【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#22】

投稿日:2009/11/29 20:49:27 | 文字数:5,935文字 | 閲覧数:215 | カテゴリ:小説

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かいとくんセクハラのターン。
あ、でも、「そんなつもりなかったんです・・・」ってかいとくんが言ってた!←
セクハラは犯罪です。してはいけまs・・・とか言ってる場合ではない。
っていうか、そこよりもピックアップしなければならないことが起こってるじゃないか!
がっくんvsかいとくん!
ついにやってきましたって感じだったのに普通にスルーとか(笑
見事に話かみ合ってないってことにかいとくんは気付いてないよ!
うん、わかってる、かいとくんはそういう子!!

さてさて、ではそんな頭悪そうなかいとくんにセクハラうけちゃっためーちゃんは紅猫編で!

+++

「紅猫編」を書いているコラボ主犯
つんばるさんのページはこちら → http://piapro.jp/thmbal

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TEXT
 

!!!Attention!!!
この度、ボス走らず急いで歩いてきて僕らを助けてPの「野良犬疾走日和」を、コラボ(二人)で書くことになりました。
自分が書く「青犬編」とつんばるさんの書く「紅猫編」に分かれております。
原作者様には全く関係なく、そして勝手な解釈もいいところで、捏造だろうと思われる部分もあると思います。
そういった解釈が苦手な方はブラウザバック推奨。
なお、カイメイ要素を含みますので、その点にもご注意ください。

大丈夫だよ!寧ろバッチ来い!の方はスクロールで本編へどうぞ。








【独自解釈】 野良犬疾走日和 【青犬編#22】





 男の声が、確かにめいこの名前を呼び、めいこが盛大に舌打ちするのが聞こえてくる。めいこに視線を移してみれば、その表情は忌々しげに歪んでいた。今にも指の爪でも噛みそうな表情のまま、めいこが「ばれた・・・!」と口にする。このまま声をかけずに放っておけば、ぼやき続けそうにも思えたのだが、頭に浮かんできた疑問はすぐに口をついて出てきた。
「ばれたって、何が?」
 そう言った瞬間、めいこの視線が鋭く突き刺さって俺がわけもわからず目をぱちくりさせると、何を思ったのかめいこのその表情が少し和らいで、小さく口を開く。
 この苛立ち具合はさっきの声の主と関係があるのだろうか。いや・・・なければここまで苛立つ必要などないか。
「さっきの車、あれ、私の婚約者だったのよ!」
 その言葉に「ああ、あれが」と妙に納得しながら振り返ろうとすれば、「見なくていいわよ、目が腐る!」と、とんでもなくきつい言葉が飛んできた。目が腐る、なんて言葉をめいこの口から聞く日がくるとは思わず、ついきょとんとしてしまうが、同時にめいこにそこまで言わせる男とは一体どんな男だろうと好奇心が膨らむ。めいこは余程のことがない限り、ここまで忌々しげな表情を浮かべる人でないことを、俺が一番よく知っているからだ。
 めいこは苛立たしげに走る速度を上げ、俺を先導するかのように前を走る。
「ほんとあの男、うっとうしいのなんのって・・・」
 文句を言いながらも、その足は動き続けている。めいこの言葉に苦笑しながら、ふと以前言っていためいこの言葉を思い出した。鬱陶しい、なんて言っていただろうか・・・いや、違っていたはずだ。
「・・・この間は『優しくていいひとだ』って言ってなかった?」
 浮かんだ疑問をそのまま吐き出せば、キッと鋭い眼光で射抜かれる。めいこは息を少し乱しながらも、前方に視線を向けて苛立たしげに口を開いた。
「あんなのウソにきまってるでしょ! 頼みもしないのに式衣装の直しはさせるわ、行きたくもない芝居に連れ出すわ、なにかと気どったいけすかない奴よ!」
 口を挿まなければいくらでも悪口が出てきそうなめいこの様子に、俺は思わず吹き出して笑っていた。まさかめいこがこんなに人の悪口を言うとは思わなかった。今にも地団太を踏みそう・・・というか、放っておいたら本当にいつまでも文句――今まで言えなかった分もあるだろうから尚のことだろう――を言っていただろうし、その彼がすぐ目の前に現れたら一発ぐらい殴っていそうな勢いに思える。
 苛々しているらしいめいこは大笑いしている俺をひと睨みし、「笑いごとじゃないわよ!」と声を荒げた。それはわかっているが、あまりにも面白かったのだから仕方ない。
「だってめいこにそこまで言わせるって・・・! あははっ、お腹痛い」
 本当に痛くなってきたお腹を支えるように手で押さえて、それでもめいこの走る速度に合わせて走り続ける。
 後ろから俄かに車の走り出す音が聞こえてきて、めいこに聞こえないように舌打ちした。
 あと少し走れば曲がり角。そこまで走ったら、細い道へ入ることができる。
「めいこ、もう少しだけ速度上げれる?」
「っ・・・大丈夫よ」
 苦しそうだが、俺が少し速度を上げて横に並ぶと、必死でついてこようとはしていた。しかし、速度が上がりきらずに少し遅れ気味になっている。本人も口惜しく思っていることだろう。
 やはり抱きかかえて走るべきだった。そんなことを今更考えても、今から抱きかかえる暇などないだろうし、抱きかかえる間に追いつかれてしまっては意味がない。
 苦しそうなめいこの手を取り、めいこが転ばない程度に速度を上げて、徐々に近付いてくる車の音に急かされながら細い路地へと飛び込むように入っていく。
 馬が二の足を踏むように止まったのを一瞥し、走る速度を少しばかり緩めた。すっかり息が上がってしまっためいこは、それでも疲れた素振りを見せまいとするように、表情だけは強がっているように見える。とりあえずはその疲れの原因にもなっている焦りを拭うのが先決だろうか。
「め・・・」

「めいこっ!」

 めいこ、もう大丈夫だよ、と言いかけた口はその声によって遮られてしまった。明らかに俺のものでもめいこのものでもない足音が追ってくる。振り返れば、藤紫色の長い髪を一つにまとめた長身の男が俺たちの後を追ってきていた。
 「げ」と手を繋いだまま俺の斜め後ろを走っていためいこが心底嫌そうに顔を歪める。しつこい男ね、とその表情はとても忌々しげな様子だ。
「ちょ、なにっ!?」
「いいから曲がって!」
 後ろから追ってくる男・・・めいこのお相手は俺たちにも負けない速度で迫ってくる。それを回避するためには、俺の頭の中に叩き込んである女中さんがわざわざ書いてくれたこの辺りの図面が役に立つはずだ。一番狭くて入り組んだ道をどうにか抜ければ、目的地につくまでに振り切れる。これは、最初から全て上手くいくとは思っていなかったるかさんと女中さん二人の策だ。『めいこのお相手の殿方やご両親が追ってくるかもしれません。心積もりだけしておいた方がいいと思いますわ』とるかさんは言っていたが・・・。
(それにしても、本当にこうなってしまうとなると・・・しかも思ったよりも若い人だから走るの速いし・・・)
 親に決められた相手であるということ、そして・・・このめいこを丸め込めるような人とくればもっと年上なのだろうと思っていたのだが、まさかこんなに若いとは・・・計算違いだ。もしもの時のために、るかさんや女中さんは彼についての対策は練っていたようだが、彼についての詳しい説明はしてくれなかった。若いことも、足が速いことも。そんなことを今更考えるのは無駄なことだが。
 後ろから聞こえる足音で相手の位置と場所を計算しながら、何とか撒けるように入り組んだ細い道を何度も曲がる。めいこは俺についてくるのに精一杯のようで、時折俺に声をかけようとしているが、それを優しく聞き返すなんて余裕は俺にもない。追ってくる足音は徐々に遠ざかっているようだったが、まだ追ってこれる距離を走っている。
(・・・こうなったら・・・乱暴だけどやるしかない、か)
 ちょうど目の前に見えたのは、積み上げてある木製の箱。跳躍すれば屋根に上ることもできなくはない。今なら、めいこを抱きかかえてもすぐに追いつかれるということはないだろう。幸い、足音は逸れた。
「めいこ、静かにしててね」
「な、なにっ・・・!?」
 困惑した反応を返してくるめいこを抱き上げ、大声を上げそうになっためいこの口を軽く塞いでそのまま箱を土台に屋根へと上る。まさか屋根に上って自分で修理していたのがこんなところで役に立つなんて思わなかった。
 俺はめいこの口から手を取ると、「小さくなって」と小声でめいこに伝えて自らも姿勢を低くする。
 走っている足音が左側から聞こえて、俺はめいこの身体を引き寄せてやり過ごそうとしたのだが・・・そうはいかなかった。
「ひゃ・・・っ!」
「め、めーちゃんっ!」
 めいこの口から零れた悲鳴は彼の耳にも入ったようで、すぐに「めいこ!」と声が上がる。思わず「まずい!」と声を上げた俺は、めいこを抱えて男が追ってくる反対側から屋根を飛び降り、とりあえずめいこを解放して走り出した・・・のだが、何故かめいこにわき腹を殴られた。
 地味に、痛い。
 声こそ出なかったが、じんわりと痛みが広がる。何事だと横を見ると、めいこが真っ赤な顔をして俺を睨んでいた。
「何・・・」
「かいとのばかっ! どこ触ってんのよ!!」
 え、と思わず屋根の上でめいこを引き寄せた時のことを思い出すが、無我夢中で引き寄せなければと思っただけで、どこを触ったかなんて覚えていない。いや、そういえば何だかやわらかかったような気がするけど・・・もしかしたら触ってはいけないところを触ってしまったのかもしれないけど・・・今はそれよりも後ろから追ってくる男をはやくまかなければ。
「そ、そんなこと気にしてる場合じゃ・・・!」
「そんなこと!?」
 ・・・と言われても・・・というか俺、どこ触ったんだ。おしいことしたな、何で覚えてな・・・・・・とかそういう問題でもないだろ、俺。
「二度も変なとこ触っておいてっ・・・!」
 振りかぶって思い切りよく振り下ろされためいこの腕を受け止め、とにかく逃げるためにそのままめいこの腕を引いた・・・のだが――

「めいこ、逃げられると本気で思っているのかい?」

 穏やかなその声は、その穏やかさにはそぐわないような絶対的な静止を感じさせる強い意思が垣間見える。それでも構わず速度を上げて振り切ろうとしたのだが、不意にめいこに手を振り払われた。
 勢い余って数歩踏み出してから立ち止まって振り返ると、男の隣でめいこが俯いたまま立ち止まっている。穏やかな笑みを浮かべている男は、その様子で勝利を確信したかのように思えた。
「めいこ?」
 不安に声が揺らぐ。表情が見えないせいで、嫌な予感に押しつぶされそうな気がした。今まで連れ出そうとして連れ出せた例がなかったから、余計にそう思うのかもしれない。
 何かを悩むように・・・いや、もしかすると絶望に打ちひしがれているのかもしれないが、黙りこくっているめいこにゆっくりと歩み寄る。必然的に男との距離も狭まった。
「ようやく降参かな? どこの出かは知らないが・・・君がめいこを養っていけるとでも?」
 余裕綽々と言った笑みを浮かべて俺を見つめている男とは対照的に、俺はめいこをはさんですぐそこにいる男を睨みつけた。
 余裕なんてもうない。でも、自信ならあった。
「幸せにする自信はありますよ」
「自信だけでどうにかなるとでも思ってるのかな? 世の中そんなに甘いものではないよ」
 義務的とも言うような言葉は、それ以上の正解などないかのような言葉だったが、俺が聞く限り、それはただ決まっていることを述べただけにすぎなかった。心の底から思っていることではないような印象があるのは、これが本人たちの意思などほとんど関係のない縁談だったからだろう。
「もう決まりきったことなんだよ。君が入る隙などどこにもない」
 めいこはびくりと肩を揺らした。どこかでそのことを認めているからだろうか。
「あなたの言葉には気持ちがない。あなたがめいこを幸せにするなんて、できるわけがない!」
 ぎゅっとめいこの手を握って自分の後ろに隠すようにすると、男は笑みを浮かべたままで「幼稚だね」と呟いた。
「わかっているんだろう、君も。自分の思い通りにいくことばかりが人生ではない。多少自分の心にそぐわないことでも、受け入れなければならないことがある。君の言っていることは夢幻にすぎない」
 それはまるで、俺の抱いている気持ちすらも否定するような響き。確かに子どもをたしなめるような声色だというのに、その響きには容赦がない。
「互いの気持ちを無視した結婚なんて、何の意味も持たないっ!」
 口先だけの言葉で、互いの気持ちを無視した結婚なんかで、幸せになれるわけがない。強い意思を込めて男を見据えた。
「君は、この縁談に与えられた意味がわかっていないようだ。企業にとっては、こういった縁談が毒にも薬にもなるのだよ」
 男は淡々と言う。ただ、事実を述べる声色で。
 この人には、心というものがないんじゃないかと不意に思った。
「縁談だの金持ちだの家柄だの、俺はそんなことどうでもいい。めいこがお金持ちでも、俺みたいな家の出でも、そんなこと関係ない。俺は、めいこだから好きになったんです」
 好きになっためーちゃんは、とても活発で笑顔の似合う優しくて少し男勝りな部分のある女の子。成長して今は大人の女性だけど、ずっとずっとめいこのことを忘れた日はなかった。大人になったからこそ、めいこがどういった家柄かということも、あの時大人が俺たちを引き裂こうとした理由も理解しているが・・・はじまりは、何も知らない時だったのだ。
「誰かに言われるからとか、家にとって良い条件だからとか・・・そんな理由で決められた相手なんかに、渡せるわけがないんです。俺は、ずっとめいこのことだけを想って生きてきたんです。あなたにこの想いで負けるとは思えない」
 めいこの手に力がこもり、俺の手が更に温もりに包まれる。それは俺の言葉を真剣に聞いていてくれることを意味しているようで、少し安心した。
 男は暫く黙っていたかと思うと、不意に口元を押さえて小さく笑い始める。くつくつと、さもおかしそうに。
 ただ笑っているだけだというのに、何故か不気味さすら感じた。
「所詮、『想い』だけでは届かない現実がある。幾ら想っていても、手放さねばならぬ時がある」
 そうなったら俺が何度でもめいこの手を取って逃げる・・・とは、言えなかった。何故か、口が動かない。その言い分を認めているわけではないのに、気圧されたように口が縫いとめられていた。
「きみは本当になにもわかっていないみたいだが・・・聡明なめいこならばわかっているだろう? 今私から逃げたとしても、咲音の家がどうなることやら」
 その言葉にようやくはっとする。何て卑劣な。
 激昂に喉の奥が熱くなり、否定の言葉を叩きつける――つもりだったが、それは息を飲む音に取って代わる。めいこが、俺の前へ進み出たからだ。
「め、めいこ?」
 躊躇いがちにその名を呼ぶが、めいこの目はまっすぐに男を捉えている。ただ、まっすぐに。
「かいと・・・私・・・」
 そうしてゆっくりと、俺の手を離すか弱い手。

 零れ落ちた大好きな人からの声はどこか曇っていて、振り返らないめいこの考えていることが、俺の頭の中にある最悪の言葉でないことを・・・ただ、願った。




思いついたことをマイペースに書いていけたらいいなぁと思っている暇人。



2012
~1/ 3  ツギハギだらけの今(完結・全9話+α)

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