「は、羽鉦さん?あの…待っ…!羽鉦さん?」

何も言わずに手を引いて歩いてく。迷惑掛けて怒ってるのかな?判らないよ…何で来てくれたんですか?さっさと帰れって言ったじゃないですか、なのにどうして此処に居るんですか?

「あ、貴方!何してるんですか!香玖夜さんを放しなさい!」
「…お母さん…。」
「この子は結婚するんです!今更波風立てないで下さい!」
「そうしないと御自分の身が危ういからですか?」
「なっ…!」
「失礼ながら調べさせて貰いました。『紫陽花庵』の借金の原因は貴女と桂木堂の
 社長による物ですね。娘とは言え16歳の女の子を売り飛ばすのは如何な物かと。」
「お前!失礼にも程があるだろ!香玖夜ちゃんは私の婚約者だぞ!大体…!」
「金で買う様でいささか気が引けますが、その簪で彼女は私が引き取らせて
 頂きます。失礼。」
「待ちなさい!誰か!誰かあの人を捕まえて頂戴!」

お母さんと若旦那さんの怒鳴り声を背に引き摺られ半分にホテルの駐車場に戻って来ていた。お母さんの事とか借金の事とか一度に色んな事聞いたせいで頭が混乱してる。何より羽鉦さんはさっきから一度も私の方を見ようとしなくて、それが一層不安を掻き立てた。私また迷惑掛けた…完璧に嫌われる…きっと呆れられてる…お人形にすらなれないなんて…!

「はぁ~~~~…有り得ねぇ…。」
「ふぇ…?」
「結納で花嫁強奪とか何処の昼メロだよ…全く…あ~恥ずかしい!」
「あ…あのー…?」

羽鉦さんは車に突っ伏したままこっちを見ずに言葉を続けた。

「…俺実年齢28歳なんですけど?」
「は、はい、聞きました。」
「まだ色々引き摺ってて、踏ん切りとか付いてないんですけど?」
「それも…聞きました。」
「今は100%好きだとか断言出来ないよ?」
「はい…。」
「跡継ぎ問題とか面倒だし、BSの事とかあるし、周りも色々煩いし、直ぐにそっちが
 他の奴良いと思うかも知れないよ?」
「そ、そんな事…!」
「そんなんでも良い?」
「う?」
「『う?』じゃなくて!その…俺で良いの?」

やっと顔を上げて、初めてこっちを見てくれた気がした。少し赤くなった顔がやけに嬉しい。

「は…羽鉦さんこそ…良いんですか?」
「ん?」
「あ、あんな事されたら、嬉しくない訳無いじゃないですか!格好良いって
 思っちゃうじゃないですか!一杯、一杯勘違いとかしちゃうじゃないですか!」
「…好きにしろ。」
「もう…もう絶対…離れてなんかあげないんだから…!絶対絶対…100%好きに
 させてやるんだから…!後悔したってもう遅いんだからっ…!!」
「ちょっ…!抱き付くな!口紅付…!ああ、もう!」

焦ってる声が聞こえたけど泣き付いてしまった。軽い溜息の後あやす様に撫でてくれる手が優しくてあったかくて、かすかに伝わる鼓動が速いのが嬉しかった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

BeastSyndrome -76.それでも良いですか?-

やーいやーい!ロリコン兄弟!(言わずにはおれませんでしたwww

閲覧数:130

投稿日:2010/06/24 17:29:38

文字数:1,188文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • 門音

    門音

    ご意見・ご感想

    アミの意見に賛成ww(黙
    羽鉦さんもやっぱり詩羽さんと同じ血をもってるだけありますなw(殴

    2010/06/24 20:10:28

    • 安酉鵺

      安酉鵺

      書いてないですが二人の父の大樹さんも22歳で当時16歳だった奥さんと結婚してたりしますw
      もう血筋ですねww

      2010/06/25 08:54:10

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