真っ暗な世界に居た。光も希望もその言葉の意味すら判らなくなっていた。あたしの目の前にはいつも苦しむ純の姿しかなかった。ゲームをしている途中に急におかしくなった純は、まるで悪魔の様に真っ黒な翼と共に周りを傷つける様になり、化け物を生み出す様になり、時折正気に戻った純は自分を責め続けて、泣き苦しんでいた。
「どうして純なの…?」
どうして純がこんなにも苦しまなきゃいけないの?どうしてあたしは助けられないの?どうしてこんな事になったの?
「…殺してくれ…コア…いっそ僕を…殺して…。」
出来ない…そんな事出来る訳がない。だけど…これ以上耐えられない…もう見たくない…!
「純…。」
「殺して…。」
「あたし…純を助けたい…。」
最初は『回復』だった。だけど治るのはあたし自身の傷や病気だけだった。『休息』『安息』『救出』『鎮静』…色んな言葉を試しても楽になるのはあたしだけだった。唯一『睡眠』で眠らせる事しか出来ず、もどかしい思いと共に絶望で心が重くなって行った。
「どうして助けられないのか悔しかった…だけど…だけどね?もしかしたらあたしでも…
純を助けられるかも知れないって判ったの。」
「コア…ねぇ…苦しいよ…死にたい…殺して…。」
「大丈夫、純はね、世話好きで、時々ちょっと子供っぽくて、だけど凄く凄く優しくて強い人だよ。
判るんだ…ずっと見てたから…。」
あたししか助からないなら、相手を助ける言葉が無いのなら、あたし自身を攻撃すれば良い。苦しんでる姿を、壊し続ける姿を見る位なら、あたしは地獄をとっくに見てる。
「コア…?」
「…コトダマ…『鬱音コア』…『肩代わり』『代償』『解放』『効果移動』『琴音純』…ロード…。」
「…コア…?何を…?」
「ごめんね純…苦しかったよね?辛かったよね?あたしがもっと早く気付いてれば…もっと早く
こうしてれば良かったね…。」
ごめんね、純。あたし凄くわがままだよね、勝手だよね。もしかしたら別の誰かを苦しめたり傷付けたりするかも知れないけど、それでもあたし、純に会いたい。元の優しい純に会いたい。
『装填完了』
だから純の痛みも苦しみもあたしが全部引き受ける。
「――アクセス!」
元に戻ったら…純にいっぱい謝る…それから…それからあたしね…純に伝えたい事があるんだ…。
コメント0
関連動画0
ご意見・ご感想