「お兄様が・・・、クリピアの王女に求婚・・・」

届いたばかりの知らせを、ミクは緩慢に繰り返した。
簡単なはずの音の羅列が上滑りして、まるで頭の中に入ってこない。
全身をすっぽりと薄い膜に覆われて、周りの全てが遮断されてしまったかのようだ。
目の前で安堵に沸く閣僚達の姿さえ、ひどく遠い景色に思える。

「君の兄上は何を考えているんだ?まさか本気で三国の和平を望んでいるわけではないだろう」

ミクの隣、難しい顔で考え込むレオンが問いかけた。

「わからないわ・・・」

ミクは緩く首を振った。

「・・・わからない」
「ミク?」

いつになく鈍い反応に、レオンが顔を上げる。
向けられた視線を避けるように、ミクは顔を背けて席を立った。

「気分が優れないの。下がらせて頂きます」



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  • 非営利目的に限ります

「カンタレラ」&「悪ノ娘・悪ノ召使」MIX小説 【第10話】前編

二桁突入・・・。 orz

うっかり4000文字の制限に引っかかったため、短いシーンだけど分割しました。
中編へ続きます。
http://piapro.jp/content/i6eyctrixhyny6hq

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投稿日:2008/10/29 00:44:34

文字数:346文字

カテゴリ:小説

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