月のない夜にこっそり届いた招待状
封を開けると大きな文字で
「きもだめしにおいで」だって
ちょっと面白そうだから行こうかな

目的地まで歩くうちに思いだした
あの森には優しい動物さんばかりで
肝試しのおばけなんて出来るのかな
なんだか心配になってきたなぁ

暗い森に辿り着くと矢印の立て看板
「きょうふのもりはあちらです☆」
最後の星マークで可愛くなってる
文字もひらがなで丸文字なんだけど

そのまま進んで行くとあきらかに
急ごしらえが半端ない井戸が見える
「ひゅーどろどろ」って口で言ってる
仕方がないのでズンズン近づいていく

「おばけだぞー」ってシーツ被った誰か
井戸を深く掘りすぎて顔が上半分だけ
しかも中身の誰かは楽しそうに笑ってる
傷つけないようにやんわりと怖がってみる

シルエットで大体分かってたけど
中にいたのはクマさんだった可愛い
本当なら井戸からクマさんが出た方が
おばけよりも怖いと思ったけど言わない

何も言わないのに案内役をするクマさん
そして何故か私よりも怖がっている不思議
暗い道を歩いていると急に木造のトイレ
周りに作った時の釘とか木片とかあるけど

怖がるクマさんを無視しておもむろに開ける
「花子さんだよー」自分で言っちゃうんだ
腰の抜けたクマさんをよそに凝視すると
おかっぱ風にしたウサギさんだった可愛い

トイレに引きずり込まないのか聞いたら
「水道ないから無理」そりゃそうだよね
トイレを出るとただのおかっぱのウサギさん
そしてウサギさんも何故か付いてくることに

だんだん道が荒れてけもの道になってくる
でも歩いてる半分以上はけものだからいいか
急に枝で作った鳥居のようなのが見える
その後ろの切り株には真っ赤に目を光らせた

疲れ果てたキツネさんが一匹いました
「昨日の晩から待ってたよ」って早すぎるよ
何が恐ろしいってキツネさんは無防備なんだ
「このままで良いからって…」少し寂しそう

別に怖くなかったし可愛いから大丈夫って
慰めてあげると気分も持ち直したようだった
そのまま置いとくのも可哀想だから
結局ついてきてもらうことになりました

まだ他に誰かいるのかみんなに聞いても
「わからない」の大合唱だ困ったなぁ
川べりに出ると「この先こわい」の看板
もはや感想でしかない文字の先に行くと

「こわいこわいこわいこわいこわい」って
妙に低い声が何度も聞こえると思ったら
近づくとカエルさんが鳴いていただけだった
上手い鳴き方だねって褒めたら嬉しそうだった

「この先で終わりだから」とカエルさん情報
震えて泣いて足が竦んで動けないでいる
おばけと花子さんとお稲荷さんは気にせずに
ここまででも面白かったけど最後は何だろう

急に開けた場所に出ると真ん中がぼんやり光る
揺らめく光が点いては消えて消えては灯る
ゆっくりと光が近づいて目の前が黄緑色に
おでこの辺りに留まるヤコウタケ背負う蛍さん

「自分だけじゃ光が弱いからって」と嘆く
蛍さんにきのこ背負わせるのはあまりに酷
お疲れさまときのこを外してお帰り頂く
光るきのこは可愛いから耳にぶら下げとこう

それでこれが今宵の肝試しの全部ですか?
森に聞いたら「そうだよ」の葉擦れのざわめき
はぁまったくなんて可愛く優しい肝試し
怖がってるみんなを落ち着かせて掃除もして

それにしてもなんで私を肝試しに呼ぶのかな
だって生贄にされた女の子の幽霊なのにさ


えへへ☆

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

優しい森の肝試し

肝試しには寒い季節ですね。

閲覧数:73

投稿日:2021/10/14 20:57:33

文字数:1,436文字

カテゴリ:歌詞

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