浴槽。
熱すぎる水
煩いシャワー
落ちる滴
それから それから
足先からそこへ身を落として
目を閉じて 耳を塞いで
その中に沈んでみようか
忘れた呼吸
泡になって消えていく
ラストカウントするよ
3、2、1、
無音。
私はこの水槽の中で独りきり
隔たりは、薄い硝子
溶けだした涙と微かな鼓動
苦しくないよ
いっそ、此の儘
ずっと、此の儘
此の儘で。
浸食。
口を開けたら、肺の奥まで
もしも此処から手を伸ばしたら
誰か 掬い上げてくれるだろうか
耳鳴りがする 頭が痛い
そろそろ、限界。
「さようなら。」
最後、吐き出した気泡は、
その言葉を伝えてくれるかな
嗤い声も、泣き声も、
全部掻き消されてしまう水中で。
(…独り溺れるあたしに、誰か気付いて。)
意識。
ねぇ、もしも、目が覚めたら、
目が覚めたら。
それは全部
夢だったのかもね。
何かが、何もかもが、初めから、全部。
白紙。
今日もシャワーを浴びて
、降り注ぐ水滴の世界。
さぁ息を止めて、目を閉じて。
堂々巡りの始まりだ。
泣き崩れたあたしを包み込む腕なんて最初から無かった。
そんなの、初めから解っていた。
…そうでしょ?
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