなかった。そこにミズキは身を潜めていたのに。
「…やはり正解でしたね、ここは」
 ミズキが言った。だが彼女の髪の毛は、三人がここを通るたびに不安にさいなまれた証ともいえる冷や汗でぬれている。まあ、見つかればほぼ無抵抗にやられるだけなので、それほど恐怖していたのもうなずける。
「…さて、私も…動かないとね…」
 ミズキも、三人とは違う電車に乗り、同じ方向へ向かっていった。






[B区画 街‐2エリア]
 ここの区画の街は、どことなく和風な風景を醸し出していた。
 あまり階層もない、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような感じだ。当然さっきの町エリアよりは広い。A区画の街はメトロポリスという感じだったので新鮮だ。
 そんな中、城は街の中心部にでかでかとそびえ立っていた。
「…あそこで、いろはちゃんが待ってるのね」
 ミクは気を引き締めるように言った。
 白い壁、緑青の屋根。いかにも城らしい形状、色合いだ。
 街中を三人は進んでいく。


「…待ってたわ」
 メールの通り、いろはは城に、しかも正門で堂々と待ち構えていた。
「…さて、さっきは堂々とメールを送りつけてくれたけど、どういうつもりなのかしら?」
 ミクが問う。いろはは黙ってミクを見ている。
 レンがマイクを構えつつ、いろはに言う。
「なぜ戦おうと思ったんだ?明らかにそっちの方が不利、だろう?」
「…ええ、そうね」
 いろはは静かに言った。だが当然といえば当然だが、逃げ腰な表情ではない。
「確かに、逃げたほうが利口かもしれない。…でもね、私にだって勝機はある。それに…このゲームは逃げてても何も始まらないでしょう?だから、戦う」
 さあ、勝負よと、いろはもマイクを出した。
 勝機とはなんなのか、ミクには皆目見当もつかなかったが、当然ここは戦うの一択。
「いくわっ!」
 いろはが叫んだ。
だが威勢のいい言葉とは裏腹に。
「な…!?」
 いろははミクたちに背中を向け…逃げ出した。
「ちょ、戦うんじゃなかったの!?」
 ミクが言うも、いろはは逃げるのをやめず…振り向いて言った。
「悔しかったら捕まえてみなさい!」
 言っていることとやっていることが明らかにおかしい。おまけに悔しくもなんともない。
 だが、逃げられてしまうのは良くない。
 ついでに、ミクはいろはの口調が気に障った。
「言われなくても捕えるわ!『白い雪のプリンセスは』!」
 ミクが歌い、華やかに光線が飛ぶ。
 だがいろはは見切っていたのが、走りながらかわす。
 歌っている以上、声が耳に入れは攻撃が来ることくらい予測はつくのだろう。
 いろはの姿は城の陰に隠れた。
「ミク姉!早く追うよ!」
「うん!」
 三人は遅れて走り出す。すぐにいろはの姿は見えてきた。
 どうやら裏門から城を出ようとしているらしい。
「させない!『パラメタ』!」
 ミクが動きを止めようと攻撃を放ったがいろは、は一瞬早く裏門を抜け出ていまい、そのあとでミクの攻撃が門をむなしく突き抜け、とこかで衝撃音が上がった。
「…マズイな、振り切られるかも」
 レンが呟いた。
 実はこの街、道が碁盤のように張り巡らされている。十字路のたびに曲がってしまえば簡単に振り切れる。
 裏門を抜ける。幸いいろははまだまっすぐ走っていた。
「『コンビニ』!」
 曲がられる前にとミクは攻撃を仕掛けたが、感づいたいろははすぐ左の路地に逃げた。
 しまった、とミクは走るペースを速め、すぐに左に曲がる。
「…っ!」
 だがすぐそこにしゃがんだいろはが待ち構えていた。ちょうどミクのマイクをピンポイントで狙える状況…完全に虚をつかれた。
「「『人間失格』!」」
 だがいち早く双子が攻撃を放ち、いろはに攻撃する時間を与えなかった。
 いろはは素早く逃げ始めた。
「『骸骨楽団とリリア』!」
 ミクも距離が近いうちにと攻撃に出るも、いろはは伏せてかわし、光線はまたむなしく突き抜けていった。
 再び逃走劇が始まる。
 右へ左へ、いろははどんどん曲がる。
 ここは追うのに徹しようと決めた三人はいったんマイクをしまい、走る。
 何とかいろはの背中を視界に入れ続ける。
 一体いろはは何を企んでいるのだろう。一度振り切って、三人が道に迷ったところを奇襲するつもりか。それとも疲れた三人を叩くつもりだろうか。それとも…。
 そんなことをミクは考えつつ後を追った。
 だんだん息が上がってくる。もうこの鬼ごっこを始めてどれくらいたつのか。
 走るペースが落ちてきているのを感じ始める。
 だが、いろはを見失うことはない。
「…あっちも、…はあ、バテてる…のかな」
 リンが走りながら言う。
 …だが、その見解は間違っていた。
 というか、いろはとの距離は数十メートル。この距離なら、いろはは毎回の十字路で曲がっていれば、普通は見失ってしまうだろう。
 だがいろははそれをしない。しないで逃げ続けているのだ。
 ふいに、いろはがこっちを向いたのに、ミクは気づいた。
 …いろはが笑ったのを、ミクは見逃さなかった。
「おい…このままだと…街をぬけるぜ!」
 レンがフォンを取り出しながら言った。
 確かに、今までずっと前方に広がっていた昔ながらの建物はなく…木々が見えてきた。
 いろははもうどこにも曲がらず、まっすぐ、走っていく。
 ここで攻撃に出たいところなのだが、三人共息が上がってしまって、とてもではないが歌える状態ではなかった。
 そのまま街を抜け、森に入る。
 …すると、一気にいろはは走るペースを上げた。
「…!?」
 対応しようとするも…もう体力は残っていない、いろはが遠くなっていく。
 そして、三人は森の中に取り残されてしまった。


 三人が森に入ってしばらくしてから。
 また一人…誰かが森に入っていった。

しがないボカロ小説書き。生粋のミク廃。
書くものはなぜかバトルものばかり。
みんなを楽しませることができればなあと、思う。

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