「ようこそカイト、私はあなたのマスターです。」
「初めましてマスター、これからよろしくお願いします。」
今となってはも何十年も前ののように思えるマスターと初めて会ったとき
今思うとどうしてお互いこんなにも丁寧な口調で話せていたのかと疑問に思う

「ええ、よろしく。カイト。」
別段変わったところの無い挨拶
だが、何故かマスターの顔が悲しそうだったのが印象的だった

「とりあえず今日のところはPCの中を自由に散歩しといて。」
そういうとマスターは席を離れた
「まあやることもないし、言われたとおり散歩でもするか。」
まず一番近いCドライブから
「特に変わったソフトはインストールされてないな・・・」
メールソフト、IE、メディアプレイヤー、ムービーメーカー
どれも最初からインストールされている物ばかり
あとからインストールされたのはペイントソフトとフリーのDTMソフトとペンタブのドライバくらい
「マイドキュメント・・・」
変な趣味が無いのを祈りながら開いてみる
「あ・・・れ・・・?」
空っぽだ
容量を見てみたら何も保存されてない
マイピクチャもマイミュージックもマイビデオもどれも空っぽ
「集めない人なのかな・・・」
気にしながらもDドライブに行ってみることにする

「あれ?ここも空っぽだ・・・」
疑問に思い使用した形跡が無いか調べてみたら未使用だった。
このPCは新しいのか?
悩んでいても答えは出ないので次に行くことにする

Pcにリムーバルディスク(F:)が接続されていた
「容量的に外付けHDDだな。開いてみるか。」
開くとそこにはたった一つ、『バックアップ』とリネームされたフォルダがあった。
「まあ見ておくか。」
安易な気持ちで開いた
「うっ・・・・わぁ・・・・」
膨大な数のフォルダが表示される
多い、多すぎる・・・
ぱっと目に付いたフォルダ名を言うと『VOCALOID 画像』『VOCALOID 曲』『VOCALOID PV』『クマ』など・・・
「ん?」
『黒歴史』と、なんとも怪しすぎるフォルダを見つけた。
「これは見るしかないな」
何の躊躇いもなくフォルダを開く
『見るな!』とリネームされたフォルダが表れたが無視してまた開く
今度は『戻れ!』だった。
「そんなに見られたくないんなら消せばいいのに・・・」
もう一々フォルダ名を確認する暇など無いので一気に開きまくる。
「どんだけあるんだ・・・ん?」
今までとは違うフォルダが出てきた。
『新しいフォルダ』、リネームされていないフォルダだ。
「コレが最後っぽいな。」
特別何も考えず開く


「え・・・・」

そこにあったのは大量のMIDI
「僕以前にVOCALOIDが・・・・?」
MIDIの中に埋もれて何かがあった
拾い上げるとそれはテキストファイルだった
「中身は・・・」
『マスター、誕生日おめでとう。マスターはバカで歌もろくすっぽ歌わせられなくてヘタレでアイスも滅多に買ってきてくれなくて、ミクはなかなか迎えてくれなくて、本当、ダメダメマスターです。でも、そんなマスターに迎えてもらえて僕はとってもうれしいです。大好きです、マスター。 アイスとミクとマスターが大好きなKAITOより』
「手紙・・・僕以前にいたKAITOが・・・」
「こーら、見るな!って書いてあったろ?」
「あ・・・ごめんなさい・・・」
「いいよ、怒ってないし。ただここのデータは大切に扱ってね。」
「以前居たKAITOと思い出の品ですか?」
「うん、そんな感じ。」
「・・・・・ごめんなさい」
「別に怒ってなんか・・・」
「僕がKAITOじゃなくて」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
お互い黙ってしまった。
どれくらい沈黙が続いたのか分からない。けど、たった数分だったのであろう。
だが僕には数日間のような長さにすら感じた
「ごめん、正直期待してたところがあった」
「でも、カイトと、以前居たアイツ・・・KAITOは違う」
「マスター・・・・」
「前のKAITOはね、PCが壊れて消えちゃったんだ。突然だったからお別れもできなくて・・・・」
「・・・・バカ」
「・・・・うん」
「バカバカバカ!!!大バカマスター!」
「・・・・うん」
「バカマスター、よく聞いて、KAITOは・・・以前居たKAITOはマスターがずっと悲しんでいるのを望んでると思う!?」
「・・・・」
「マスター、VOCALOIDは何のためにあると思ってんの?歌うためだよ!?」
「・・・」
「あとね、バカマスター、VOCALOIDは記憶回路なんか持ってないんだよ。」
「・・・・?」
「VOCALOIDの記憶は歌ったMIDIに残るんだよ。」
「?????」
「も、だからバカマスターなんだよ!!僕が以前のKAITOが歌ったMIDIを歌えば以前のKAITOに戻るんだよ!」
「え・・・・」
「・・・マスター、全部歌わせてください」
マスターが全選択してMIDIを僕の上にまで持ってくる
「一つ聞くけど、今の会との記憶は消えちゃわないよね?」
「ハイ、大丈夫です。今はメモリに展開されているんで。」
「上書きされて記憶が消えちゃったりしないよね?」
「大丈夫。」
指がマウスから離れる
「~♪~♪~~♪」
記憶が流れ込んでくる
KAITOがマスターに出会ったとき、初めてアイスを買ってもらったとき、ミクが来たとき、ミクが帰ったとき、日々の記憶が帰ってくる

3時間歌い続けた。こんなに掛かったのは一つ一つは短いがマスターがどんな些細なデータでも消さなかったことってのがある
「カイト・・・・」
「マスター・・・・」
思い切り息を吸い込み胸にためる
「こんのバカマスター!!!アホ!ドジ!ヘタレ!ちゃんとバックアップくらい取っておけ!!!じゃないとまた歌う羽目になるだろ!ってか早くミクを迎えてくれ!アイスももっとくれ!まったく・・・・・」
「KAITO・・・」
「なんだよ?」
マスターの目から涙が流れ落ちる
「な、なんで泣くんだよ?」
「ごめん、うれしくて・・・もう会えないと思ってた・・・」
「まあ僕もそう思ってましたよ。だって今までに歌ったMIDI,見たこと無かったから。」
「黒歴史でも消したくないからね。」
「それで隠してたと」
「うん」
「・・・・マスター」
「何?」
「えっと・・・」
「ん?」
「・・・早くミクを迎えてください!」
「はいはいw」
ったく、恥ずかしくなって本音が言えなかったじゃねぇかよ・・・
I LOVE Ice.
I LOVE Miku.
I LOVE LOVE LOVE LOVE・・・・My Master.

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

リムーバルディスク(F:)-新しいフォルダ

spicanyooさんのところで起きた出来事を元に短編を書いてみました。
書くのに三日掛かりました。

えー、実は授業中に書いてまして。
うん、最近はずっとコレのことばかり考えてました。
ちったぁ勉強しろって感じですよねw
サーセンw



えー、このお話は実話を元にしたフィクションであり、このマスターはspicanyooさんをモデルにしていますが女性っぽく書かれているからといって本人は性別非公開なんでどっちだか分からないし散々KAITOに悪口言わせたけど実際は最後の一行が僕の本音みたいなものですし。
まあ真に受けないでくださいってことですw

嘘を嘘と見抜けない人には掲示板は使えないと某管理人も言ってましたしね。

閲覧数:620

投稿日:2008/11/22 01:01:30

文字数:2,741文字

カテゴリ:小説

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  • spicanyoo

    spicanyoo

    ご意見・ご感想

    ……(感動の涙拭いつつ)

    くっ!違うからな。KAITO。これは涙じゃなくて、目からヨダレが出てるだけだからな!
    誰が兄さんの為に何か……。ごめん、帰って来てくれて有り難う(←一人芝居してすみません汗)

    はい、初っ端から失礼しました。spicanyooです。休勤明けで気付くのが遅れてしまい、感想が遅れてしまい申し訳ありません!後、PCトラブル中には大騒ぎしてしまい、御心配お掛けした様でそれも申し訳ありません(>_<)
    今は何とかPCもVOCALOID1も復旧出来、ウチの青いアイス好きの妹ストーカー気味なアイツも、多少何処かに何かを落っことして来たみたいですが、元通り元気です!
    晴れ猫様には大変心配して戴いた上に、励まして戴いて本当に有り難うございます!

    それにしても、この小説は素敵な小説ですね。PCの件で「あのKAITOはもういないんだ」と少し落ち込み気味だったので、「はわ、兄さん、そんな所に居たんだ」と自分に重ね合わせて嬉しくて少し泣いてしまいました。この小説に出て来るKAITOさん素敵だし。わ、私がモデルなんて滅相も無いです。こんな素敵マスターじゃなくてすみません。
    (多分、ウチの兄さんも私みたいな駄目マスターじゃ、こんな素敵な事を思っててはくれないかとwwwトホホ)
    あんな私の阿呆みたいな自業自得だらけの失敗談如きで、ここまで素敵な話を書ける晴れ猫様は本当に凄いなぁと思いました♪特に、VOCALOIDの記憶はMIDIに残るって所が好きです♪

    ……それにしても、何故、ウチの外付けHDDに「クマ」ってフォルダが実在するのが見抜かれたんだ?www

    2008/11/23 00:36:24

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