【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#03】

投稿日:2009/09/01 21:29:32 | 文字数:3,635文字 | 閲覧数:254 | カテゴリ:小説

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今回は思い出話を書こうという話で、この時のメールは本当にやばかった。
思い出話というだけでたくさん出てくるんですよね。
思えばこの辺りからメールの方向を間違った気がする。全ては自分の責任。

思い出話をそのまま語るよりもドラマとかの回想シーンなのかなと思っていただけるとありがたいです。
そのつもりで書いていたのですが・・・微妙でしょうか・・・。
未だに文章書くのが苦手で困ります。
いろいろと浮かぶのですがそれを文章にするのは・・・途中で放り出したくなります。

毎回のことですが、つんばるさんが書いている紅猫編も是非ともご覧ください。

+++

「紅猫編」を書いているコラボ主犯
つんばるさんのページはこちら → http://piapro.jp/thmbal

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TEXT
 

!!!Attention!!!
この度、ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、コラボ(二人)で書くことになりました。
自分が書く「青犬編」とつんばるさんの書く「紅猫編」に分かれております。
原作者様には全く関係なく、そして勝手な解釈もいいところで、捏造だろうと思われる部分もあると思います。
そういった解釈が苦手な方はブラウザバック推奨。
なお、カイメイ要素を含みますので、その点にもご注意ください。

大丈夫だよ!寧ろバッチ来い!の方はスクロールで本編へどうぞ。








【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#03】





 めいこの話をすると言ったはいいが、どうしようかと一度開いた口を噤んだ。話せないようなことしかないというわけでは決してなく、どこから喋ってどこで切り上げるべきか丁度良いところが思いつかなかったからだ。
 最初から喋り出したら最後まで止まれなくなりそうだし、かと言って掻い摘んで話をするとめいこの魅力を半減させてしまうようで気が引ける。妥協策も思いつかない。
「あんちゃんあんちゃん、」
「考えてないで早く話してよっ」
 うーんと唸っていると、レンくんとリンちゃんがその考えを中断させた。まとまらない思考を余計にかき回された気分だが、確かに二人はこれ以上我慢はできない様子だ。もし話すとすれば・・・やはり掻い摘んで話すべきなのだろう。二人が途中で飽きないようにするためにも。
 一呼吸置いて、俺は口を開いた。妥協もたまには必要だ。
「――文通相手のめいことは、家が近くていつの間にか一緒にいた。彼女の両親はとても厳しかったんだけど・・・その頃は厳しいということしか知らなかったんだ。家柄とか、そんなものは知らなかった」

 いつまでも一緒に手を繋いで話して、笑っていられるものだとばかり思っていた。
 だが、それも長くは続かない。大人たちから見れば、それは幼い頃限定の仲だったに違いない・・・だからこそ、どこか許容していた部分もあったと思う。俺がいつか真実を知れば諦めると、そう思っていたんだろう。
 ところが、俺はそうじゃなかった。年を一緒に重ねていくにつれて周りのことが見えてきたら、手を繋げる距離にいるはずのめいこが、とても遠い存在だったということに気付いたのは確かだ・・・住んでいる世界が違うとも思った・・・が、その時俺が選んだのは、めいこの手を取ってそこから逃げ出すことだった。ただ、めいこにはそう伝えずいつものように手を引いたから、彼女はそう思ってはいなかっただろうが・・・俺は、本気だった。

「え、駆け落ちじゃん!」
「既に駆け落ち!」
 今にも「じゃあ何で今はめいこさんと一緒じゃないの?」と聞きそうな双子に「まぁまぁ」と声をかけて、記憶の中にあるその出来事を引っ張り出す。
 あの頃の記憶の中の俺たちは、笑ってばかりでいつでも幸せだったのだと思えて自然と口元が綻んだ。もちろん、楽しいばかりではなかったのだが。

「かいと、どこにいくの?」
 俺に会うためにいつもわざわざめかしこんで来たんじゃないだろうか・・・と思えるような彼女の姿は、その日は一段と可愛かった。白地に薄桃色の桜が散りばめられた着物・・・帯は彼女の中の熱を示すかのような深紅・・・髪には赤い花飾りが一つ、しゃらしゃらと揺れている。いつもとは違って小走りだったから、余計に揺れていたんだろう。
 女性は着る物や髪飾りなどで随分印象が変わるというが、まさにその通りだと思ったものだった。
 どこ、と聞かれても目的地がすぐには思いつかず、ただ俺は笑ってこう返した。
「きれいなところ」
 この周辺を離れたことのない俺の頭の中に描かれていたのは、とても美しい場所を二人で・・・そう、手を繋いで笑いながら歩いている・・・そんな未来だった。大好きな彼女と、これでいつまでも誰にも邪魔されずに一緒にいられるんだと思っていた。
「ねぇ、かいと、みんなのこえがとおくなっていくわ」
「うん、わかってる。でも、まだもうすこしかかるんだ」
 そんな嘘を何度繰り返しただろう。彼女の表情には少し陰りが出ていたが、見えないふりをした。おそらく、家の人以外と遠出するのは初めてだったに違いない。相手が例えどんなに好きな相手だったとしても、今までの普通が変わってしまう瞬間というのは怖いものだ。
 あの時の俺は、彼女は俺のことを好きでいてくれていると絶対の自信を持って言えたから、そんな考えなんて頭の片隅にもなかったように思う。俺がここから離れて二人でいたいと思っているから、彼女だってそう思っているに違いない。根拠もない自信に突き動かされていた。
 俺たちを追いかけていたはずの女中さんの足音はもう全く聞こえないし、その声も微かに聞こえる程度だ。相変わらず彼女は不安げな顔をしていたが、俺を拒絶するようなことはなかったから、このまま逃げ切れると思っていた。

 話しながらちらっと二人の方を見ると、もう既に口を挿む時間すら惜しいようで、真剣な眼差しをこっちへと向けている。それはそれで喋りにくいのだが、一つ長い息を吐き出して気を取り直した。

 随分遠くまできたと言っても、その頃の基準での話であってそれほど遠くはなかった。小走りだったにも関わらず、それほど疲れてはいなかったのだが、突然俺に手を引かれていためいこが何かにつまずいたのだ。
「あっ・・・!」
 声に反応して振り返ったところに、ちょうど倒れかかっためいこが飛び込んできて抱きとめる。
 小石が転がっているからそれにつまずいたのだろうと思っていたのだが、めいこは体を起こしながら足に違和感があったようで真下を見つめた。俺も何気なくそっちに視線を向けると、そこには無残に鼻緒の切れた草履。
「だいじょうぶ?」
「う、うん・・・でも、これじゃ・・・」
 ケガはないみたいだが、彼女の草履は既に使い物になりそうにない。このまま裸足で行くこともできないし、いつ見つかるとも知れないから俺はその場にしゃがみ込んでめいこに背を向けた。
「・・・なあに?」
「おぶったげるから、ぞうりもってて」
 だめだよ、わるいよ、なんて繰り返すめいこを半ば強引に背負って俺は立ち上がる。
 大人の足と言うのは速いもので、声が確実に近付いてきているのがわかった。
 めいこを負ぶって狭い路地に入ると、そこにあった木の箱の上にめいこを座らせて、自分はその手から草履を受け取る。見事に鼻緒が切れてしまっているが、直せないわけじゃない。俺は自分が持っていた小さな布キレを必要な分だけちぎって草履を直しにかかる。めいこが「もったいないよ」とか「そんなことしなくてもだいじょうぶだよ」と声を上げたが、聞かないふりをして黙々とできるだけ手早く直した。
 赤い鼻緒に薄汚れた水色の布は目立ったが、直した草履をめいこの足元に置いてやると、彼女は「ありがとう」とお礼を言ってくれた。それがすごく嬉しかったのを今でもよく覚えている。

「・・・もしかして」
「その後追っ手に捕まった?」
 黙っていた二人がぴんときた様子で口々にそう言った。俺は小さく頷いて二人に応える。
「女中さんがね、暫くしてから追いついてきて・・・結局駄目だった」
 何もしてあげられずに、かえって彼女には悪いことをした気がする。
 お気に入りの草履だっただろうし、お気に入りの着物だっただろう。俺があの日逃げようなんて思わなければ、彼女はお気に入りの草履を壊すことはなかったし、お気に入りの着物を汚すこともなかったのに。
「あんちゃんさ」
「後悔した?その時」
 二人が同時に不安そうな目を俺に向ける。そうであってほしくないってことなのだろう。
 俺は、頭を下げたまま話を聞いているらしいしぐれの頭を撫でながら、一つ息をついた。
「後悔したよ、すごく」
 かえってめいこを不安にさせたし、それから暫く彼女は外に出してもらえなかった。毎日のようにめいこの家の前に立っていたが、結局めいこは現れずに毎日同じように後悔ばかりしていた。
 双子の目が悲しげに伏せられるのを見ながら、俺はしぐれから手を離して二人の頭を撫でてやる。二人は顔を上げて、「ごめん」「にぃにぃ、ごめん」と謝罪の言葉を口にした。
「別に悲しい思い出じゃないよ。彼女はどうか知らないけど、俺は楽しかったし」
 だから大丈夫、と言うと双子は顔を見合わせてからにこりと笑った。二人でもう違う話に夢中になっている。
 もしも・・・もしも今不安になることがあるとするならば、やはり俺たちの関係だろうか。俺たちの関係は、大人の都合でいつでも簡単に引き裂かれてしまう危ういものなのだ。

 もしかしたらその魔の手はもう、固く繋いでいるはずの俺とめいこの手を引き離そうと伸ばされているのかもしれない。




思いついたことをマイペースに書いていけたらいいなぁと思っている暇人。



2012
~1/ 3  ツギハギだらけの今(完結・全9話+α)

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作品へのコメント2

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    その他

    >>桜宮様
    お久しぶりです!桜宮様!
    あんちゃん!にぃにぃ!(笑 気に入っていただけて本望です。半分はつんばるさんの考えですよ。
    かいとはとても思い出を大切にしてるだろうと思うのです。
    そういう風に伝わってると良いなぁと思っていて・・・そう言っていただけるとありがたいです。
    「私もこれくらいの表現力が~」・・・・・・何を仰るうさぎさん!← 自分は桜宮様の表現力が欲しい!
    この話の双子はひたすら可愛くがモットーです。
    また出てくるかどうかわかりませんが、出てきたら愛でてやってくd(ry
    続きも頑張ります!応援ありがとうございました。

    2009/08/11 21:57:37 From  +KK

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    ご意見・感想

    あんちゃん!にぃにぃ!

    …すみません、久しぶりでテンション上がりすぎました、桜宮です。
    紅猫編も青犬編も、一本で読んでいてもによによしますが…二本合わせて読むとさらに半端ないです!
    兄さんの、駆け落ち(笑)の思い出に対する想いが、すごく伝わってくるようで…いいなぁ、私もこれくらいの表現力がほしい…!
    そして双子が可愛いです!子供って可愛いなぁ…!

    続きも楽しみにしてます!
    これからも頑張って下さい!
    では。

    2009/08/11 21:13:20 From  桜宮 小春

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