顔覗かせる八月に
向日葵は爽やかにはにかんで
透明になった心臓は
未だ四拍子を刻んだまま
瞬間突風を貫いて
三次元体 夏のホログラム
あそこに辿り着くまでの間は
もう一度 君に会いたいんだ
額に白い血が流れていく
水面の僕に姿形はない
三角形今宵も描いて
夜の花弁がそれを邪魔する
太陽が照らした僕を
涼しげな夜が冷ましてく
この街の送電塔を仰いで
「もしも」なんて夏風に告ぐ
この月のない夜から またもう一度
「はじめまして」を
左足の先端から騒ぎ出して
走り出した17個目の夏
縛り付けた呪いで飛び起きた
あの日の君に会いに来たんだ
東方面に向かう電車は
何故か夏の匂いを遠ざけた
離れ離れになってしまうなら
いっそこの身で止めてみせよう
曇天が空を覆っては
鈍く光る水面を横目見た
繁雑とした駅構内に
しがみついて煽る風嘆く
ブルーシートを泳いで
骨折した傘をまだ抱いてる
ずぶ濡れの境内に立ち尽くして
空のサイダーを手に取った
あの被爆地帯の惨劇を もう一度
巻き戻しては
咲き乱れた沢山のポリエステルが
風に舞い上がり塵と化す
窓に残る無数の水滴が
僕らの夏を殺してしまった
西方面に向かう電車を
逃したのはここが終わりだから
離れ離れになってしまうね
君の匂いで意識は薄れていく
走馬灯 枯らした泣き声
逃避行 肌の感触よ
格子状 二人分かつ扉
幽霊になっても 僕は
幽霊になっても 君と
この名前のない日々から またもう一度
「愛している」を
左足の先端から騒ぎ出して
走り出した17個目の夏
縛り付けた呪いはもう解けた
あの日の君に愛を叫んだ
東方面、最終電車は
鈍い光を鋭く切り裂いた
離れ離れはもう飽き飽きだ
きっとこの魂は消えるけど
ずっと君との夏は残しとこう
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4/4 BPM133
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