モカの様子がおかしい。
熱がある。
息も荒い。
とりあえずわかるのは、尋常ではないということ。
泣きじゃくるコウの横で、モカが苦しそうに目を開ける。

「………………ま、す……た…?」

大丈夫か、どうした?
ソファの上にクッションを置き、モカをその上に移動させる。
コウが涙を拭いながらソファに飛び乗ってきた。
ずり落ちそうになりながらもモカの傍まで寄ってくる。

「………………っ……」

モカが何か言いかけた。
顔を覗き込むようにしながら耳をそばだてる。

「…………あつ…い…です…っ…」

途切れる言葉。
熱いというのは熱のせいだろうか。
指先をモカの額に当てる。
モカの平熱を知っているわけではないので基準がわからないが、熱いと感じた。
涙目を浮かべた目を閉じて、縋るように指を掴んでくる。
………っ…こういう時、どうすればいいのだろう。
人と同じような事をしてやればいいのだろうか。
暖かくして、薬を飲んで、眠る。
しかし薬、飲ませていいのか。こいつらにとって人間の薬は、薬なのかわからない。
でもこのまま放っておくなど出来ない。
モカが伸ばしている手はマスターに、絶対的信頼のおける自分に向けられている。
モカが頼れる人間はこの世界で唯一人しかいないのだ。
どうすればいい。どうすれば。

「みー!!」

突如、コウの声で意識がこちらに戻された。
真っ直ぐにコウが睨んでくる。

「み!みーっ」

強く何かを訴える声。
真剣な眼差しに焦っていた心が落ち着いていく。
さっきまで泣いていた姿はどこにもない。
その目はしっかりと、前を見ていた。
…そうだな。
焦るのではなく、落ちかなくては。
落ち着いて最善の策を見つけなくては。

「みっ」

コウがクッションをよじ登り、モカの傍に寄る。
やはり、コウも心配なのだろう。
そんな事を感じながら考える。
どうするのべきなのか。
モカ、他に辛いところは?
囁くように尋ねる。
モカは小さく目を開けて、小さく首を振った。
特にない、という事だろうか。
基本は熱だけらしい。
熱い。そう感じるということは人間ならばかなりの高熱なのではないだろうか。
しかし迂闊に薬を飲ます事は出来ない。
薬が効くという保障が無いのだから。
そこまで考えた時、ドンと鈍い小さな音がした。
振り返る。脱ぎ捨てられた上着があるだけだ。
いつ脱いだのだろう。完全に無意識だ。
先程の音が気になり、上着を拾う。
流石にこれの音では……もしかして、これか?
上着のポケットに入っている、携帯。
脱ぎ捨てた時にこれが床に当たり、音がしたらしい。
…そういえば。
思い至り、電話をかける。
帰り道、登録しておいたおかげでメモを取り出す手間が省けた。
何度か鳴るコール音。
そののち、彼女の声がした。

『もしもし?』

その場で突然の電話に対する謝罪と電話した理由を伝える。
少し悩んだような声が聞こえた後、彼女の返事が返ってきた。

『アイスです!』

………はい?

『熱だけなんですよね?ソレ、種KAITOがたまになるらしいんですけど、特効薬はアイスです』

何故アイスなんだ。
もう少し、詳しく説明して頂けると、ありがたいのだが。

『身体の中に熱が篭っちゃって、体温調整が出来てないです。人間で言う熱射病みたいな感じです』

熱が篭る。熱射病。
という事は体温を下げればいいのだろうか。

『ゴマもなりました。とりあえず私は人間が熱射病になった時と同じ様にして、後はアイス口に突っ込んだんですけど、一日もしたら元気になりましたよ』

彼女の口調からするに、大慌てするような大病ではなく、風邪みたいなものなのだろう。
よくあるような事のようだ。
身体から力が抜ける感じがした。
……よかった…。
一安心だ。
たったこれだけ知っただけなのにここまで安心するとは。
我ながら結構臆病者なのかもしれない。
ありがとう。

『いえいえ、お礼を言われる程の事はしてませんよ。あ、それと……ゴマうっさいっ電話してんだから黙れ!……失礼、それと不安だったら種KAITO植えたのと同じアイスの方がいいかもしれないです』

電話の向こうでごめんなさいと黒ゴマKAITOの声が聞こえた。
何があったのだろう。
そういえば何も考えずに電話してしまったが、普通この時間は夕飯を食べている時間だ。
もしかして、中断させてしまったのかもしれない。
だとしたら相当迷惑をかけてしまったという事になる。
…すまない。

『謝ることなんかないですよー。クロからかってただけですから。また何かあったら遠慮なく』

笑顔なのがわかるぐらい明るい声で彼女は話す。
今度、モカとコウにあってもらいたい。二人の反応が見てみたかった。
もう一度、彼女にお礼を言う。
電話だとわかっているのについ頭を下げていた。
でもそれくらい、感謝していた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

KAITOの種16 前編(亜種注意)

病気ネタが後二個程ある霜降り五葉です。
とりあえず一言。
終わらねえぇぇぇ!!!
終わらないから一旦ここまでで上げる!中途半端とか気にしない!←
ちなみに切れないので前バは諦めました。
ちょ、前編のくせに長すぎるww
後編いつ書き上がるかな…(遠い目)

皆さん、作業用BGMは選ばなきゃ駄目ですよ…。
どうもさっきから集中出来ないので流してるんですが、逆効果でしたwww



本家様のお宅はモモイト君がBGMになってくれそうd(ry
http://piapro.jp/content/?id=aa6z5yee9omge6m2&piapro=f87dbd4232bb0160e0ecdc6345bbf786&guid=on


4月3日 3:18
前回もだが……どうも文庫タグを忘れてしまうwww多分癖だw
自分でつけるって言ったくせにwあほやww
つけて下さってる方、ありがとうございます。
これから先も頼みまs(ダマレ
ファイト!……誰宛てっすかw
マスターなのかモカイトなのかはてまたゴマイトなのか………もしかして自分宛てか?
まぁいいや。全員分まとめてって事で←
ありがとうございます。頑張りますんでもうちょいお待ち下さい。
まだまだ書き終わらないんだぜ………。

4月5日 0:42
アイスは万能薬ですwwもちろん種KAITOに限りですがwww
言っときますけど熱射病じゃないんですからね!熱射病はアイスで治りませんよ!!
そんなことより全っ然書き終わる気配がない件(ぇ
いつになるんだー………。

今更誤字発見\(^O^)/

閲覧数:680

投稿日:2009/04/05 00:42:26

文字数:2,014文字

カテゴリ:小説

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  • 霜降り五葉

    霜降り五葉

    ご意見・ご感想

    f1d0l様
    夏怖いですww
    朝起きたらメルトーとかwww
    気をつけて下さいねっ。
    熱高いんで見てて辛そう(マスター談)ですから。
    ……そうですかー?
    何の捻りもない展開だと思いますがww
    でも嬉しいお言葉、有り難く頂いておきますv
    続き頑張りまーすw

    閲覧&コメントありがとうございました!

    2009/04/09 22:48:12

  • 霜降り五葉

    霜降り五葉

    ご意見・ご感想

    エメル様
    正確にいうと熱射病じゃないんですよーぅ……。
    ここまでくると熱射病にしなきゃいけないみたいな気がしてきましたww
    あ、この病気はアイス食べててもなるようです。突発的ですのでお気をつけ下さいw
    どうなんでしょうねぇ…。でも流石にビビったとは思いますよ。
    どの程度かはわかりませんが、一応心配したと思います。
    ……ツンデレフラグwww
    続き…全然進まなくて涙目ですorz
    今しばらくのお待ちを…っ。

    閲覧&コメントありがとうございました!

    2009/04/05 00:35:20

  • エメル

    エメル

    ご意見・ご感想

    こんにちわ~

    あぁ、モカくんよかった~
    ね、熱射病ですか。体温調節が出来ないって・・・アイスをあげ忘れたりしたらやばいですね。
    うちのショコは大丈夫そうなんで適度にアイスをあげているようです(すごい人事w

    それにしても相談できる人がいてよかったです。ゴマイトマスターさんも最初は焦ったりしたのかな。
    「不安なら同じアイスを」と言ってることからも彼女がゴマイトくんが倒れた時に心配していたのが分かります。
    あぁ見えてもちゃんと大事にしてるんだなぁって思いました。

    はやくモカくんが元気になるといいですね。続き楽しみにしてます~

    2009/04/04 13:01:50

  • 霜降り五葉

    霜降り五葉

    ご意見・ご感想

    モカ氷様
    王道展開で活躍をしてくれましたww
    熱射病みたいな病気ってだけで熱射病じゃないんですが……もう熱射病でいいかな………。
    アイスは熱に弱いって事で熱を上げました。
    多分ほっといたらメルトしまs(ダマレ
    氷菓イトも最初パニックでしたが、頼れる筈のマスターがテンパってるのを見て落ち着いたようです。
    これも成長したから…なんですかねぇ?
    続きがいつ書き上がるのか全くわかりませんが、ちゃんと終わらせますよー。……………多分←

    閲覧&コメントありがとうございました!

    2009/04/01 19:50:36

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